親の家の片付けの始め方「”捨てる”はNG!大切なモノを引き継ぎたいと伝えて」5つのポイントを専門家が解説
年末年始、久しぶりに帰省をしたら、モノであふれた実家にうんざり――「何とかしなくては」と思いつつ、日々の忙しさを口実に後回しにしていませんか?年末年始の帰省時は実家の片付けをするいい機会。20年以上のキャリアをもつ遺品整理の達人に、5つのポイントを教えてもらった。
教えてくれた人
遺品整理業者・内藤久さん/「遺品整理の埼玉中央」代表。2002年に埼玉県さいたま市で会社を立ち上げ、作業累計数は約2200件。主な著書に『図解 親ともめずにできる これがリアルな実家の片づけです。』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
生前整理のポイントは整理術より“言い方”
近年、空き家や実家の片付けの問題が注目され、遺品整理の業者が急増。併せて家の中の整理・掃除術が多数紹介されているが、20年以上、生前や死後の整理に携わってきた遺品整理業者の内藤久さんは、「実家の片付けにおいて大切なのは、整理術よりも親とのコミュニケーションです」と言う。
親が元気なうちに、話し合いながら整理をする生前整理こそ、親の家の片付けをするうえでの理想形だという。
「遺品整理では、何を捨てて何を残すべきか、親に聞けません。子供といえど、親が何を大切にしていたかわからずに戸惑うケースが多いんです。ですから、親子で一緒に生前整理を行う方がスムーズかつ納得のいく片付けができるんです」(内藤さん・以下同)
とはいえ、親に生前整理を切り出すのは難しい。「いらないモノは捨てよう」などと言えば、関係が悪くなることも。
「ご高齢のかたは、モノを大切にとっておくのをよしとしてきました。ですから、“のがおすすめ捨てる”と言わず、大切なモノを“引き継ぎたい”と伝えるです。通帳や証券、権利書などの保管場所も問い詰めると、何の目的かと警戒される可能性があるので、“私は大切なモノをたんすにしまっているんだけど、お母さんはどこにしまっているの?”というように誘導するといいでしょう」
実家が持ち家の場合、生前に、売却しても構わないかだけでも確認しておくことが大切だ。
加えて、遺品で最も量が多く、かつ捨てていいのか迷う衣服、写真、手作り品については、どうしてほしいか聞いておこう。
作業時間が短ければいい業者とは限らない
親の生前に捨てるモノ・残すモノ・保管場所を聞き出せたら、片付け自体は業者に任せてしまってもいい。アパートの場合、10万円から依頼できる。ここで大切なのは業者の選び方だ。
「作業時間が短ければよいというわけではありません。できればヒアリングの段階から親身になってくれて、現場にも同じ担当者が来て、“あるはずの通帳が見つからない”といった相談にも対応してくれる業者がおすすめです。また、人からの紹介や営業年数の長い業者を選ぶのもポイントです」
捨てるのは簡単だが、あとで後悔しても取り返しがつかない。親子で納得のいく落としどころを見つけるのが大切なのだ。
親の実家の片付けのポイント5選【まとめ】
・大切なのは整理術よりも親とのコミュニケーション
・生前整理は親が元気なうちに、一緒にすすめる
・「捨てる」と言わず「引き継ぎたい」と伝える
・持ち家を売却しても構わないかだけでも確認を
・業者は「作業時間」よりも「相談に対応してくれる」ところを選ぶ
取材・文/上村久留美
※女性セブン2024年1月4・11日号
https://josei7.com/
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