サービス

生活視点の「ライフマネージャー」を配置した介護付有料老人ホーム<後編>

ソナーレ祖師ヶ谷大蔵

 ソニーが手がけた「ソナーレ祖師ヶ谷大蔵」は「Life Focus」というコンセプトを基にライフマネージャーというオリジナルの職種を設けている。できるだけ入居者の希望が叶う生活の実現のために、その支援を行うのがライフマネージャーだ。ホームに常駐し、入居者と日々顔を合わせながら、介護視点のケアマネージャーとこ のライフマネージャーが両輪となって運営にあたっているのだ。

 今回の後編では、個々人に最適化した眠りを提案するための「スリープマネジメント」の導入や、身体状況の変化や生活の継続を意識した居住性を高めるための独自の工夫について紹介していきたい。

 スリープマネジメントとは、生活習慣や眠りの環境を整えることだ。睡眠は日々の生活の質に大きな影響を与える。夜なかなか寝付けない、夜中に目が覚める、朝早く目が覚めてしまうなど、睡眠の悩みを抱える高齢者は多い。眠気が原因の転倒事故も発生する。ソナーレ祖師ヶ谷大蔵は、生活の質を高めるためにベッドとマットレスにこだわり、睡眠計まで備えている。

 入居者の「睡眠の質」向上を目指したスリープマネジメントへの取り組みとしては、以下の3つの項目を掲げている。

1:生活習慣および睡眠環境両面からのアプローチと睡眠改善に向けたプログラムの実施
2:現在の身体状態に最適で、将来の身体状態の変化にも対応可能なマットレスフィッティング
3:睡眠の“見える化”と医学的・科学的根拠に基づくマネジメントの推進

 また、睡眠の質を上げるためには、ただ寝る時の環境を整えれば良いというものではない。日中の生活リズムにも配慮して、睡眠を意識した朝の日光浴や夕方のレクリエーションを取り入れている。

「全身の測定ができる体圧計も導入しました。おひとりおひとり計測して、最適な体圧分散ができるように硬さの違うマットレスを組み替えています」(ライフマネージャーの山田悟氏)

 これはオプションサービスではなく、標準の仕様で入居者全員が対象だ。各居室には、寝心地と機能性・デザイン性で選んだドイツのフェルカー社製のベッドが設置されている。

「生活の質を上げるためには、夜しっかり寝ていただくことが重要です。睡眠が昼の活動意欲の向上に大きく関わってきます」(前出・山田氏)

「スリープマネジメントの推進に関しては医療機関とも連携して実践しています」(ソニー・ライフケア広報・中静道子氏)

 居室にも随所にコンセプトが表れている。間口が3.4メートルと広く取ってあるため、車椅子でも楽に出入りがしやすい。また、ベッドや家具のレイアウトを変更しやすいように正方形に近い形に設計してある。住んでいる間に当然のことながら、身体には変化が出てくる。それを前提に考えられているので、安心して長く住むことができる。何とナースコールの場所も変更できるようになっているのだ。


 居室の扉には独自企画の遮音引き戸が採用されており、床との間に隙間がほとんどなく、プライバシーも守られている。プライバシーとパブリックを分離するというコンセプトから生まれた引き戸だ。外の音も気にならないため睡眠にも良い影響を与えるだろう。また“見守り”の観点から一部にガラスのスリットが入った室内が見える引き戸を選択することもできる。

 もう一つ注目したいのは、スタッフの働きやすさにも配慮している点だ。負担軽減、腰痛予防のためにリフトが導入されている。介護スタッフの採用難や離職が問題になって久しいが、腰痛が理由で辞めざるを得ないケースも少なくない。入居者からすれば、継続的に同じスタッフがいた方が安心感を持てる。スタッフが長く働くための工夫は、入居者にとってのメリットでもあるのだ。

「腰を壊したら仕事に支障が出るので取り入れました。リフトを使うと入居者の方の顔、表情を見ながら介助ができることも利点です」(前出・山田氏)

 自分自身や家族のために施設を見学する際のチェックポイントを聞いてみたところ、サービスの内容や費用について確認することはもちろんだが、山田氏、中静氏のお二人とも「ホームとの相性が大切なので、全体的な雰囲気を感じることが重要だ」と教えてくれた。スタッフや入居者が作る雰囲気もこれに入る。こればかりは、実際に訪れて感じることが必要だ。見学は随時受け付けており、食事のことなど遠慮なく何でも聞いてほしいとのことである。もちろん入居予定の本人が難しい場合は、家族の見学も歓迎である。


「ソニーの介護」、「スリープマネジメント」、「ライフマネージャー」…何か一つでもピンとくるものがあれば、見学に行ってみてはいかがだろうか。「Life Focus」というコンセプトを随所に感じることができるだろう。お題目で終わっていないことは保証する。

施設_ソナーレ13

【データ】
施設名:ソナーレ祖師ヶ谷大蔵
公式WEBサイト:http://www.lifecaredesign.co.jp/sonare/soshigaya/
所在地:東京都世田谷区祖師谷三丁目26番3号
最寄駅:小田急小田原線「祖師ヶ谷大蔵」駅 徒歩4分(約295m)
類型:介護付有料老人ホーム(特定施設)
運営主体:ライフケアデザイン株式会社
(ソニー・ライフケア株式会社100%子会社)
敷地面積:1,408.79㎡
延床面積:2,170.68㎡
居室数:46室(全室個室/内訳:1人用個室44室、2人用個室2室)
定員数:48人
入居条件:入居時、原則満65歳以上、自立・要支援・要介護の方。ただし、自立の方は2人用個室を2人で利用する時の1人に限る。
居室面積:最多居室面積/18㎡
構造:鉄筋コンクリート造、地上3階建て
開設年月日:2016年4月1日
料金:1 前払いプラン(前払い期間:3・5・7年)、2 前払いプラン(終身)、3 月払いプランの3種類のプラン
※代表的な料金プランの例
Aタイプ(18㎡)へ入居の場合(上乗せ介護費は要介護度3の方の場合)
1 前払いプラン(5年前払いの場合)
前払い金額:15,514,200円、月額利用料:232,200円
2 前払いプラン(終身・85歳で入居の場合)
前払い金額:24,336,000円、月額利用料:264,600円
3 月払いプラン
前払い金額:なし、月額利用料:494,600円
運営会社:ライフケアデザイン株式会社
(英文社名:Lifecare Design Inc.)
本社所在地:東京都渋谷区渋谷三丁目11番11号
代表者:代表取締役社長 出井 学
事業内容:有料老人ホームの企画開発・運営
設立:1999年10月
資本金:695百万円
株主:ソニー・ライフケア株式会社100%
運営施設:ぴあはーと藤が丘(神奈川県横浜市青葉区)、ソナーレ祖師ヶ谷大蔵(東京都世田谷区祖師谷)

撮影/津野貴生

【この記事の前編】

生活視点の「ライフマネージャー」を配置した介護付有料老人ホーム<前編>

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