【介護食】注目の新商品実食レポート!かまなくてよい「おもち」高カロリーの「おかゆ」牛丼チェーン店の「親子丼」
話題の介護食や新商品を編集部で実食レポートする企画、今回注目したのは、親子丼、おかゆ、おもちの3品。牛丼チェーン吉野家から登場した親子丼の具、ネスレ日本が手がけたカップ入りのやわらかいごはん、アサヒグループ食品のなめらかでベタつかないおもち。気になる3品を実食レポートする。
試したのは… 編集部の3人!
【1】人気牛丼チェーン店の介護食“親子丼”はどんな味?
■吉野家『やわらか親子丼の具』
吉野家では、牛丼の具は、すでに介護食として発売されている。今回新たに“親子丼の具”が吉野家の介護食シリーズに登場。
新米編集者Y(以下Y)「吉野家の牛丼ならぬ、親子丼の介護食があるんです。店舗では期間限定で親子丼が発売されているんですよ」
編集長S(以下S)「へえ、そうなんですね。親子丼って溶き卵のとろみがあるから介護食には向いているかもしれませんね。介護食と実店舗の親子丼の味の違いも気になります」
先輩編集者M(以下M)「牛丼の介護食は試食したことがあるけど、親子丼はどうなのか、興味深いですね」
新米編集Y
「早速、温めて食べてみましょう!」
レンチンしやすいレトルトパック
Y「温めるときは、パックを立てた状態でそのままレンジ(600Wの場合)で1分10秒チンすればOKなんですよ」
M「一般的なレトルトパックを温めるときは、湯煎したり、皿に移したりしなくてはならないものが多いから、そのままレンジで温められるのは手軽ですね」
とろみは?具のやわらかさはどう?
早速温めた『やわらかい親子丼の具』の封を開けてみると―――。
新米編集Y
「スプーンですくってみるとなめらかな感じ。ひとくちサイズの鶏肉がゴロゴロ入っていますね!」
編集長S
「卵もたくさん入っていますね。だしの味わいがしっかりして、とろみがいい感じ」
S「とろみが濃厚だから、おかゆにかけたときに白飯としっかり絡まりそうですね。鶏肉も形が残っているので、スプーンですくいやすい」
M「介護食の区分※は、区分1『容易にかめる』なので、通常食に近く、具の形がしっかり残っていますね」
Y「鶏肉は口の中でほろりと溶ける感じ。全体的にトロトロしていて喉ごしがいい。具材は噛みやすいけど、しっかり鶏肉には弾力を感じるのもいいかも」
※日本介護食品協議会が定める「ユニバーサルデザインフード(R)」の規格は4種類。●区分1「容易にかめる」●区分2「歯ぐきでつぶせる」●区分3「舌でつぶせる」●区分4「かまなくてよい」
店舗の親子丼と比べてみると…?
Y「店舗の親子丼は、玉ねぎのシャキシャキした感じとか、介護食とはさすがに全然違いますね」
M「介護食は、原材料を見ると玉ねぎは入っていないんですね。牛丼の介護食は、実店舗の味に近かたったけど、親子丼はかなり違う。中華料理店の卵スープみたいな、濃厚でまろやかな味わい」
S「1食140gって食べ応えがありますよね。これ1袋で130kcalあるから、ご飯やおかゆにかければけっこうなエネルギーがとれるのはいいかも」
M「丼ものって、ご飯にかけるだけで1食として成立するから、こういう丼の具をストックしておくと忙しいときには助かりますね」
【データ】
商品名:RTやわらか親子丼の具
区分:1「容易にかめる」
内容量:140g
価格:2袋 1188円 7袋 3780円 14袋 7560円(税込)
販売サイト:URL:https://e-shop.yoshinoya.com/
【栄養成分値】
熱量:130kcal
たんぱく質:15.0g
脂質:5.7g
炭水化物:4.8g
糖質:4.4g
【2】カップ入りのおかゆが新登場「1個で150kcalも!」
■ネスレ日本『アイソカル(R)高カロリーのやわらかいごはん』
次に試食するのは、ネスレ日本 ネスレ ヘルスサイエンスから発売された介護食『アイソカル(R) 高カロリーのやわらかいごはん』。1食100gと少量ながら150kcalものカロリーが摂れる。味は「白がゆ」「玉子がゆ」「梅がゆ」の3種類がラインナップ。
Y「カップ入りのおかゆって、ユニークですよね。パッケージは女性の手のひらにも入るくらいのサイズ。これは外出するときにも持ち歩けていいかも」
M「ネスレの栄養補助食品は、カップ入りのゼリー『アイソカルゼリー』はよく知っているけど、おかゆも同じ形状でカップ入りっていうのが驚きですね」
S「たしかにこれは珍しいかも。小腹が減った時におやつ感覚ですぐに食べられるのがいいですよね。持ち運びもできるから外出先でも重宝しそうです」
白がゆ、梅がゆ、玉子がゆ、それぞれどんな味?
