納豆1日1パックで超健康!効能、正しい食べ方、地域色、レシピ…徹底解説
日本人の食卓に欠かせない納豆は、医師をはじめとする食と健康のスペシャリスト達が太鼓判を押す究極の健康食材。シンプルにご飯と合わせるだけでもおいしいけれど、健康の相乗効果も狙えて、毎日でも飽きないアレンジレシピをご紹介。
“1日1納豆”を習慣にして、健康寿命を延ばしましょう!
こんなに豊富な納豆の健康パワー!
●良質なたんぱく質が筋肉や血管を強化
納豆はアミノ酸スコアが100に近く、体内で活性しやすい良質なたんぱく質。
「筋肉や肌、血管など体を作る元になり、肉や魚、乳製品など他のたんぱく質と一緒に摂るとさらに吸収力がアップします。筋肉の低下が気になる高齢者におすすめの食べ方です」(舘野さん)。
●血糖値を改善し、生活習慣病を予防
血糖値を改善したい人や、生活習慣病を予防したい人にも積極的に摂ってほしい食材。
「血糖値の急上昇を抑える食物繊維や血糖値を下げる大豆サポニンが豊富」(舘野さん)。
「近年、納豆に含まれるポリアミンという成分が動脈硬化を予防すると注目されています」(納豆連)。
●免疫力アップや美肌効果も!
「納豆菌で発酵した納豆には、腸を整えて免疫細胞を活性化させる働きがあります。また、美肌効果や抗酸化作用のある大豆イソフラボン、ストレスを緩和するレシチンなども豊富。若々しい体づくりをサポートして、アンチエイジング効果も期待できます」(舘野さん)
●腸内環境を整え便秘を解消
食物繊維が豊富なので、腸内環境の改善にも欠かせない。
「食物繊維には水に溶けにくい不溶性と水に溶けやすい水溶性がありますが、納豆はこのバランスがいいんです。特に水溶性を摂ると便が軟らかくなるので、便秘解消に効果を発揮します」(松生さん)。
●大豆イソフラボンが更年期症状を緩和
「納豆に含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをしてくれます。女性ホルモンが急激に低下して起こる、更年期症状の予防や緩和にもおすすめです」と松生さん。「ホルモン分泌をコントロールするビタミンEと一緒に摂ると、効果がアップします」(舘野さん)。
●ナットウキナーゼが血液をサラサラにする
大豆が発酵する過程で作られる酵素がナットウキナーゼ。
「これには血栓を溶かす働きがあり、血液をサラサラにするので、脳梗塞や心筋梗塞などの予防効果が期待できます」と松生さん。
大豆サポニンが血管の老化を防ぎ、レシチンが余分なコレステロールを減らす効果も。
●カルシウムやビタミンKが骨を丈夫にする
「骨の形成に必要なカルシウムとビタミンKを含むので、骨密度が低下する更年期世代の女性には、ぜひ摂ってほしい。納豆は発酵しているので、体に吸収されやすいのもメリット。きのこ類に含まれるビタミンDと一緒に食べるとより効果的です」(舘野さん)
何回かき混ぜる?いつ食べる?食べ方や保存法
400回混ぜるとおいしくなる!?
納豆の旨み(アミノ酸)は、かき混ぜ回数400回で最大になるという検証データが。とはいえ、毎回400回もかき混ぜるのは大変!
そこで納豆を知りつくした『全国納豆協同組合連合会(以下、納豆連)』の会長に、おいしい混ぜ方を教えてもらった。「まず何も入れずに40回、薬味を入れて20~30回、たれを加えて軽くかき混ぜ、最後にからしを入れて軽く混ぜれば完了です」。
血液サラサラ効果を生かすなら夜食べるのが◎
「血栓は就寝中にできやすいので、ナットウキナーゼの血液サラサラ効果を活かすなら、夕飯で摂るのがおすすめ。就寝中にナットウキナーゼが活性化して血栓を溶かし、脳梗塞などの予防が期待できます」と松生さん。朝に食べるなら、ご飯と合わせることで最強の朝食になる。「米と納豆を一緒に食べると、互いに補い合ってアミノ酸のバランスが整い、たんぱく質の栄養価が高まります」(舘野さん)。
血栓予防なら熱々ご飯にのせるのはNG!
