【肩こり対策】指やテニスボールでぐりぐり&全身ストレッチ
肩などの筋肉が張ると、神経を介して症状が脳に伝わり、肩こりとして認識される。
脳にはこの他にも五感を含め、さまざまな情報が1秒に1000~2000万ビットも送られているが、人が意識できるのは、その20万分の1程度といわれている。つまり、私たちの脳が痛みなどの情報を同時に複数意識するのは、極めて困難なのだ。
こりや痛みは、患部でなく脳で感じる
肩こりなど慢性痛の専門医で、横浜市立大学附属市民総合医療センター麻酔科ペインクリニックの北原雅樹さんが語る。
「肩の周囲を酷使しているという自覚があると、“体のどこかで生じた疲れやこり=肩がこっている”と思ってしまい、肩から遠い部分に意識が行きにくくなります。そのため根本の原因に気づかず、いつまでたっても“肩こりが治らない”ということになるわけです」(北原さん、以下「」内同)
そのほか、運動不足や肥満、姿勢の悪さ、生活習慣の癖に加え、精神的ストレスも肩こりを引き起こす遠因になる。さらにリラックスのための寝酒も、睡眠の質を落とし、肩こりを引き起こす。
肩の筋肉をいくらケアしても、根本となる原因が解消されなければ、肩こりは発生し続けいつまでたっても治らない。
その悪循環から抜け出るには、どうすればいいのか?
まずはどこが原因か正しく知ること
「肩は本来、腕の付け根の肩先の部分を指しますが、日本では首から肩先にかけて、場合によっては、背中部分も含めて肩といい、この辺りの筋肉が張り、こりが固まった状態を肩こりと呼んでいます。これらのこりは、風呂に浸かったり、マッサージや鍼治療をするなど、筋肉の緊張をほぐして血行をよくすれば解消できます」
また、筋肉の硬い部分があれば伸ばして柔らかさを取り戻す。そのためには、反り腰になりやすいハイヒールをやめて、通勤時にはフラットシューズにするなどの工夫をして、正しい姿勢を心掛けることが大切だ。
肩以外の隠れたこりを探し、ほぐしておく
筋肉にできたこりのうち、体の表面に近い表層筋のこりは、自分で探してほぐすこともできる。普段気になっている部分はもちろん、肩以外の筋肉の隠れたこりポイントを探して、ほぐしておくことだ。
「指などを使って少しずつ押す場所をずらし、いちばん強く痛む部分を見つけてください。見つけたらその場所を1か所につき10~15秒、1日に2回、朝と入浴後、または寝る前を目安にもみほぐして」
肩こり症状が続く場合、筋肉の損傷や内臓疾患が原因かも
それでも肩こり症状が続くなら、関節や筋肉の損傷、内臓疾患などの病気が原因かもしれない。左肩から背中にかけてのこりや痛みには心筋梗塞が、右肩甲骨の下のこりには胆石や肝炎などが隠れている場合があるのだ。
「本来、肩こりに痛み止めは効きません。鎮痛剤で症状が半減するなら、内臓などの炎症が治まって痛みが和らいでいる可能性があります。肩から背中にかけてのひどい肩こりを訴えていた人が、実はすい臓がんだったという例もあるのです」
いつものこりと違う、痛みに近い症状が出たら、専門医に診てもらうと安心だ。