S「白がゆは、ほんのりお米の甘さを感じる。おかずがなくてもこれだけで食べられます。区分4『かまなくてよい』※なので、口の中でふわっと溶けますね」
編集長S
「かなりとろみがあってクリーミーな感じ」
先輩編集M
「たしかに、クリーム状でほのかに甘い。スイーツのような感じもしますね」
M「どれも常温でも十分おいしいけど、私は梅味が好み。ほのかな梅の酸味や塩分がほどよく、食が進みます」
Y「玉子がゆは、白がゆに比べるとしっかり塩味が効いていて旨みを感じますよ。どれもこれ1個で、たんぱく質が7g。卵1個のたんぱく質量は約12gなので、この小さなカップでけっこうな量のタンパク質が摂れるんですね」
1個で150kcal。高カロリーのカギは「油分と米粉」
S「カロリーも1カップ150kcalだから、しっかりカロリーが摂取できますね」
MCTオイル(中鎖脂肪酸油)という油分や米粉を使うことで、少量でも高カロリーを実現している。
M「MCTオイルは一般的な油よりエネルギー効率がいい健康的な油といわれていますよね。この舌ざわりの滑らかさは、油分もポイントなのかもね」
Y「一般的なおかゆで150kcalを摂ろうとすると、約230gになるんですって。器に入れて比べてみると、量の違いがわかりますよ」
S「おかゆで230gって結構な量がありますよね。水分も多いから、食欲がない日なんかは、食べにくいこともありますよね」
Y「比べてみると、量だけでなく、質感も違いますね。『やわらかいごはん』は、お米がもったりとしてまとまっていて、少量でも食べ応えはあると感じました」
S「栄養補助食品といえばドリンクやゼリーが主流ですが、おやつではなく“ごはん”という主食の選択肢が増えたのが心強いですね」
【データ】
商品名:アイソカル(R) 高カロリーのやわらかいごはん(白がゆ、梅がゆ、玉子がゆ)
区分:3「舌でつぶせる」
内容量:各100g
100g×12パック 通常価格3,576円(税込)
販売サイトURL:https://healthscienceshop.nestle.jp/blogs/isocal-kaigosyoku/index
【栄養成分値】
熱量:150kcal
たんぱく質:7.0g
脂質:5.2g(玉子がゆのみ5.5g)
炭水化物:18.8g(玉子がゆのみ18g)
【3】高齢者にやさしい介護食のおもち「のどに詰まりにくい」
■アサヒグループ食品『スプーンで食べるおもち』
最後に試食するのは、アサヒグループ食品から発売された『スプーンで食べるおもち』。介護する人の負担軽減に加えて、“食べさせてあげたい”という思い、介護される人の“食べる楽しさ”に貢献したいという思いから開発されたという。味は白もちと、よもぎの2種類。いざ実食。
開けたらすぐ食べられる画期的な“おもち”
Y「アサヒグループ食品の調査によると、おもちは介護が必要になる前に食べていた食材の中で、『食べられなくなった食材』のトップで、『介護が必要な人に食べさせてあげたいと思っている人が約84.1%いるんですって」
S「たしかに90才になるうちの父も本当におもちが大好き。でも、のどに詰まらせるんじゃないかといつも心配なんですよ。介護食のおもち、かなり気になっていました」
M「管理栄養士さんにおもちのレシピを提案してもらったことがあるんですが、おかゆを片栗粉で練って焼いたり、くず粉やわらび餅粉を使って甘いおもちを作ったり…と、どれも手間がかかりました。買いやすいパッケージのおもちが登場したのは、これからの季節にも、期待大ですね」
S「新商品発表会に参加してすでに試食済みなのですが、お米の甘みを感じるんですよ。パッケージからお皿に半分ほど出して、切り口で折り返すとカットもできるんですって」
新米編集Y
「ホントだ。うわぁ、ぷるぷるですね!」
Y「おもちは硬くて切りにくいけど、これなら手も汚れずにいいかも」
介護食のおもち、どんな味?のどに詰まりにくい?
