向かって左から、弟、母、私。この3人で写真を撮るのは初めてだ(写真提供/石原壮一郎、以下同)
在宅で看取ると決めたときに、訪問介護の看護師さんが「ご参考までに」と置いていってくれたパンフレット。「(3)約48時間~数時間前」の次は「(4)旅立ちのとき」のページがあり、さらに死後の手続きについても詳しく載っている
「15日前」の朝食。お粥もおかずも、ひと口かふた口が精いっぱいだった。お見舞いにいただいたメロンやプリン、アイスは、少しずつ一日に何度も食べていた。話せた頃は「こんなおいしいもんばっかり食べとってええんやろか」と、冗談交じりに言っていた
久しぶりに握った母の手は、分厚くてあたたかかった。手を握りながら、いろんな話をした。外食や旅行の思い出を話すこともあったが、ベッドから起きられなくなった頃から、「また行きたいなあ」という言葉は、むしろ残酷な気がして言えなくなった
50数年前に、父の友人グループ10家族ほどで鳥羽に旅行に行ったときの写真。父35歳、母30歳ぐらい。当たり前だが、この先どんな人生を歩んでいくかは誰も想像できていなかった。振り返ると、4人にとってそう悪くない未来が待ってくれていた気がする
孫とひ孫と交わした旅立つ直前のビデオ通話。母は声は出なかったが、話したいことや伝えたいことがいっぱいあったに違いない。「大事な電話」になる予感がして、動画を回した。そんなことしている場合ではなかったのだが、母はきっと許してくれるだろう