設備が充実、展望大浴場も備えた介護付有料老人ホーム<後編>
「認知症予防にも力を入れています。そのためのプログラムも完成しました。年明けから実践していき、認知症になりにくいホームを目指します。この取り組みは、脳を刺激する運動プログラムが認知症予防に有効であるという大学の研究で得られたエビデンスを基にしています。今後も、付加価値の高いサービスを提供していくために必要なことを行っていきます。
介護業界も今後は、ますますサービスの品質が問われてくると考えております。それを見据えて、根拠のはっきりしたものをご提供していきたいですね」(鮫島さん)
確かなエビデンスに基づいていることが、サービスの品質向上には欠かせないという矜持を感じる。新たに始まるという認知症予防への取り組みに、今後も注目していきたい。
入居者のための徹底したスタッフ教育
クラーチ・エレガンタ本郷はハード面が充実しているだけではなく、それにふさわしいソフト面にも力を入れている。人対人の仕事であるため、人材教育に注力しているのだ。
介護の仕事をネガティブに捉える向きもあるが、「楽しくなければ仕事じゃない」ということを社内で伝え続けているという鮫島さん。掛け声だけでなく、合宿、動画を使った研修を導入するなど、社員の能力、意欲向上にも力を入れているそうだ。また、スタッフを表彰し、福祉先進国と言われているデンマーク、スウェーデンへの研修旅行も実施しているという。こういった取り組みが巡り巡って入居者へのサービスに反映されていくのだろう。
「スタッフの採用時に重視しているのが誠実さ、向上心、人を喜ばせる力です。そこを大事にしてやってきました。新しいことに挑戦していくことが社風なので、スタッフからの提案も積極的に取り入れています。
お客様にどうしたら喜んでいただけるかを常にスタッフ全員で意識していまして、たとえば9月に社内で事例発表研究大会を行いました。そこでは、各ホームが新しく作った提案や取り組みを発表し、それを共有します。単なる発表の場ではなく、組織として成長することを目的としています。本郷は『ハートフェルトギフトカード』を発表しました」(鮫島さん)
カードを作るにあたって、最初は500もの言葉を出し、そこから100くらいに絞っていったとのこと。各自がカードを携帯し“その日一日大切にすることを宣言する”という取り組みを行っているという。
会社として施設は増やしているが、同じようなものをたくさん作るという方針ではないとのことだ。リスクに関することや基本のサービスのことなどは標準化しているが、人を喜ばせること、つまり付加価値になることは現場の裁量に任せているという。
そのことが自主的に工夫をする環境を作り、ハートフェルトギフトカードのような取り組みを生んでいる。現場発のアイデアが全社に伝わるようになっているのだ。入居者のためのハードもソフトも整っているここクラーチ・エレガンタ本郷は、さすがにとても人気が高いようだ。関心がある方は見学をしておき、タイミングと空き状況がマッチするように備えておくことをオススメする。
【データ】
施設名:クラーチ・エレガンタ本郷
公式WEBサイト:https://www.kuraci.co.jp/house/kuraci/hongo/
所在地:東京都文京区向丘2-2-6
最寄駅:東京メトロ南北線東大前駅より徒歩1分(地上出口より約30メートル)
類型:介護付有料老人ホーム
運営主体:株式会社クラーチ・エレガンタ本郷
敷地面積:3397.13平方メートル
延床面積:14397.44平方メートル(うち有料老人ホーム部分7019.53平方メートル)
総戸数:78戸
入居要件:入居時自立、要支援、要介護
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造地上11階建
開設年月日:2004年8月31日
料金:入居一時金/3960万~6920万円、月額費用/22万6880円(一人入居の場合の管理費、食費、家賃相当額)
撮影/津野貴生