「1日3回の歯みがきと歯間ブラシ」「座る時間を50分減らす」で血圧が132、血糖値が90台に改善【医師が教える同時に数値を下げるメソッド】
日常動作のなかでも「筋肉量を減らさないよう鍛える」工夫は可能だ。
「1日に座る時間を50分減らすと、3か月後にはインスリンが効きやすくなり血糖値が低下したとの研究結果もあります。家の中では趣味や作業で立って過ごす時間を増やし、外出時には最寄駅の1つ手前で降りて歩くなど、なるべく歩いて座らない生活を心がけるだけで、血圧や血糖値の改善は可能です」(同前)
ぬるめのお湯につかる。睡眠は7時間が目安
食事や運動以外の生活習慣を少し変えるだけでも血圧や血糖値を下げる機会を作ることができる。
「例えば入浴時に熱い湯に浸かると交感神経が優位になり血圧が急上昇し、のぼせによる脱水で高血糖を引き起こす恐れがあります。38〜40℃のぬるめのお湯に10分程度を目安に浸かると副交感神経が優位になって血圧が下がり、血糖値を上げるストレスホルモンの分泌を抑える効果が期待できます」(同前)
睡眠は「短すぎても長すぎてもNG」だという。
「研究では睡眠時間が5時間以下の人は高血圧、糖尿病ともにリスクが高いことがわかっています。一方、睡眠時間が9時間以上でも糖尿病の発症リスクが上がるとの報告もある。こちらは活動時間が減ることで消費エネルギーが低減するためと考えられます。睡眠時間は7時間目安が良いでしょう」(同前)
1日3回の歯みがきと歯間ブラシも効果的
意外なところでは「歯みがき」の工夫も。
「最近の研究で歯周病菌が出す物質は(血糖値を下げる)インスリンの働きを阻害することがわかってきました。また、重度の歯周病患者はそうでない人と比べて高血圧の割合が2倍との報告もあります。1日3回の歯みがきと歯間ブラシの併用で歯垢を除去して歯周病の予防・改善に務めることは血圧や血糖値の低下に繋がると言えます」(同前)
こうした日常の工夫に加え、血圧や血糖値の数値の変化を把握することも重要だ。血圧同様、血糖値も家庭で測定できる器具があるという。
「数値の改善には、いつ、どのくらい血圧や血糖値が上がるかを理解するのが大切です。腕に取り付けるだけで血糖値を24時間、自動測定できる器具も市販されています。血糖値の変動パターンを知ることで、生活習慣の改善に役立てることができます」(同前)
食事や運動、睡眠その他の日常生活を工夫することで、実際に数値が低下した患者は多いという。
「ある60代の男性患者さんのケースでは、薬に頼らず、毎日の食事、運動、睡眠の改善により徐々に血糖値が下がり、1か月半後の朝の空腹時血糖値は190(基準値は100未満)から90台にまで下がりました。同時に血圧が155から132まで改善され、相乗効果が確認できました」
ストイックな生活よりも、ストレスなく生活習慣を改善することが血圧・血糖値を下げる近道だ。
血圧・血糖値を下げる「日常生活の鉄則6」
【朝・昼・晩】
<1>1日3回の歯みがきを疎かにしない。歯間ブラシも併用する
【昼】
<2>なるべく歩く、座らない
<3>水分補給は30分おきに
【夜】
■入浴
<4>入浴は就寝2時間前までに済ます
<5>38~40℃のお湯に10分程度浸かる
■睡眠
<6>睡眠時間は7時間を目安に
イラスト/タナカデザイン
※週刊ポスト2025年11月7日・14日号
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