双子は長寿、多産な女性のほうが長生き説 その理由とは?
人が長生きする確率は、意外なことで変わってくるとの説がある。たとえば、出産。子供の数で寿命が変わってくるというデータがあるのだ。
40代で出産した女性は100才まで生きる人が多い
ヒトには、テロメアと呼ばれる、老化するほど短くなるという染色体末端部位があるが、子供の数が多いほど、このテロメアが短くなるスピードがスローペースであることがわかった。つまり、多産な方が長生きしているのだ。また、多産の女性が長寿なのは別の要因もあると、出産ジャーナリストの河合蘭さんは言う。
「多産な人は高齢出産をしています。そして高齢妊娠できる人はもともと老化が遅い人が多いのです。40代で出産した女性は100才まで生きる人が多いという研究データもあります(1997年、ハーバード大学医学部のトーマス・パール教授の研究による)」
子供の数が多いほど卵巣がんが減るというデータもある。
「排卵では、卵巣の表面を破って卵子が出てくるので卵巣は傷つきます。妊娠・授乳期は排卵が止まるので、その負担が軽減できるのでしょう」(河合さん)
母親なら、「わが子が成人するまでは」「結婚するまでは」「孫の顔を見るまでは」元気でいたいと思うもの。気の持ちようで、ハッスルできるのかも?
双子は、男性で6%、女性で10%寿命が長いという研究結果も
双子の場合はどうだろうか。ご長寿の双子といえば、きんさん(享年107)ぎんさん(享年108)が有名だが、総じて双子の寿命は、その他の人より長いという研究結果が存在する(調査は1870~1900年、デンマークの研究者チーム)。双子の男性で6%、女性で10%も、寿命が長いのだ。
理由はまだはっきりしていないが、健康長寿について詳しい医師の斎藤糧三さんは、「経済面や精神面で助け合えるなどの要因が大きいのはないか」という見方も。
「また、不妊治療をすると、人工授精かどうかに限らず、双子を出産しやすいというデータがあります。不妊治療ができる人は、いわば経済的に余裕があったり、社会的なサポートを受けやすい環境と考えられ、そうした理由で子供は長寿になるのかもしれません。ただし、不妊治療が盛んに行われるようになったのはもっと後のことなので、調査対象となった高齢者の双子には、その見解は当てはまりません」(斎藤さん)
また、母乳が免疫力を高めるとの説があるが、「母乳で育った子供と粉ミルクで育った子供」ではどちらが長生きなのだろうか。
米・カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究によると、母乳のみで育った子はテロメア(老化するほど短くなるという染色体末端部位)が長い子供に育ち、老化が遅まるという(『American Journal of Clinical Nutrition(アメリカ臨床栄養学誌)』に掲載(2016年))。
これについては、ハッキリした理由はわかっていない。
※女性セブン2016年9月29日・10月6日号