終の棲家としての老人ホーム<3>全国の看取りが凄い施設
光ハイツ・ヴェラス真駒内公園(北海道札幌市南区)
終末期研修制度で認知症対策も万全
「仏作って魂入れず」では入居者の看取りが満足にできないという考えから、看取りの経験が少ない介護職員の研修を行なう終末期ケア委員会を14年に設置。認知症ケアや終末期の緩和ケアなど、入居者にストレスを伴わない最期を迎えてもらえるよう、準備に力を入れている。
同施設で妻を看取った男性が振り返る。
「認知症を患った妻が職員に乱暴に当たることもありましたが、慣れた様子で優しく対応してくれました。妻の性格をレポート用紙にまとめ、看護師、介護士らで共有していたのです。延命治療を拒否する妻の意向も汲んでくれ、穏やかな最期を迎えられました」
同施設は札幌市の札幌真駒内滝野霊園の一角に共同墓地を開設。永代供養を受けることもできる。
チャームスイート緑地公園(大阪府豊中市)
終末期には欠かせない積極的な口腔ケア
要介護者が発症しやすい誤嚥性肺炎の予防には、口腔ケアが必須。この施設は1階に歯科が入っており希望者への定期訪問診療のほか、歯科医と施設職員との会議で入居者の口腔情報を共有している。
嚥下機能の維持・向上を目的とした「パタカラ体操」などの取り組みもある。誤嚥性肺炎で苦痛と共に最期を迎える人も少なくない。口腔ケアの充実した施設は魅力的だ。
フェリオ多摩川(東京都大田区)
「遺族へのケア」も欠かさない職員への死生観教育
職員に死生観教育や湯灌(遺体を洗い清めること)、エンゼルメイク(死化粧)などの研修を定期的に行ない、「看取り」の向上に力を注ぐ。
入居者の死亡後1か月を目途に、家族に向けてスタッフの寄せ書きを添えた、施設での生活の軌跡を収めた写真アルバムを送付。きめ細かい対応を心掛ける。
看取り後も遺族との交流が続くことも珍しくないという。
【データ】
施設の種類/開設年月、(入)入居定員、(看)入居者と看護・介護職員の比率(入居者:職員)、(ベ)経験5年以上のベテラン職員の比率、(看取)昨年死亡で退去した人数と施設での看取りの人数、(一)入居一時金(月)月額費用
※料金は80歳の人が単身で入居した場合を想定。複数の料金プランがある場合は「入居一時金」が最も安いプランを掲載した。「月額費用」には、家賃、食費、水道光熱費などを含む。介護保険の1割負担分は含まない。消費税抜きの金額を掲載。施設名の「住宅型」は住宅型有料老人ホーム、「介護付」は介護付き有料老人ホーム、「サ高住」はサービス付き高齢者向け住宅、「特養」は特別養護老人ホーム
ライフ・イン京都
介護付/86年11月 (入)82人 (看)2:1以上 (ベ)82% (看取)22/29人 (一)1965万円 (月)25万3300円
家族倶楽部
介護付/09年12月 (入)115人 (看)2:1以上 (ベ)80% (看取)33/34人 (一)190万円 (月)25万3272円
光ハイツ・ヴェラス真駒内公園
介護付/06年7月 (入)一般棟142人、介護棟54人 (看)2.5:1 (ベ)看護師50%、介護士55.8% (看取)4/11人 (一)1020万円(介護棟) (月)15万5800円
チャームスイート緑地公園
介護付/06年11月 (入)128人 (看)3:1 (ベ)36% (看取)3/16人 (一)0 (月)23万333円
フェリオ多摩川
介護付/09年3月 (入)70人 (看)1.5:1 (ベ)80% (看取)2/3人 (一)2475万円 (月)27万5400円
※週刊ポスト2016年9月30日号