Y「国産もち米粉を使っているだけあって、確かにお米の甘さや風味を感じますね。おもち特有のねばりやのびはないので、のどに張りついたりや詰まる心配はなさそう。のど越しがいいおもち、初めての食感です」
M「お米の食感をほのかに舌に感じるんだけど、粘りがない。くずもちや水ようかんのような感じもするけど、味はしっかりおもちなのが不思議」
M「区分4『かまなくていい』だけあって、舌でなめらかにつぶせて、口の中でさっと溶けますね。きな粉をかけて食べるの、これはいけますね! よもぎ味はどうですか?」
Y「よもぎの風味をしっかり感じますよ。こちらは、あんこを添えて食べると、まさに草もち。1袋ペロッといけちゃいます(笑い)カロリーは1パック50gで28kcal(よもぎは29kcal)。普通のおもちは1個120kcalくらいあるので、ヘルシーなのもいいかも」
S「甘いおもちにするのが、スイーツ感覚で食べやすいですね。だけど、これ、お雑煮とか熱い汁物にも使えるんでしょ?」
M「編集部にストックしているフリーズドライのスープに入れてみましょうか?卵スープで実験してみましょう」
Y「熱湯で作った卵スープに、パッケージからスプーンでおもちをすくって入れてみました! 先輩、これ、熱が加わってドロドロに溶けてしまうと思ったけど、ほら、しっかり形が残っていますよ」
先輩編集M
「うわ、おいしい!常温で食べたときよりも、プリっとしたゆでたおもちのような感じになった気がする」
M「でも食べるととろりと溶ける。校了中のご飯に“スープもち”これ、いいかも(笑い)」
S「あら、ほんとだ。スルスルっと飲み込めるから、これならうちの父にも安心して食べてもらえそうです。これからお正月に向けて、ぜひ活用したいですね」
【データ】
商品名:スプーンで食べるおもち
区分:かまなくてよい
内容量:50g
【栄養成分値】
熱量:28kcal
たんぱく質:0.35g
脂質:0.10g
炭水化物:7.1g
糖質:5.5
【データ】
商品名:スプーンで食べるおもち(よもぎ)
区分:かまなくてよい
内容量:50g
【栄養成分値】
熱量:29kcal
たんぱく質:0.40g
脂質:0.10g
炭水化物:7.3g
糖質:5.7
商品URL:https://www.asahi-gf.co.jp/special/senior/foods/items/spoon-omochi/omochi_shiromochi.html
初めて介護食を試食してみて
M「Yちゃん、初めて介護食を試食レポートしてみて、どうだった?」
Y「娘が小さいとき、離乳食を食べて『味が薄い、食べた感じがしない』と思ったことがあったので、介護食もそんな感じかなと勝手に思っていたんですが、どれも味がしっかりしていて食べ応えもあるので驚きました。毎日の介護食作り、イチから手作りするのは大変なので、時々息抜きするためにも、こうした市販品を活用するのは、とてもいいと感じました!」
M「これからも注目の介護食、どんどんリサーチしてきてね!」
構成/介護ポストセブン
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