カラオケで出る「幸せホルモン」が認知症を予防!?ノリノリで歌う健康効果
腹式呼吸で、抑揚&情感たっぷりに歌い上げると効果絶大
認知症予防をはじめとするカラオケの健康効果が、さらにアップする歌い方を周東先生が解説してくれた。
「歌のプロの指導では腹式呼吸をすすめられます。これは横隔膜の上下運動による呼吸法で、空気をたっぷり吸ってお腹を膨らませ、腹筋を使って吐きます。腹式呼吸で歌うとよく声が響いて歌もうまくなる上、腹筋が鍛えられ、自律神経も整います。この腹式呼吸で腹筋をしっかり使って空気を吐く量を調節し、声をだんだん大きくする歌い方『クレッシェンド』、逆に小さくする『デクレッシェンド』は、より腸の血行をよくします」
また歌を伸ばすときに声を細かく震わせる『ビブラート』も効果的。この歌唱法は鼻咽腔を共鳴させるので、耳周辺から脳への血行を促進すると考えられています。つまり、これらの呼吸法や歌唱法を意識しながら抑揚をつけて情感たっぷりに歌い上げることで、ますます健康効果が上がるのです」
昔好きだった曲を歌うことが、認知症予防に
歌うことに加えて、カラオケならではの健康効果も注目すべきだ。特に中高年が昔好きだった歌を懐かしんで歌うことで、認知症予防が期待できるという。
「主に歌詞を確かめて歌うことは左脳によく、メロディーやリズムは右脳に作用するので、カラオケの画面に流れる歌詞テロップを追いながら伴奏に合わせ、リズムにのって歌えば脳はフル回転。そして特に中高年は、昔好きだった曲やよく歌った曲を歌うことで、当時の記憶や気持ちがよみがえります。この回想がまた、認知症の改善や予防に絶大な効果があるといわれているのです。
歌うだけでももちろん健康効果がありますが、カラオケで仲間と一緒に楽しく歌うことも大切です。人前で歌い、人に評価される緊張感、人の歌から得られる癒しや共感も、脳を刺激します」
生活習慣病や認知症予防になるなら、恥ずかしがってはいられない。ぜひカラオケに通い、大きな声で情感たっぷりに歌い上げてみては?
周東寛(しゅうとう・ひろし):医学博士 昭和大学医学部卒。南越谷健身会クリニック院長。昭和大学藤が丘病院呼吸器内科兼任講師、獨協大学越谷病院糖尿病内分泌・血液内科非常勤講師。西洋医学と東洋医学を併合し、食事や運動指導、最新の検査機器を導入して予防医学にも尽力。自ら作詞や歌唱を担当した音楽CDもリリースし、歌の健康効果についての講演も行う。近著に『楽しく歌うだけで脳がたちまち若返る! ――もの忘れ・認知症にならない脳トレ 医師と作曲家が共同開発(DVD付)』(作曲家・山田ゆうすけ氏と共著 コスモ21刊)など。
取材・文/斉藤直子