「ナットウキナーゼは70℃で死滅してしまいます。血液サラサラ効果を期待するなら加熱しないのが正解。炊きたてのご飯には、少し冷ましてからのせましょう」(舘野さん)。
風味も健康効果もアップ! オリーブオイルと好相性
「納豆とオリーブオイルは最強の組み合わせ。他のオイルと比べてオレイン酸豊富なオリーブオイルは、悪玉コレステロールを減らす働きがあるので、納豆と一緒に食べると血液サラサラ効果がアップ。腸の働きを整え、便秘解消効果も高めます」(松生さん)
保存は冷蔵庫で。食べきれない時は冷凍保存を
「納豆は常温で放置すると、納豆菌が再発酵を促しアンモニア臭を発生させるので、冷蔵庫で保存を。それでも少しずつ発酵が進みますが、賞味期限内ならおいしく食べられます。食べきれない場合は冷凍室へ。食べる前日に冷蔵室に移し、ゆっくり冷凍するとおいしく食べられますよ」(納豆連)
バニラアイスに混ぜる食べ方が子供に大人気!?
「近年は納豆にヨーグルトなどの乳製品を合わせるのがトレンドです。バニラアイスと納豆を混ぜてトルコアイス風にする食べ方は、においもなくなると子供達にも好評です」(納豆連)
白米にはまとまりの良い小粒、高齢者には消化の良いひきわりを
種類も豊富な納豆。迷ったらどう選ぶのがいい?
「わかりやすいのは粒の大きさ。小粒はまとまりがいいのでご飯にぴったり。大粒は豆そのものの味わいが楽しめます。素材と一体化しやすいひきわりは、肉に混ぜたり、納豆パスタにしたりと料理に使いやすいですよ」(舘野さん)。特に、高齢者におすすめはひきわりだ。「細かいので咀嚼しやすく消化もいい。他の粒に比べてビタミンK2やB2、B6、Eが多いのも特徴です」(納豆連)。
地域によって食べ方や味が違う!
関西の人は納豆を食べない、北海道では砂糖を入れて食べるなど、食べ方に地域の特色がある点もユニーク。
「その地方の名産と組み合わせた、ご当地メニューも多いんです。例えば、北海道富良野市の『牛乳納豆茶漬け』や、鳥取県の名産のらっきょうを使った『納豆らっきょうそぼろ』などが人気。地域の名物メニューとなっています」(納豆連)。
毎日食べても飽きない!健康効果を上げる!和えるだけのお手軽レシピ
どんな食材と組み合わせてもおいしくなるのも納豆の魅力。朝食だけでなく、「あと一品欲しい!」時まで大助かりのお手軽レシピをご紹介します。(※レシピはすべて1人前です)
【青のりえのき納豆】血糖値を下げる(納豆 食物繊維 + えのきたけ 食物繊維)
《作り方》
えのきたけ20gは石づきを切ってゆで、半分に切る。ボウルに納豆1パック、えのきたけ、しょうゆ小さじ1、青のり小さじ1/2を入れて和える。
【玉ねぎまぐろ納豆】血液サラサラ(納豆 ナットウキナーゼ + 玉ねぎ ケルセチン)
《作り方》
ボウルに納豆1パック、みじん切りにした玉ねぎ大さじ1、1cm角に切ったまぐろ30g、しょうゆ小さじ1を入れて和える。
【切り干し大根の納豆和え】血糖値を下げる(納豆 食物繊維 + 切し干し大根 食物繊維)
《作り方》
ボウルに納豆1パック、水で戻した切り干し大根10g、しょうゆ小さじ1を入れて和える。器に盛り、かつおぶし1/2パックを散らす。
【しらすと小松菜の納豆和え】骨粗しょう症予防(納豆 カルシウムビタミンK + 小松菜 カルシウム +しらす干し ビタミンD)
《作り方》
小松菜2本分はゆでて1cm幅に切る。ボウルに納豆1パック、しらす干し大さじ1、しょうゆ小さじ1、小松菜を入れて和える。
【オリーブチーズ納豆】更年期症状の緩和(納豆 大豆イソフラボン + オリーブオイル・くるみ ビタミンE)
《作り方》
ボウルに納豆1パック、パルメザンチーズ大さじ1、刻んだローストくるみ適量、オリーブオイル小さじ1、黒こしょう少量、塩小さじ1/2を入れて和える。
