認知症ケア「ユマニチュード」|在宅介護で実践できる 5つのステップ
ステップ4「感情の固定」
介護を担う人が、ケアを終えたときに「お疲れさま」と、ケアを受けている人に言っている場面をよく見かけます。病院や介護施設だけでなく、在宅介護でも、おむつ交換や着替えを終えると「お疲れさま」と何気なく。
心地良い時間を過ごした後に、「お疲れさま」ということは、日常生活ではあまりないことです。たとえば、好きだな、と思っている人とデートをした日の別れ際に、相手から「お疲れさまでした」と言われたら、どうでしょう。デートはぶちこわしですね。ケアは、互いにとって良い時間を過ごした、心地良いものであるはずなのに、「お疲れさま」と終わるのはちょっと変です。
ユマニチュードではケアの終わりに、気持ちよくケアできたことをお互いに確認し、次のケアにつなげる「感情の固定」のステップを大切にしています。
認知症の方は、次にケアに訪れた時、前回のケアのことも、ケアをしてくれた人のことも忘れてしまっていることがあります。それでも、「この人は嫌なことをする人だ」という感情は覚えているものです。というのも、認知機能が低下してくると、判断は脳の感情記憶を通して行うようになるからです。
そこで必要になるのが、以下の感情をしっかり確認しあうことです。ここではシャワーを浴びた時の例を示してみましょう。これによって、ケアする人とされる人に絆が生まれ、次回のケアをスムーズなものにさせてくれるのです。
●今回のケアをポジティブに確認する:「シャワーを浴びて気持ち良かったですね」●ケアに協力してくれたことを感謝する:「たくさん協力してくださりありがとうございました」
●ケアをしたことでよかったことを述べる:「さっぱりして、ますますお肌がツヤツヤ、おきれいですね」
●共有した時間によってこちらが幸せになったことを感謝する:「楽しい時間を過ごせました。ありがとうございます」
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