咀嚼・嚥下機能が低下しても美味しく牛丼が食べられる「吉野家のやさしいごはん」シリーズを用いた取り組み
年齢を重ねたとしても、いつまでも美味しく楽しく食事を続けたいもの。吉野家が手がける介護食用牛丼を取り入れた新しい介護レクリエーションが評判だという。今回はその取り組みを紹介する。
創業125年を迎えた吉野家。介護食の開発は従業員の提案から始まった
東京・日本橋にあった魚市場で誕生した吉野家は、2024年の今年創業125年を迎えた。「早い、うまい、安い」で牛丼を国民食にまで押し上げ、今では牛丼をはじめバラエティー豊富なメニューを提供しているが、2017年からは咀嚼・嚥下機能が低下した人向けの介護食「吉野家のやさしいごはん」シリーズの販売も行っている。
吉野家の介護食「吉野家のやさしいごはん」は、一人の社員の「嚥下力の落ちた老いた父親に牛丼を食べさせたい」という想いから開発が始まった。専門家との議論を重ね、100回以上の試作を繰り返し、たれの味はそのままに塩分を抑え肉や玉ねぎの形状を変えた結果、介護施設で行われた試食会で好評を得たという。
2017年2月から弱い力でも噛めるよう具材を小さくした「やわらかタイプ」と、舌ですり潰せるまで具材を刻んだ「きざみタイプ」の『吉野家のやさしいごはん 牛丼の具』2種類の販売を開始し、現在は『やわらか牛丼の具』と『きざみ牛丼の具』も加わり種類豊富に取りそろえている。
食べやすさに配慮した食品としてユニバーサルデザインフード(UDF)の認定も取得。常温で保管ができ、電子レンジにも対応している。
『やわらか鰻』『やわらか焼肉の具』『やわらか親子丼の具』といった多彩な商品を展開し、これまでに全国累計1万以上の病院や施設が採用。2023年7月時点で、累計販売食数は120万食を超えた。
吉野家の介護施設向けレクリエーションが話題に
近年は「吉野家のやさしいごはん」を取り入れた介護レクリエーション「吉野家牛丼レクリエーション」をデイサービス施設などで開催。「吉野家牛丼レクリエーション」とは、「レクリエーション介護士」の有資格者が主体となり、施設の利用者が楽しく美味しく食事をしてもらう取り組みだ。
介護スタッフが法被を着用して吉野家の店員に扮し牛丼を届けたり、店舗で実際に使用しているテイクアウト容器に盛り付けるなど遊び心をふんだんに盛り込み、日頃は昼食を残してしまう人も完食するほどだ。
牛丼の美味しさとともに介護が必要な高齢者が食事を楽しめる施策が評価され、「吉野家牛丼レクリエーション」が食品産業新聞社主催の第54回食品産業技術功労賞マーケティング部門を受賞した。
「For the People~すべては人々のために~」という経営理念を掲げ、誰もが一生涯、食の楽しみを失うことがない社会の実現を目指す吉野家。われわれも「食べる力」が衰えないように、トレーニングをするなどして口まわりの筋力低下に気をつけたい。
【データ】
『吉野家のやさしいごはん』
https://e-shop.yoshinoya.com/shop/c/c78
※吉野家の発表したプレスリリース(2024年11月6日)を元に記事を作成
写真/吉野家提供 構成・文/松藤浩一
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