元イタリアンの料理人が腕をふるう介護付有料老人ホーム<前編>
味噌やぬか漬け、塩麹まで手作りにこだわる
アルタクラッセ二子玉川は“手作り”にもこだわっている。
「あらゆるものを作っています。味噌やぬか漬け、塩麹…。ラーメンの時はゲンコツから出汁を取っていますよ。でき合いのものはどうしても飽きてしまうので、とにかく手作りしています」
ほぼ全てが手作りで、甘酒まで作っているというから驚きだ。実際に甘酒をいただいてみたが、スッキリとした甘さで飲みやすい。栄養価も高く、入居者にも好評だという。見学に訪れた際の甘酒が決め手になって入居を決めたというエピソードもうなずける。仕入れ先も顔の見えるところから安心できるものを選んでいるとのことで、地元の米穀店、青果店から仕入れ、魚は築地から仕入れている。国産のブランド鶏も使うこだわりようだ。
吉野さんに自宅で介護をしている人へのアドバイスを聞いた。
「ここで働いていて一番重要だと思うのは、食べる意欲です。香りや見た目で食べる意欲を高めることが大切です。食べやすさも重要ですが、焼き立てのパン、炊き立てのご飯の匂いのように、まずは食欲をかき立ててもらうことですね」
ご飯をお茶碗で出しても食べない人が、おにぎりにすると食べてくれたりするという。ちょっとした一工夫で全然違うのだ。
「それぞれ大変な状況もあるかと思いますが、作る側が楽しんで作ると、おいしく食べてくださいますね。辛いな、嫌だなと思いながら作ると料理にも出てしまうので…。自分がおいしいと思うものを出すことが大切です」
吉野さんは朝昼晩、そしておやつの全てを作っている。なにより口から食事を取ることが健康につながるので、常時、甘酒が飲めるようにするなどの対応も。また、入居者のためのこだわりはとどまることを知らず、何と部屋でステーキを焼いたこともあるという。ホットプレートを部屋に持っていき、火災報知器が鳴らないかヒヤヒヤしながら目の前で焼いたところ、家族にも大いに感謝されたそうだ。
* * *
施設を選ぶ際の指標として、日々の食事のクオリティーが占めるボリュームは非常に大きい。食べることが楽しみなアルタクラッセ二子玉川は、そういう意味では抜きんでている存在だ。
次回、後編では支配人の道端伸典さんに、食事へのこだわり以外の特長もうかがいながら、施設内を詳細に紹介していきたい。
【データ】
施設名:アルタクラッセ二子玉川
公式WEBサイト:http://www.sc-altaclasse.com/
所在地:東京都世田谷区玉川3-40-21
最寄駅:東急田園都市線・東急大井町線「二子玉川」駅より徒歩約8分
類型:介護付有料老人ホーム
運営主体:セントケア東京株式会社
敷地面積:1255.66平方メートル
延床面積:2507.41平方メートル
室数:50室
入居要件:60歳以上、入居時自立・要支援・要介護
構造:鉄筋コンクリート造5階建
開設年月日:2006年10月1日
料金:1+2
1 入居一時金
<利用権方式>
・終身利用権2520万円~(72か月~)
・短期利用権:420万円~(12か月)
※料金は部屋タイプ・入居時の年齢・階によって異なる
2 月額利用料
自立の場合/28万4610円+その他費用
要介護の場合/28万4610円+介護保険自己負担額+その他費用
撮影/津野貴生
【このシリーズのバックナンバー】
●医療法人が運営するクリニック併設の介護付有料老人ホーム<前編>
●医療法人が運営するクリニック併設の介護付有料老人ホーム<後編>
●個別の機能訓練に対応した介護付有料老人ホーム<前編>
●個別の機能訓練に対応した介護付有料老人ホーム<後編>