障害をもった人が好きな服を着られる社会を目指す
講座の最終日にはからだの不自由な人がゲストとして登場
講座の最終日には毎回、からだの不自由な人がゲストとして登場する。生活や社会の中でどのような苦労をしてきているか、まさに生の声を聞く。自分のからだのせいで既製服は着られないとあきらめていたが、工夫して直せば着られるということを知り、世界が変わったといった話を実際に聞くことができるのだ。
「1回目の知識、2回目の実技、そして実際に着る人の話しを聞くと、もともと問題意識のある受講生が多いですから、自然といろいろなアイディアが浮かんできたり、思いがあふれてきたりします。これを受講生のみなさんでディスカッションするのが第3回目です。
この3回目で考えがガラリと変わる人も多いです。最近の例では、介護学校の先生で食事や排泄、衣服の着脱の講義をしているという受講生。彼女は、既成の服を手際よく着せることが自分たちの仕事だという立場にずっとこだわっていました。仕事の現場でも、高齢者や障害のある人が“好きな服を着たい”ということを考えたことがなかったというのです。それが受講生という立場で、3回目のゲストの話や同じ受講生の話を聞いて心動かされ、社会にはいろいろな人がいて、自分の着たい服を着られないことが大きな問題となっているという視点を初めて持てたと。大きな成果でした。
誰もが好きな服、着たい服を着られるようになるためには、作り手、着る人、介護する人、誰かだけが変わるのではなく、みんなが影響し合って変わることが必要です。そのためにも出会いが大切。この講座がそういった出会いと自分の変化のきっかけになればと思っています」
「世の中には健康な人、子供、高齢者、病気や高齢でからだの不自由な人など、いろいろな人がいる」
文・写真/まなナビ編集室
初出:まなナビ