【にらキムチ納豆】骨粗しょう症予防(納豆 カルシウム ビタミンK + にら ビタミンK)
《作り方》
にら20gはゆで、1cm幅に切る。ボウルに納豆1パック、にら、ごま油小さじ1、しょうゆ小さじ1、1㎝角に切ったキムチ20gを入れて和える。器に盛り付け、白ごま少量をふる。
【トマトと豆腐の納豆和え】血液サラサラ(納豆 ナットウキナーゼ +トマト リコピン)
《作り方》
ボウルに納豆1パック、ほぐした木綿豆腐1/10丁、ちぎったのり1/4枚、しょうゆ小さじ1、1cm角に切ったトマト20gを入れて和える。
【アボカド納豆】更年期症状の緩和(納豆 大豆イソフラボン+アボカド・卵黄 ビタミンE)
《作り方》
ボウルに納豆1パック、一口大に切ったアボカド1/4個、しょうゆ小さじ1、和からし小さじ1/2を入れて和える。器に盛り、卵黄1個をのせる。
【きくらげとザーサイの梅納豆和え】骨粗しょう症予防(きくらげ ビタミンD + 納豆 カルシウム・ビタミンK + 梅干し クエン酸)
《作り方》
きくらげ1gは水で戻してさっとゆで、細切りにする。ボウルに納豆1パック、きくらげ、たたいた梅干し1個分、細切りにしたザーサイ10gを入れて和える。
【さばと納豆の大根おろし和え】血液サラサラ(納豆 ナットウキナーゼ + さば DHA)
《作り方》
ボウルに納豆1パック、さば缶20g、大根おろし大さじ1、しょうゆ小さじ1を入れて和える。器に盛り、カットしたすだち適量を添える。
納豆を主役にしたレシピ8品
続いて、小粒、ひきわり、大粒を使いこなして納豆が主役になるレシピをご紹介。普段は脇役になりがちな納豆が、肉や魚に代わって主役になれるレシピ。体に良いのはもちろん、納豆とは思えない味わいです。(※材料は記載のあるもの以外はすべて2人前です)
【さっぱりトマトサラダそば】血液サラサラ(納豆 ナットウキナーゼ + トマト リコピン)
<材料>(1人分)
小粒納豆 1パック
そば(乾麺) 70g
トマト 1/2個
長いも 50g
青じそ 2枚
<A>
しょうゆ 大さじ2
酢 大さじ1
砂糖 小さじ1/2
かつおぶし 1/2パック
ごま油 大さじ1/2
《作り方》
【1】そばはゆでて水で冷やし、水気を切る。
【2】トマトは1cm角切り、長いもはたたき、青じそは千切りにする。
【3】ボウルに納豆、トマト、長いも、混ぜ合わせたAを入れて混ぜる。
【4】器にそばを盛り付け、【3】をのせ、青じそを添える。
【納豆竜田揚げ】更年期症状の緩和(納豆 大豆イソフラボン + 青じそ ビタミンE)
<材料>
大粒納豆 2パック
長ねぎ 1/4本
しょうゆ 小さじ1
片栗粉 大さじ2
青じそ 6枚
塩・揚げ油 各適量
《作り方》
【1】長ねぎはみじん切りにする。
【2】ボウルに納豆、長ねぎ、しょうゆを入れ、粘りが出るまで混ぜたら、片栗粉を加えて混ぜる。
【3】鍋に油を熱し、青じそに【2】をのせて中弱火で4~5分揚げる。
【4】器に盛り、塩を振る。
【納豆そぼろみそ】血糖値を下げる(納豆 食物繊維 + 豚ひき肉 ビタミンB1)
<材料> (作りやすい量)
ひきわり納豆 1パック
豚ひき肉 120g
長ねぎ 1/4本
白ごま 小さじ1
ごま油・酒・みそ 各大さじ1
砂糖 小さじ2
豆板醤 小さじ1/2
《作り方》
【1】長ねぎはみじん切りにする。
【2】フライパンにごま油を熱し、豚ひき肉を炒める。肉の色が変わったら、長ねぎ、納豆を加えてさっと炒める。
【3】酒、みそ、砂糖、豆板醤、白ごまを加えて炒め、味をなじませる。
【お月見つくね】アンチエイジング(納豆・卵黄 たんぱく質・レシチン + 鶏ひき肉 ビタミンB2)
<材料>
ひきわり納豆 1パック
鶏ももひき肉 150g
玉ねぎ 1/4個
しょうがすりおろし 小さじ2
酒 大さじ1
塩・こしょう 各適量
片栗粉 大さじ1・1/2
卵黄 1個
