要潤が日本の介護・福祉の実情に迫る!「介護福祉の新たな魅力」を伝える新番組がスタート
4人に1人以上が高齢者という現代の日本。高齢社会白書によると、2036年には65歳以上のお年寄りが総人口の33.3%を占めると予想されている。誰もが当事者となり得る介護だが、様々なアンケート調査を見ると「精神的、肉体的にきつい」などマイナスのイメージを持つ人が多いのが実情だ。
そのような状況のなか、これからの日本を支えていく若者と共に日本の介護福祉の現状を学び、前向きに考えていくためのテレビ番組「にっぽんの要 ~わかる・かわる介護・福祉~」が11月にスタートした。メインパーソナリティは俳優の要潤さん。介護福祉士として介護現場で活躍しているモデルの上条百里奈さんとともに、このテーマに取り組んでいくという。
番組では、若者たちが実際の介護福祉の現場を体験。参加するのは、介護福祉の仕事を志して学んでいる学生から、これまで全く介護・福祉に関わる機会がなかった学生まで様々だ。
学生が高齢者グループホームへ
11月10日に放送された第1回のテーマは「あなたの喜びを誰かの喜びに変える」。音楽を使って自立や社会参加をサポートする「ミュージックファシリテーション」という手法を学生が体験した。事前に「敬語を使うこと」「名前で呼ぶこと」など注意点を学び、介護施設や高齢者向け住宅で参加型の音楽プログラムを行う会社「リリムジカ」のスタッフと一緒にグループホームへ。
最初は緊張気味でなかなか高齢者に話しかけられなかった学生も、音楽を披露しているうちに、積極的にコミュニケーションを取れるようになり、最後は入居者も笑顔に。要さんも「どんどん異業種の方にも広がって、みんなで支え合う現場になればいいと思いました」と学生の頑張りに笑顔を見せた。
「喜びとときめきから考えよう」などのテーマで全5回放送されるこの番組。「介護のしごと魅力等発信事業」の一環として、株式会社サンケイビルテクノは介護・福祉を「自分ごと」として捉える土壌醸成を目指し、あかるく・前向きな「介護・福祉」の仕事の魅力を若い世代から幅広い年齢層に伝えていくという。「介護のしごと魅力等発信事業」とは、厚生労働省が「介護のしごとの魅力を伝え、福祉・介護に対して抱いているイメージを向上させるため」に実施しているものだ。
今まではあまり介護を身近に感じる機会が少なかったという要さん。番組に関わったことがきっかけで介護の関連商品やグッズ、技術や環境の進歩に興味を持つようになったという。現在38歳の要さん。自分自身の理想の老後のイメージはあるのだろうか。
「90歳になったらというイメージはしにくいですが、周囲の先輩たちを見ているとずっと舞台に立ち続けたいと思いますね。生涯現役でいたいです。自分の祖母を家族みんなで介護していましたが、家族だけでの介護はやはり大変ですし、家族が近くにいるという環境が整っているとは限らないので、介護環境を作れる社会にしたいです」(要さん)
これからの社会を支える若者へ期待すること
介護の現場は常に人手不足に悩まされている。今後の高齢化社会を支えていく若者にどのような思いを抱いているのだろうか。番組への意気込みを聞いた。
「介護を目指す方には若い人も多いですが、『資格を取らなければいけない。大変だな』と足踏みをしてしまう人もいらっしゃると思います。そんな人たちにいろんな可能性や、もっといろんな形でできるんだよということを伝えたいですね」(要さん)
要さんと共に番組に出演している上条さんは、介護現場をよく知る専門家だ。一人でも多くの人に関心を持ってもらい、介護をポジティブに感じてもらえるように頑張りたいと番組への意気込みを語っていた上条さん。介護福祉士として、介護の問題点や理想の介護についてどのように考えているのだろうか。
「施設の中だけで完結してしまっている現状はあまりよくないと思っています。介護は閉ざされた世界ではなく、地域やいろんな方が関わることができます。カフェの店員さんが先日、常連のお年寄りに『トイレはこっちですよ。足下にお気を付けて』と声をかけていましたが、そういう思いやりも介護のひとつだと思います。介護に関わるきっかけがなかなかないかもしれませんが、私は施設に電話をしてボランティアから始めました。最近ではRUN伴(ランとも)という認知症の人とタスキをつなぎ、日本全国を縦断するイベントも開催されています。運動がてらそういうものに気軽に参加するのもいいですね。そんな環境が広がると、理想の社会に近づけると思います」(上条さん)
第2回の放送(2019年12月15日 BSフジ 17:30~17:55)のゲストは、第1回に続いてものまねタレントのりんごちゃん。明るく、楽しい雰囲気で介護・福祉の実際のところを学んでいく。学生たちは、介護や福祉の専門職ではない異業種からの介護へのアプローチを体験するため、訪問美容の現場へ。果たしてどのような結果が待っているのだろうか。
この番組を見た人の介護へのイメージがポジティブなものに変わり、今まで関わりの薄かった異業種や地域社会などが高齢者を支える力となっていくことを願いたい。
【データ】
番組タイトル:にっぽんの要 ~わかる・かわる介護・福祉~(BSフジ)
番組URL:http://www.bsfuji.tv/nipponkaname/pub/001.html
第2回:2019年12月15日 BSフジ 17:30~17:55)※全5回
レギュラー出演:要潤さん(メインパーソナリティー)、上条百里奈さん、大慈弥レイさん
ゲスト出演:りんごちゃん(第1回、第2回)
取材・文/ヤムラコウジ