83才女性「苦労した手でにぎる」はるえ食堂名物焼きおにぎり
はる江さんの半生は、苦労の連続だったという。生まれ育ったのは津軽半島の外ヶ浜。家が貧しく、高校進学を望んだが、それもかなわなかった。
最初から行けないと思っていたので親を怨むこともなかったという。働く場所がなく、夏は自宅で洋裁をし、冬は北海道に出稼ぎに行った。
24才で見合い結婚をするが、姑と折り合いが悪く、ほどなくして離婚。しかしこの時、自分の力で稼ぎ、働く楽しさに目覚めた。サラリーマンの夫と再婚した後、この店を営む姑を手伝い始めた。姑がおでん、はる江さんが焼きおにぎりを担当。姑が引退するタイミングで店を譲り受けた。
「朝から晩まで本当に働いた。もう亡くなったけど、夫は営業職だったのに、口下手だがら、物が全然売れなくて、稼げなかった。だがら私が朝から晩まで働いて、生活のために必死だった。そうやって息子を大学に行かせて今に至ってる。
今は息子と2人暮らし。息子は頑張って働いでるから私は私でできることやろうと思って。83才だがら、もう働がなぐていいんじゃないかって言う人もいるげど、生きている限りは自分の足できちんと生きていこうって決めてる。
本当に大変なことだらけで、もう一度同じ人生を歩みたいかと言われるとそうではないけれど(笑い)、私のこの手は苦労してきた手。この手のおかげで米をしっかり握れて、焼いても崩れないおにぎりができるんだよ」(はる江さん)
撮影/平野哲郎
※女性セブン2017年9月7日号
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