親の介護でYOUの発言が話題!「どこか施設に入って」に学ぶこと
介護に詳しいケアタウン総合研究所の高室成幸さんは、この発言について、こう言う。
「自分で親を介護しなければという気持ちは立派です。しかし、ストレスを抱え込んで仕事との両立ができなくなり、離職をして介護専業を選ぶ人がいます。そうすると社会との接点がなくなり、今度は24時間介護に没頭するストレスに押しつぶされる悪循環に。介護によって経済的にも、精神的にも肉体的にも追い込まれてしまうことになります。だから、YOUさんのような発言はある意味当然のことともいえます」
子供は”介護の素人”。プロに任せることも必要
前出・高室さんは「子供は“介護の素人”」と言う。
「いくら自分の家でも、建てるのは大工さんに任せますよね。それと同じように、介護もプロに学ぶ・任せることが大事です。素人流で介護をするとつい力任せになって腰や肩を痛めたり、食事の介助も無理やりになりがちです。介護事故につながると、親子ともども不幸になってしまいます。なので、介護が始まれば早めにプロから介護のアドバイスを受けたり、プロに介護を任せたりすることが必要です」
実際、YOUの発言は「無責任」にされたものではない。介護のために仕事をセーブし、辞めざるをえなくなれば、親の面倒を見るどころか息子や自分の生活もおぼつかなくなり、二重苦に陥る。その事実を充分に踏まえたからこそ、早めに両親へと告げたのだろう。
ただし、「プロに任せるため施設に入れる」という考えにも注意すべき点がある。
「まずは、『施設に入れる』というと丸投げのように聞こえてしまいますから、『施設に引っ越す』『施設のプロに介護を任せる』と考え方を変えてみてはどうでしょう。外観だけでなく、部屋の広さも本人らしい生活を再現できるように見劣りしないものが理想です。5か所以上の施設を事前に見学しておくとかなり目利きになれます。自分が住んでも心地よいか、が大切です」(高室さん)
しかし、「施設に引っ越してもらう」には大きな経済的負担が生じる。数千万円を超えるような入居一時金と、20万円を超える月額利用料を支払える人は少ない。全員がYOUのように、施設に頼れるわけではないのが現実だ。
一方、入居一時金がかからず、安価に介護サービスが受けられる特別養護老人ホームは全国に約9500か所あり、約57万人が暮らしているが、待機者は約36.6万人もおり、こちらも簡単には入れない。誰もが直面する問題だけに、制度や施設が充実し、経済的なハードルが下がることが期待される。
「ここ数年、サービス付き高齢者向け住宅や、介護付き有料老人ホームの料金は下がって入居しやすくなっています。同居や通いで介護をするなら訪問介護のヘルパーさんに食事や排泄、お風呂などの介助をしてもらいましょう。ポイントは『孤軍奮闘』はしないということ。これからはYOUさんのように、親の介護をプロに任せる、プロから学ぶといえる社会になるべきです」(高室さん)
※女性セブン2017年5月4日号
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