猫が母になつきません 第427話「すべなし」
あまたのレコード、あまたのカセットテープ、あまたのビデオテープ…昭和世代はみんなずいぶんたくさんのメディアを捨ててきたのではないでしょうか。音楽CDというのはまだ残ってはいますが、今やダウンロードで買うのがあたりまえになって、最後にCDを買ったのがいつかも覚えていないくらいです。
以前は仕事場でいつも音楽をかけていて、CDのコレクションも400〜500枚くらいありました。都会では深夜までやっているCDショップもたくさんあって、仕事が終わった遅い時間にそういうところに出かけていって何枚も視聴して気に入った音楽を手にいれるなんていう洒落のめしたこともしていたのです。もう遥か遠いかなたの出来事です(笑い)。
コレクションは引越しでかなり処分しましたが、それでもまだ150枚くらいはあるでしょうか。ひさびさにお気に入りのCDをかけてみるか…と立ち上がったものの「ん、、、?」CDをセットするべき場所がない! 東京にいた頃はスピーカーとCDプレーヤーを持っていましたがそれは実家に戻るときに友人に譲り、実家ではデスクトップのパソコンでCDを聴くことができたのです。しかし、引越し前にパソコンを買い替え、新しいパソコンにはもはやCDを入れる場所が無くなっていました。おそるべし、時代の流れ…まあCDプレーヤーを買えば済むことなのですが。インターネットでCDプレーヤーを探していると、いまはレコードやカセットテープも人気らしく、またレコードを聴くのもいいななんて思い始める。一度捨てたものをまた買うのか。長く生きていると変なことをし始めるもんだ。ほんとに必要かちょっと一回考えよう。
そういえば、車にはCDプレーヤーがついてるのを思い出しました。車は古いVWでミラーは手動、カーナビは死んでいるし、電気系統は故障しまくりですがエンジンだけは今も元気いっぱい。残ったCDコレクションと同じく手放し難い存在です。しばらくは運転中限定で古いCDを楽しむのもいいかもしれません。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。