長寿世界一の香港 秘訣は、高齢者の「外出好き」「多忙」か
平均寿命は男性81.32才、女性87.34才。わずか20年で平均寿命を5才も引き上げ、2年連続 長寿世界一に輝いた香港(7月、厚生労働省発表)。その背景にはどんな事情があるのだろうか──。
ヨボヨボになっても家の中にこもらず、自分の足で歩く
大音量で古典音楽が流れるなか、ゆったりとした動作で体の重心を左右に移動しながら、手足を大きく広げてポーズを決める。
早朝7時、湾仔(ワンチヤイ)にある公園で20人ほどのお年寄りが太極拳に熱中する。香港では見慣れた光景だ。
参加者の劉景勝さん(69才・男性)に話を聞いた。
「毎朝6時に起きてこの公園に来ます。子供が3人、孫が5人、ひ孫が6人いるけど私はまだまだ元気。太極拳が終わったら、仲間と一緒に飲茶をしに行くのが楽しみ。長寿の秘訣? 毎日笑顔でいることかな(笑い)」
さらに公園を歩くと、若者に交じってバスケットボールに興じるおじいちゃんを見つけた。「おいくつですか」と声をかけると「60才だ」と笑いながら答えたのは李唐開さん。
「健康のためでもあるけど、バスケをしていると気持ちが晴れ晴れする。10代から70代まで年齢に関係なく誰でも参加できる。毎週日曜日は朝8時から試合があるんだよ」
米プロバスケットボールリーグ・NBAで活躍した中国人選手・姚明(36才)の影響で、香港でもバスケは大人気。16才の若者に交じり90才がプレーするのも珍しくないという。
中国に返還後、公園に鉄棒など高齢者向けの体操器具が設置されたこともシニアのエクササイズを促進する。
麻雀、将棋などのボードゲームは脳に刺激を与え、活性化させる
大陸らしさを感じるといえば、公園での麻雀、将棋などのボードゲームだ。猛暑にもかかわらず、公園のあちこちで高齢者がボードを取り囲んでは歓声を上げる。高齢者医療に詳しい香港の余達明医師は語る。
「ボードゲームは脳を刺激するほか、指先を使うので認知症予防にもなる。勝負事なので、ドキドキすることも脳を活性化させます」(余先生)
日本では最近、禁煙に関する法律が話題だが、香港はその先を行く。香港の喫煙率は日本のおよそ半分の10.5%で、建物内は全面禁煙になる。たばこの値段が一箱1000円程度するため、たばこをやめた香港人は多い。