「ケアマネ試験の受験者」前年に比べ2700人減少のピンチ 5年ぶりの減少、なり手不足は深刻な状況に
10月13日に実施された第27回介護支援専門員実務研修受講試験。今年度の受験者数は5万3718人で、昨年より2776人(4.9%)減少し、5年ぶりの減少となった。ケアマネジャーの需要が高まる中、受験者数の減少は業界に大きな課題を投げかけている。
なり手不足の背景にある厳しい受験資格
受験者数減少の要因として、まず厳しい受験資格が挙げられる。ケアマネ試験には国家資格に基づいた実務経験や、相談援助業務などの実務経験が5年以上必要とされ、この条件を満たさなければ受験できない。この実務経験の壁が多くの潜在的な受験者の門戸を閉ざしているのが現状だ。資格取得の道のりが長いため、なり手の裾野が広がりにくいことが、受験者数の減少につながっている。
ケアマネ不足が進行する現状と介護業界の課題
介護現場におけるケアマネジャー不足は、単なる試験受験者数の減少にとどまらない。ケアマネ資格取得後も5年に一度の更新研修が義務付けられており、さらなる負担が課されている。また、ケアマネジャーの業務範囲は拡大を続ける一方で、報酬は依然として上がらず、負担と報酬が見合わない現状が続いていることもケアマネ離れを加速させている要因といえる。 ケアマネジャーの高齢化も問題だ。多くの経験者が高齢となり、新たな若手が参入しづらい環境が続いている。こうした背景から、介護現場においてケアマネの役割が不足し、今後さらにその影響が大きくなることが懸念されている。
11月末に今年度の合格発表。介護業界の未来を占う重要な時期
今年度のケアマネ試験の合格発表は11月25日に予定されており、昨年の合格率と比較してどのような結果が出るか注目されている。もし合格者数が昨年以上に少なければ、ケアマネ不足がさらに加速し、介護現場での負担が一層増加することが予想される。ケアマネジャーの役割を維持し、育成を促進するための新たな支援や改善が、今後の介護業界全体にとって急務といえるだろう。
構成・文/介護ポストセブン編集部