七味唐辛子 少量
<A>
しょうゆ・みりん 各大さじ1
砂糖 大さじ1/2
《作り方》
【1】玉ねぎはみじん切りにし、600Wの電子レンジで30秒加熱して冷ましておく。
【2】ボウルに鶏ひき肉、納豆、玉ねぎ、しょうが、酒、塩、こしょう、片栗粉を入れ、ねばりが出るまで混ぜる。これを8等分にする。
【3】フライパンに油適量(分量外)を熱し、【2】をスプーンで入れて形を整える。両面に焼き色を付け、蓋をして2分蒸し焼きにする。
【4】混ぜたAを加えて、つくねに絡ませる。
【5】器に盛り、卵黄をのせて、七味唐辛子を振る。
【しいたけ納豆チーズ焼き】骨粗しょう症予防(納豆 カルシウム・ビタミンK + しいたけ ビタミンD + チーズ カルシウム)
<材料>
しいたけ 6枚
大粒納豆 1パック
のり佃煮 小さじ3
ピザ用チーズ 30g
青ねぎ 適量
《作り方》
【1】しいたけは軸を取る。
【2】しいたけの内側にのりの佃煮を塗り、納豆とピザ用チーズをのせる。
【3】トースターでチーズが溶けて、焼き色がつくまで焼く。
【4】小口切りにした青ねぎを添える。
苦手な人でもいける! におわない極うまレシピ
納豆の独特なにおいが苦手という人は、チーズなどの発酵食品やマヨネーズと合わせると軽減されるので、試してみて!
【納豆餃子】血糖値を下げる(納豆 食物繊維 + 豚ひき肉 ビタミンB1)
<材料>(16個分)
ひきわり納豆 1パック
豚ひき肉・キャベツ 各100g
にら 20g
しょうがすりおろし 小さじ1
しょうゆ・酒 各大さじ1/2
塩・こしょう 各少量
片栗粉 大さじ1
餃子の皮(大) 16枚
サラダ油・ごま油 各適量
<A>
しょうゆ・酢 各大さじ1
ラー油 小さじ1/2
《作り方》
【1】キャベツはみじん切り、にらは5㎜幅に切る。塩を振ってもみ、余分な水分をしぼる。
【2】ボウルに納豆、豚ひき肉、【1】、しょうが、しょうゆ、酒、こしょう、片栗粉を入れて混ぜ合わせる。【3】餃子の皮に②をのせて包み、端を水で濡らしてとじる。
【4】フライパンにサラダ油を熱し、【3】を並べて中火で焼く。焼き色がついたら水1/2カップ(分量外)を加え、蓋をして弱火で水気がなくなるまで蒸し焼きにする。焼き上がったらごま油をかける。
【5】<A>を混ぜ合わせたたれで食べる。
【納豆ツナトースト】アンチエイジング(納豆 たんぱく質・レシチン + ツナ たんぱく質)
<材料>
ひきわり納豆 1パック
食パン5枚切り 2枚
マヨネーズ 小さじ2
マスタード 小さじ1
ツナオイル漬け(小) 1缶
黒こしょう 少量
ピザ用チーズ 40g
《作り方》
【1】マヨネーズとマスタードを混ぜ、パンに塗る。
【2】【1】にひきわり納豆と油を切ったツナをのせ、黒こしょうをふり、チーズをのせる。
【3】トースターでチーズが溶けて、焼き色がつくまで焼く。
【マヨ納豆のキャベツサラダ】骨粗しょう症予防(納豆 カルシウム ビタミンK + キャベツ ビタミンK)
<材料>
小粒納豆 1パック
キャベツ 100g
マヨネーズ 大さじ1
しょうゆ 小さじ1
練りがらし 小さじ1/2
刻みのり・かつおぶし 各適量
《作り方》
【1】キャベツは千切りにする。
【2】ボウルに納豆、マヨネーズ、しょうゆ、練りがらしを入れて混ぜる。【1】を加えて和える。
【3】器に盛り、刻みのりとかつおぶしを散らす。
教えてくれたのは…
◆料理研究家・管理栄養士 舘野真知子さん
管理栄養士として病院に勤務後、海外で料理を学ぶ。現在は発酵料理をキーワードに、料理の楽しさや食の大切さを伝えている。
◆松生クリニック院長 松生恒夫さん
医学博士。地中海式食生活、漢方医療などを取り入れた治療を行う。『日々、腸生活』(総合法令出版)など腸に関する著書も多い。
撮影/奥村暢欣
※女性セブン2019年10月10日号