学びの旅は奥の細道。コミュニケーションの場を提供
トマト、枝豆……午後は農場で農作業
リバティアカデミーは講座の品質向上にも力を入れている。講座の講師は、原則として明治大学の教員が務める。ただし『資格・実務・語学』分野の中には、明治大学の教員に有資格者がいないものもある。その場合は専門部会を設けてていねいに審議した上で、講座の開講を決定するという。
また、教室の中だけでなく、教室“外”の講座も充実している。たとえば人気講座の一つに、<アグリサイエンスアカデミー 有機農業講座>がある。黒川農場で開講されている講座だ。午前中に講義を受けたあと、午後は農場に出て、実際に農作業を行う。トマト、枝豆、スイートコーン……、一年かけて、10数品目の野菜の有機栽培を学ぶ。「最近、趣味で家庭菜園を始める人が多いですよね。こうした講座を開けるのは、農学部をもつ総合大学の強みだと思います」と大友先生は語る。
講座が多様である分だけ、学びのかたちもまた、多様になる。
「私が担当しているビジネス講座には、自分の仕事に役立つヒントを得たいと受講生が集まってくるわけですが、彼らが講義で学ぶのは主に理論です。未来を見通すには理論が必要なんですね。理論を知った上で実践を行えば、ビジネスはより強固なものになります」(大友先生)
仕事で利益を出すために学ぶ『ビジネスブログラム』。一方、その対極にあるのが、『教養・文化』の講座だ。大友先生はこう続ける。
「たとえば『源氏物語』を学ぶ人に、これを学んで儲けてやろう、なんて気持ちは一切ないはずですよね。自分の知識が広がるのが楽しい、『源氏物語』を通じて専門の先生とコミュニケーションをするのが楽しい、そういう純粋な気持ちで受講されている。学ぶよろこびが、そのまま、生きるよろこびにつながっていることを、我々はあらためて教えられています。ですから“学び”とひと言でいっても、その目的も、かたちも多様なのです」
学ぶことの奥深さ――ここから生まれてきたのが、2017年度春期のパンフレットに記されている印象的なコピーである。<学びの旅は奥の細道、智を踏み分けて未知を知る楽しさ>。
着物を着て、称号授与式に参加するシニアも