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「大変な介護もわははと笑ってみると元気が出る」人気イラストレーターが認知症の義母との暮らしを描いたマンガには、前向きに生きる知恵と優しさが満載だった

 イラストレーターのなとみみわさんが、「ちょいボケな義母・通称ばあさん」との介護生活10年を8コママンガに描いた『介護わはは絵日記』。北國新聞で人気を博した連載が、このたび一冊の本になり、いま注目されている。「ばあさんと暮らした日々から時を経て、私の心の変化や、年齢を重ねたからこその気づきがありました」と、なとみさん。「現在介護中の人や日々頑張っている人へのエールになれば」と語るなとみさんに本にまとめた想いを伺った。

教えてくれた人


なとみみわさん

マンガ家、イラストレーター。石川県出身。やましたひでこさん監修で断捨離に挑戦した『1ヵ月でいらないモノ8割捨てられた! 私の断捨離』(講談社)などのコミックエッセイが話題に。その他著書に『死ぬまでにやりたい!10のコト』(講談社)、『私が死んだらどーなるの?おひとりさまの後始末』(小学館)など。介護ポストセブンの人気連載「兄がボケました」のイラストも大人気。
ブログ「あっけらかん」http://akkerakan.blog.jp/ インスタグラム @miwasowmen

ばあさんの話をもっと聞きたいと言われる

 義母である“ばあさん”との生活は突然始まり、ばあさんが旅立った2017年まで10年間続いた。

「ばあさんと暮らしていた当時も、ばあさんとのエピソードはブログに描いていましたし、書籍にもなっているのですが、同じエピソードを繰り返し紹介していても、いまだからわかることがいろいろとあるんです」となとみさん。

 ばあさんとの暮らしや介護のことを、これまで講演会でも幾度となく話してきたと語るなとみさん。「私の講演会に来てくださる方々に、ばあさんはとても人気があるんですよ。もっとばあさんの話をしてほしいとおっしゃる人が多いんです」と微笑む。

 本書でも、「ティッシュをポケットにいっぱい詰め込む」「コンビニで人気者」「おでんが大好き」なばあさんの姿が愛らしく描かれている。

「ばあさんのことを、こうやって何回も作品として発表する機会があって、本当に幸せなんです。ばあさんは、ずっと『恩返しするからね』って言ってくれていたんですが、まさに、ばあさんからの恩返しだと思っています」

自分も歳を重ねたいま、「老い」と「死」について想うこと

 ばあさんとの暮らしで、人が老いて死にゆく様を見せてもらったとなとみさんは語る。そして、ばあさんの死後8年を経て、なとみさん自身も50代も半ばを過ぎたいま、あらたに思い至ったことがあるいう。

「歳を取るって、大変だしつらいんですよね。目もよく見えなくなる、耳も聞こえづらくなる。ばあさんはよく楊枝を使っていたんですが、自分も歳を取ってきて、その感じがわかるようになったんです。親しい人が亡くなっていって、どんどん孤独になり寂しかっただろうなとか。当時は、ばあさんの気持ちにそこまで寄り添えていなかったと思うんです」

 ばあさんとの日々を振り返りながら、「ばあさんの存在は心の中で生き続けている」と実感するたびに、「自分がどう生きるかが大切だ」と教えてもらったのだと、想いを口にするなとみさん。

「ばあさんは、本当に優しい人だったんです。『ありがとう』っていつも言ってくれましたし、よく私に『なにか買いなさいって』ってお金をティッシュに包んで渡してくるんです。お金ないのに(笑い)。自分がお荷物なんじゃないかっって、気を遣ってくれていたんですよね。流れにさからわないっていうか、自分から波風を立てるようなことをしない人でした」

大変だと思うことも見方を変えて笑ってみる

 なとみさんの視点を通して描かれる、ばあさんとなとみ家の人々はほのぼのとしていて、困ったことが起きても、なにかそこに「可笑しみ」や「明るさ」を見いだしている。

「この本のタイトルは『介護わはは絵日記』です。大変だと思ってしまいがちな介護も少し見方を変えると、わははと笑えたり元気が出たりするんですよ。これも、ばあさんに教えてもらったことです」

