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健康

日本人初・米ハーバード大卒歯科医が教える【口と歯の健康】を守る10のメソッド「老化は口から始まる」

 100才まで自分の歯で噛み、食べ続けるために大岡さんが推奨するメソッドをまとめた。

「歯肉へのマッサージ効果やケアを重視するブラッシングは、極端に言えば1日1回でも構いません。ただし、それは『就寝前』に行なうことが絶対条件です」

 食後など1日数回短時間に分けて行なうより、就寝前に15分程度をかけ、徹底的にケアすることが肝要だという。

「日中は食事や会話などを通じて唾液が大量に分泌されます。唾液には強力な抗菌作用や、食事で酸性に傾いた口内を中和する自浄作用があるため、食事のたびに細菌が増殖しても唾液が口内環境をある程度整えてくれる。一方、睡眠中は唾液の分泌量が著しく低下し、口内は細菌が最も繁殖しやすい危険な環境になります。だからこそ、寝る前に汚れをなくし、極力清潔にすることが歯周病の進行を食い止める最大の鍵となります」

 その際、歯ブラシを勢いよく動かしてシャカシャカ音を立てるやり方では汚れが落ちないという。

「ゴシゴシ、シャカシャカと音が立つやり方では、大ぶりで力が強すぎます。繊細な歯肉を傷つけるだけでなく、歯周ポケットの汚れも落ちません。ブラシの毛先を歯周ポケットに入れたら、数ミリの振り幅で小刻みに歯肉を揺らすように動かしながら、1本の歯を数往復してブラッシングするのがコツです」

 使用する歯ブラシは「超極細」や「やわらか」ではなく、毛に適度なコシがある「普通」の硬さのほうが、汚れを除去しやすく、歯肉へのマッサージ効果が期待できる。

 ブラッシングで歯肉から出血することがあるが、それは「正しくブラシが当たっているサイン」だという。

「ブラッシング時の歯肉からの出血は、歯肉に溜まった炎症の原因物質を多く含んでおり、ある意味で『良い出血』です。出血を恐れず適度な力加減でブラッシングを続ければ、10日から2週間ほどで出血が減り、歯肉が引き締まって健康な状態に戻るはずです」

 ブラッシングの際に歯磨き粉を多く付けたり、前後に液体のマウスウォッシュでうがいをすることは、口の中の状態について錯覚を生じかねない、と大岡さんは注意を促す。

「口内の殺菌を謳うマウスウォッシュやうがい薬は口臭予防や一時的な爽快感といったメリットがありますが、それで細菌がゼロになるわけではありません。細菌のエサとなる食べかすなどの汚れを物理的に取り除くことこそが、歯周病対策のブラッシングの目的です。

 同様に、ミント風味など歯磨き粉の強い爽快感も『きれいになった』との錯覚を引き起こしがちなので、まずは歯磨き粉などに頼らないケアを意識することが重要です」

アメやガムはNG。電動歯ブラシは知覚過敏や痛みを引き起こす可能性も

 手よりも高速度でブラシを動かせる電動歯ブラシについては、こんな懸念があるという。

「例えば1分間に約3万回振動する製品を使用した場合、わずか2、3秒で1000から1500回という強烈な振動を与えることになります。この強すぎる振動が、歯肉を退縮させて知覚過敏や痛みを引き起こすリスクがある。手先の自由が利かないなど特別な理由がない限り、電動歯ブラシの安易な使用は避けるべきでしょう」

 高齢になるとむし歯や歯周病で歯を失うケースも多いが、入れ歯やブリッジ、インプラントなどの人工物が口腔内にある場合は、さらに入念なケアが必要になる。

「口内の人工物は慢性的に不潔な状態になりやすく、健康な歯以上に厳密な清掃が求められます。L字型歯間ブラシやピンポイントで磨けるワンタフトブラシを併用し、集中して汚れを落とすことが重要です」

 歯のケアを考えるうえで、大岡さんが「危険な習慣」というのが、アメやガムの常用だ。

「のどアメなどを頻繁に口に含むのは、歯を砂糖水に漬け込んでいるのと同じ状態です。ガムの常用も甘味に慣れてより糖分を求めがちになるので控えましょう」

 自身の口の状態にあった指導をしてくれる歯科医師や歯科衛生士を見つけることもポイントだ。

「治療が終わった際など、『どこに汚れが溜まりやすく、どう磨けばいいか』を直接聞き、丁寧に指導してくれる歯科医師や歯科衛生士を見つけることが自分の歯を守る確実な方法です。元気な今のうちに正しいブラッシング習慣を身につけること。それが、長く健康を保ち、いわゆる『ピンピンコロリ』を実現するための最強の防衛策なのです」

100才まで「自分の歯」で噛む・食べる!大岡式メソッド10

【1】「虫歯がゼロ」の人は早めに受診

 虫歯ゼロ=歯周病ゼロとは限らない。これまで「むし歯がなかった」人は歯科医にかかる機会が少ないため、口内が“汚れの巣窟”と化している可能性がある。

【2】マウスウォッシュに頼らない

 口臭予防で使う機会も多いが、口内に存在する数億~数兆の細菌を完全に死滅させることは不可能。爽快感で口腔ケアした気にならず、ブラッシングに注力。

【3】歯磨きは1日1回でもいい

 絶対条件は、細菌が繁殖する睡眠時の直前に丁寧なブラッシングをすること。歯肉へのマッサージ、ケアがしっかりできれば、毎食後の歯磨きは必ずしも必要ではない。

【4】歯磨き粉の使いすぎに注意

 歯磨き粉の強い爽快感は「綺麗に磨けた」という錯覚を引き起こしがち。また口内が泡だらけの状態では、鏡を見てもブラシの位置が適切か判断できないため逆効果。

【5】音を立てずに磨く

 強い力で「ゴシゴシ」「シャカシャカ」磨くと、繊細な歯肉を傷つけるリスクが大きい。歯ブラシの毛先を歯と歯肉の境目に当て、ゆっくり丁寧にブラッシングするのが理想。

【6】歯ぐきからの出血を恐れない

 歯磨き中の出血は、歯と歯肉の間に「ブラシが正しく当たっている」サイン。歯科医師の指導のもと、適切な力加減でブラッシングを続ければ、短期間で健康な歯肉を取り戻せる。

【7】極細ブラシを使わない

 やわらかな「超極細毛」ブラシで頑固な汚れは落ちにくく、歯肉へのマッサージ効果も期待できない。ブラシは「普通」の硬さで、小回りが利くヘッドが小さいものを選ぶ。

【8】電動歯ブラシに頼らない

 手先の自由が利かないなど特別な理由がなければ、使用は慎重に。強い振動により痛めつけられた歯肉が退縮することもあり、知覚過敏や痛みを引き起こす原因にも。

【9】舌ブラシに要注意

 舌は胃粘膜の延長のようなデリケートな組織。気になる舌苔(白い汚れ)は慢性的な胃腸の不調が原因のことも多い。力任せに舌磨きをせず、ブラッシングに注力を。

【10】アメ・ガムを常用しない

 口内の渇きを潤す(唾液分泌を促す)ため、アメやガムを常用するのは逆効果。甘味に慣れるとより糖分を求めてしまうため、水や白湯で代用。口寂しければ禁煙パイプも代用に。

※週刊ポスト2026年5月22日号

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