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介護施設訪問レポート|一人ひとりの希望を叶える個別ケアに取り組む介護付有料老人ホーム<後編>

 高齢者向けの住宅の中から、話題の施設をピックアップ。記者が訪問し、施設で働く人の思い、設備、サービスなどをレポートする。今回は、東京都渋谷区にある介護付有料老人ホーム「アライブ代々木大山町」だ。

アライブ代々木大山町

 小田急線で新宿まで5分、東京メトロで渋谷まで7分と利便性が高い代々木上原駅から徒歩8分。閑静な住宅街として人気を集める渋谷区大山町に上質な住空間を持つ「アライブ代々木大山町」がオープンしたのは2017年10月だ。


 前編で紹介したように、こちらでは「水分、食事、排泄、運動」の4つの基本ケアと「睡眠、減薬」から成り立っている自立支援ケアに取り組んでいる。後編では自立支援ケアの先にある個別ケアと日々の暮らしを支えるサービスや住環境を紹介していく。

→前編を読む

1.5対1以上の人員配置で個別ケアを実現

 東京都と神奈川県で12の施設を運営するアライブメディケアは「身体的な自立はもちろん、精神的、社会的にも良好な状態となるよう支援する」と自立支援を定義。例えば、入居前は寝たきりの人が本当に立つことや歩くことができないのか検証し、できるだけ介助が必要のない生活を目指すという。以前できた生活を取り戻すために、人としての尊厳を保つ心のケアを行っていく。

 さらに一人ひとりがしたいこと、実現したいことに注目した個別ケアへと進めていくという。そのために法律で定められている3対1という入居者と職員の比率を、より手厚い1.5対1(週37.5時間の常勤換算)にしている。

「お酒を飲みに行きたい、焼き肉・寿司を食べに行きたい、デパートで買い物を楽しみたいなど、それぞれの方には元々、個別にやりたいことがあるはずなんです。そういった欲求を叶えるために、まず自立支援で元気になっていただき、そこからさらにお一人おひとりの求めるところまでやって差し上げるのが個別ケアです」(アライブ代々木大山町・ホーム長の鈴木達哉さん 以下「」は同)

 アライブ代々木大山町では、各入居者に居室担当をつけ、入居者が望んでいることやどのような心身の状況なのかを把握し、何が必要なのかをチームで考え、ケアプランを作成しているという。そして独自のシステムを活用してデータ化し、その効果を確認していくのだという。もちろん、毎日同じ居室担当だけが接するということではない。

「個別ケアを実現するためには、数値に表れない変化を見ることも大切です。そのために、ご本人やご家族との丁寧なコミュニケーションも欠かせません」

一人ひとりに合わせたケアを支える住環境

 様々な設備やサービスが「アライブ代々木大山町」の個別ケア推進を支えている。居室に設置された行動検知センサーもその一つ。入居者の動きを検知し、転倒やベッドからの転落などの緊急時に映像を記録し、スタッフが持っているスマートフォンに映像が送られてくる。この設備によって、素早い対処と再発防止が可能になるという。

「居室の天井にカメラがついていて、映像を録画できるようになっていますが、全て保存して蓄積しているのではありません。ドライブレコーダーのように、転倒など何かあった時にだけ、その映像を保存しています。それを見ると、転倒の理由が分かるので、再発しないように安全対策を講じることができます。スタッフのスマートフォンに即時に映像が送られてくるので、転倒したまま誰にも気づかれないということはありません。プライバシーには配慮し、この機能を使うかどうかを選択してもらっています」


 共用部分で思い思いの時間を過ごすことも生活を豊かにするための大切なポイント。都心を一望できる屋上庭園には花や野菜が植えられ、入居者の目と舌を楽しませてくれる。先日はキュウリを収穫し、みんなで夏の味を楽しんだという。他にも、スイカやメロン、カボチャ、トマト、パプリカなど様々な野菜や果物が育てられていて、収穫を楽しみにしている入居者も多いようだ。


 風呂や理美容室など生活に必要なものは揃っている。居室に加えて、共用部分を活用して、それぞれのライフスタイルを楽しんでいるようだ。


 オープン以来、丁寧に個別ケアに取り組んできたアライブ代々木大山町。今後はさらに入居者や家族の意見も聞きながらサービスの質を向上させ、地域との交流促進も図っていくという。鈴木さんによると、「プレミアムアクティビティ」と呼んでいる個別対応のサービスも拡充していきたいとのこと。プレミアムアクティビティでは、例えば馴染みのスタッフと一緒にお酒を飲むといったことができるそうだ。ソフト面と恵まれた立地に建つ高級感あふれる建物などのハード面が高いレベルで整っていることを実感した。

撮影/津野貴生 取材・文/ヤムラコウジ

→このシリーズのその他の記事を読む

【データ】
施設名:アライブ代々木大山町
公式WEBサイトhttps://www.alive-carehome.co.jp/home/yoyogi-oyamacho/
所在地:東京都渋谷区大山町27-15
最寄駅:小田急線・東京メトロ千代田線「代々木上原」駅より徒歩約8分、京王新線「幡ヶ谷」駅より徒歩約10分・「笹塚」駅より徒歩約11分
類型:介護付有料老人ホーム
事業主体:株式会社アライブメディケア
敷地面積:1390.95平方メートル
延床面積:2467.58平方メートル
室数:45室
入居要件:概ね70歳以上、要支援1以上
構造:鉄筋コンクリート造地上4階
開設年月日:2017年10月1日
料金:初期費用(非課税)+月額費用(税抜)
(1)一括払い:標準・初期費用3200万円~、90歳以上・2462万円~
+月額費用34万6000円~
(2)年払い:初期費用468万円~+月額費用34万6000円~
(3)月払い:敷金(6ヶ月分)234万円~+月額費用73万6000円~
体験入居(7泊8日):10万5000円(税抜)

※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。

●海を眺めながら上質な暮らしを!葉山の住宅型有料老人ホーム<前編>

●ライフスタイルに合わせで居室が選べる葉山の住宅型有料老人ホーム<後編>

●安心して充実したシニアライフを過ごせる!自立型介護付有料老人ホーム

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