 そう語るなとみさんだが、ばあさんと一緒に暮らすことになった当初は、戸惑いと不安でいっぱいだったという。

「ばあさんとは突然同居することになったんです。入院をきっかけに認知機能が低下したばあさんを一人にしておくことができなくて。いずれは同居するかもとは思っていましたが、ばあさんには息子(なとみさんの夫)や娘もいるのに、いきなり私が介護のキーパーソンになってしまい、もう困惑しかなかったんですよ」

 実際、介護は大変できついと思うこともあったという。そんななとみさんがばあさんとの絆を深める契機になったのが、お互いの呼び方を変えたことだった。

「それまで、“お母さん”“みわさん”って呼び合っていたんですが、ある日、ダンナが私を呼ぶように“びーちゃん”って、ばあさんが話しかけてくれたんですね。それで、私も“ばあさん”って。そこから、同居生活が明るくなりましたね」

ばあさんを取り巻く“なとみ家”の仲間たち

 なとみ家の家族は、「ばあさん」「びーちゃん」「ダンナ」「ブルース」(息子)「りく」(愛犬)。

 ばあさんとの同居が決まったときに、息子のブルースくんが出した条件が「自分の部屋が欲しい」ことと「犬を飼う」ことだった。ブルースくんの願いを叶える形で、生後3か月でなとみ家にやって来たりくちゃんは、たちまち、なとみ家のアイドルに。元々犬が苦手だったばあさんとも、すっかり仲良しになったという。

 ばあさんを中心に、家族みんながそれぞれの立場で、怒ったり、文句を言ったりしながらも、やさしく、ほのぼのと暮らす日常が、コミカルに描かれているこの作品。北陸を代表する北國新聞で200回にわたり連載されてきた。連載当時から多くの感想が寄せられたという。

>>「亡き父を思い出した」「私が日々精進することが、亡くなった認知症の母への恩返しと思った」「(自分の介護経験を振り返り)もっと力を抜いてお世話すればよかったなと思った」「将来、介護が必要になったときには、なとみ家のようになりたい」・・・

 多くの人が感銘を受け、見習いたいと思うなとみ家の暮らしぶりだが、実は、なとみさん自身は「もっとこうすればよかった、こんな言葉をかければよかったと後悔していることもたくさんあるんです」と振り返る。

実母との同居を始めた理由

 最近、なとみさんは、実の母との同居を開始した。「これも、ばあさんおかげ」と笑う。ばあさんと、そして亡くなった実父への恩を、母に返していこうと決めたのだ。

「とはいえ、実の母とはやはり衝突してしまうことが多いんですよ。ばあさんのときは、がまんできたこともがまんできなくてケンカになります。でも、ばあさんの看取りを経て、いつかは、自分の母も看取る、と覚悟を決め、始めた同居です。ケンカもなあなあにせずに、私と暮らしてよかったと思ってもらいたいと気持ちをきちんと伝え、母と話し合いました。その結果、強情な母が『私も悪かった』って言ってくれて。気持ちをちゃんと伝えることの大切さは、ばあさんとの暮らしがなければわからなかったことですね」

なとみさんからのエール「一人で抱えずに。自分の時間を作って」

「老い」そして「死」は、誰しも逃れられないこと。親や家族の介護に直面する人も多いだろう。なとみさんは、「覚悟を決めて、ポジティブに捉えてほしい」と、いま頑張っている人たちにエールを送る。

「とにかく、楽しむこと。情報をたくさんとって、何枚もカードをもつと気持ちが違います。ケアマネさんや介護に関わる人たちと良い人間関係を作っておくことも大切ですよね。一人で抱えずに、介護はチーム作りが肝だと思います。ショートステイとか、利用できることはなんでも利用して自分の時間をもってください」

 同じ出来事でも、楽しく思えたり、つらくなったり・・・。受け取り方で心待ちは全然違う。見方を変えるだけで、人生には、ハッピーがたくさん溢れていることを本書は教えてくれる。介護中の人のみならず、日々がちょっと苦しい人にも読んでもらいたい一冊だ。ばあさんとびーちゃんの泣いたり笑ったりする日々を見ると、誰しも心が温かく、そして軽くなるにちがいない。 

取材・文/介護ポストセブン編集部

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