長生きするなら骨を丈夫に!「骨粗しょう症」を予防する食べ物、食べ方を解説
実はスゴイ!脱脂粉乳の実力
40才を過ぎた頃から確実に減っていく骨量。特に女性は、更年期を迎えると女性ホルモンのバランスが崩れることで骨からカルシウムが溶け出していってしまう。カルシウムはもともと吸収されにくい上に、年齢を重ねるとその吸収率はさらに下がってしまうため、男女問わず、中高年を迎えたら意識的にカルシウムの摂取量を増やす必要がある。
ただでさえ吸収率の悪いカルシウム。毎食どう摂取するべきか考えてしまうが…。
「手軽に補給できる食品としておすすめしたいのは、脱脂粉乳です。脂質(飽和脂肪酸)が少なくカルシウムが豊富で、料理の味を壊さずカルシウム補給ができます。脱脂粉乳は大さじ1杯、わずか18gほどでカルシウムが216mgもとれます。これはコップ1杯(200ml)の牛乳を飲むのとほぼ同量です。
普通牛乳やチーズなどは、とりすぎると飽和脂肪酸がLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)値を上げてしまいます。カルシウムは1度に吸収できる量に限界があるので、毎食少しずつ摂るのが効率的です。脱脂粉乳は粉末なので扱いやすく、紅茶やコーヒーに加えて手軽にカルシウム補給ができます。味噌汁、スープ、ごはん、煮物などに少しずつ利用するといいですね。いろいろな飲み物や料理に加えて、ぜひ習慣にしてください」
みそ汁は、かつおだしより煮干しだしで
日常的に無理なくカルシウムを補給できるとても便利な調理法は、毎日だしをとるときに、かつおぶしではなく、カルシウムが豊富な煮干しを使うこと。それも、煮干しを丸ごとミキサーで粉砕して使えば、カルシウムの摂取量はさらに上がる。
「たとえば、みそ汁1杯に含まれるカルシウム量は、かつおだしで4mg、煮干しだしで6mgですが、煮干しを丸ごと使うと110mgにもなるのです。しかも、煮干しを丸ごと食べるとビタミンDもとれます。カルシウム補給というと、ついカルシウムだけに目がいきがちですが、ビタミンDを一緒にとることがとても大事なのです」
その上、煮干しは鉄分や、血液をさらさらにするエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸も補給できる優秀食材。今までかつおだしを使っていた人は、煮干しだしに変更を!
鶏レバーや鰻の食べ過ぎは骨折しやすくなる!?
貧血予防や滋養強壮効果が期待できそう…。そんな理由から、老いゆく体を気遣って、レバーや鰻をよく食べる人もいるかもしれない。確かに、健康維持に欠かせないビタミンAが豊富な両食材ではあるが、だからといって、中高年になってから鶏レバーや鰻をたくさん食べ続けるのは危険だという。
「ビタミンAには、鶏レバーや鰻などの動物性食品に含まれるレチノールと、緑黄色野菜などに含まれるβ-カロテンの2種類があります。そして、動物性のビタミンAを1日の摂取基準(2700µgRAE)を超えて摂り過ぎている人は、推奨量より少ない人に比べて、骨折しやすくなる可能性があることが『日本人の食事摂取基準(2015年版)』で報告されています。この報告には賛否両論ありますが、警告として心に留めておくことは大事だと思います」
ほかにもレチノールが多い食材は、あん肝、鰻の肝、レバーペースト、フォアグラなど。こうした食品が好きな人や、ビタミンAのサプリメントをとっている人は、レチノールの過剰摂取に注意が必要だ。