「100円御用聞き」で高齢者を支える!話題の代行サービスって
忘れられないゴミ屋敷片付け
小回りがきき、安価で、身近な“便利屋”。そんな都合のいい業者は少ない。最近、『御用聞き』では行政からの依頼でゴミ屋敷の片付けのオーダーが続いたという。産廃業者に頼むと桁違いの金額がかかり、福祉系のNPOでは引き受けかねるような隙間案件の相談が増えているのだ。
先日は、地元行政経由で「介護ベッドを搬入する必要があるのに、ゴミだらけで、そのスペースがないお宅の片付け」を依頼された。
「骨折で治療の後、ご高齢のため完治しないまま退院となった方で、ベッド搬入が必要でした。入院前にはご家族やペットが立て続けに亡くなっていて、ゴミも思い出の品もごちゃごちゃに積み上がっていました」
いつもの『御用聞き』の手法「お客さんも口だけ協働」で片付け作業を進めた結果、お客さんは心の整理もついて、2.3トンのゴミを処分することになったという。
「だいたい3LDKで約2.5トンのゴミ処理というのが平均的ではないかと思います。“御用聞き調べ”ですけれど(笑い)」
そして2.3トン分の空間ができた結果、ベッド搬入が可能になっただけではなく、それまではできなかった換気ができて、お客さんはみるみる顔色が変わったそうだ。
「最初は『登頂』という言葉が大げさではないほど部屋にゴミが積まれていて、窓を開けるどころではなかったのです。お客さんは口数も少なく、具合が悪そうに見えました。しかし、片付けが終わり、換気をしたら表情が変わった。そして電球を変えて、玄関の灯りもつけることができました。『数十年ぶりに灯りがついた』と笑顔が見られ、『あなたたちと出前をとって食べたい』と言われました。次の予定があるからとお断りすると、『こんなにお世話になったのに食事も出さないなんて、私はそんな人間じゃない』とちょっとすねてしまって。謝ってなだめながら、お客さんは我がままが言えるほど元気がでてきたのだと思ったら一安心でした。後日、『今度はカーペットを敷いてほしい』と依頼をいただきまして、近く再訪問することになっています」
「頼む人」「サービスする人」「地域社会」三方よしを全国へ!
安心して誰でも利用しやすい有償の“互助”のしくみであり続けるために、お客さんと信頼関係を築きつつ、ビジネスとして適当な距離感を保つよう工夫し、サービスを行うスタッフへOJT(実際の仕事を通じて人材を育成すること)も重視する。
スタッフは、有償ボランティアの大学生や主婦、現役引退後も働きたいと考え、応募してきた高齢者など。大学生の場合、地域の最低賃金以上の給料を得る以外に、大学の「ボランティア」単位取得や就活のため無償活動をする人も少なくないという。
「普段の仕事とは全く違うことでリフレッシュをするのをかねて、ボランティア参加する社会人の方もいらっしゃいます。若い人にとってはとくに、そういう人生の先輩方から直接、体験談を聞けることも貴重な社会経験になるようです」
御用を頼む人、サービスする人、地域社会の“三方よし”を、2020年までには東京全域に、2025年には全国にサービスを拡大する予定で、すでにいくつかの地域で調整中だという。
全国拡大に当たって、自分たちが作ったビジネスモデルを各地に提供する準備も始めている。それではライバルを増やすだけではないのか? そう尋ねると、
「御用を聞くには、地域を理解している必要があります。私たちが全国をカバーしようと考えたら何年かかることか。しかし、御用聞きのライセンスパートナーが全国に増えれば、たとえ私たちの売り上げが下がっても、インフラが広がるスピードは速まるでしょう。
2025年には“身近に御用聞きがいる”が、社会の当たり前になることをめざしたい」
と古市さん。介護を地域で支えるビジネスモデルの一つして注目したい。
【データ】
『御用聞き』
住所:東京都板橋区高島平2-33-1 2F 未来箱内 御用聞き
問い合わせ先:0120-309-540(平日:9:30~17:00)または、facebookのメッセージより連絡