認知症危険度をチェック!認知症を遠ざける生活習慣比べてみたら?
2025年には約700万人が認知症になるという。これは現状の約1.5倍。実に、65才以上の5人に1人が該当することになる。
世界に誇る長寿国日本だが、いつまでも元気で、イキイキと人生をまっとうするにはどうすればいいのか? 最新の研究データに基づいた認知症予防&対策から、ボケない生活習慣比べてみました!
【目次】
- 認知症予防は40代から始める
- Q1 信号が青になりました。横断歩道、あなたはどんなふうに渡る?
- Q2 コンビニで140円のお茶を1本買いました。あなたの払い方はどっち?
- Q3 料理を作りました。家族にどんな感想を言われる?
- Q4 久々に趣味の仲間から会合を開催するという知らせが来たら?
- Q5 年齢とともに、あなたの性格はどう変わってきましたか?
- Q6 忙しいとき、面倒くさく感じるのはどっち?
- Q7 物をよく失くすようになった。探しながら言っているのはどっち?
- Q8 人混みの中を歩くとき、あなたはどっち?
- Q9 肉料理、しっかりと体力をつけ、しかもボケ予防にもなるのどっち?
- Q10 洋食店で注文するなら、どっちがいい?
- Q11 甘いおやつ、食べるならどっち?
- Q12 DHA、EPAが豊富ないわし。どっちの食べ方がベター?
- Q13 健康にいい野菜。より食べた方がいいのは?
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認知症予防は40代から始める
認知症というのは、脳の神経細胞が侵され、判断能力などに障害が起こり、通常の社会生活ができなくなった状態のこと。
「発症には生活習慣とのかかわりが大きく、脳のメタボというのが現在の考え方です」
と言うのは、著書に『死ぬまで家族に迷惑をかけないために今すぐ知っておきたいボケない技術』(かんき出版)などがある神経内科医で米山医院院長の米山公啓さん(以下、「」内同)。
残念ながら、現段階で「これさえ気をつければ認知症にならない」という特効薬的方法は発見されていないが、世界中で認知症の発症リスクに関する研究が行われ、さまざまな効果が発表されている。
「認知症の中で、6割以上を占める『アルツハイマー型』は発症するまでに約20年かかるといわれています。年齢的に発症リスクが高まるのは60代。要するに、その20年前にあたる40代から、認知症予防をした方がいいんです。
認知症は、発症した本人がつらいだけでなく、それを支える家族にも大きな負担をかけるもの。愛する家族に迷惑をかけないためにも、今から認知症予防に努めましょう」
何気ない普段の行動にも認知症の疑いを示すサインは表れている。下の質問に答えて、あなたの認知症危険度をチェックしましょう。
Q1 信号が青になりました。横断歩道、あなたはどんなふうに渡る?
(A)余裕で渡りきれる
(B)急がないと渡りきれない
(B)の人のほうが、認知症リスクが高い。一般に横断歩道の信号は1m/1秒の歩行速度で渡りきれるように設定されている。普段通りの速度で渡りきれない場合、身体機能などが衰え、歩幅が狭くなっている証拠。脳のわずかな機能不全が歩幅に表れることもあるので、認知症のリスクは高いといえる。
Q2 コンビニで140円のお茶を1本買いました。あなたの払い方はどっち?
(A)できるだけ小銭を使う
(B)お札で払い、おつりをもらう
(B)の人のほうが、認知症リスクが高い。「以前からお札で支払う習慣の人は別として、最近、買い物のたびに小銭が溜まるようになった場合は、小銭を出すのが苦手になった=脳を使わなくなった兆候の可能性が。自分はもちろん、配偶者の支払い方や財布チェックは認知症に気づくきっかけに」(米山さん)。
Q3 料理を作りました。家族にどんな感想を言われる?
(A)おいしい
(B)いつも濃い、あるいは、いつも薄いと言われる
(C)料理ごとに濃すぎる、薄すぎるなど言われることが違う
(C)の人は認知症の危険度が高い。味がどちらかに偏るなら好みの変化といえる。「判断力が低下してくると、調味料の加減や作る量がわからなくなります。味も食べられないほど濃かったり、辛すぎたりが続く場合は、味覚障害や認知症の疑いが」(米山さん)。
Q4 久々に趣味の仲間から会合を開催するという知らせが来たら?
(A)積極的に参加する
(B)出掛けるのが億劫になった
(B)が続けば要注意。「体調不良などの理由がないのに、今までと同じ行動をしなくなるのは“うつ状態”になっているのかもしれません。認知症の初期には自信を失ったような症状が表れることもあります。この状態が続けば、脳の『遂行実行機能』の低下が考えられます」(おくむらメモリークリニック院長の奥村歩さん)。
Q5 年齢とともに、あなたの性格はどう変わってきましたか?
(A)温厚になった
(B)些細なことでキレるようになった
(B)の人は要注意。「温厚な人が急に怒りっぽくなった場合、心身の不調の他、脳の病気、認知症の可能性も考えられます。些細なことに不安を感じて過剰反応し、気持ちをうまく説明できずに攻撃的になるなども認知症の症状です」(奥村さん)。
Q6 忙しいとき、面倒くさく感じるのはどっち?
(A)料理を作ったり、掃除をすること
(B)風呂に入ったり、着替えたりすること
(B)の人は認知症の疑いが。「自分自身にも構わなくなるのは認知症の兆候です。不潔でいることに抵抗がなく、生活全般がだらしなくなるなど、身なりの変化には要注意。また、季節感が合わない服装を選ぶのは、気温の感覚が鈍くなったサインです」(奥村さん)。
Q7 物をよく失くすようになった。探しながら言っているのはどっち?
(A)どこに置いたのかしら
(B)誰かが持って行ったのかしら
(B)の人はかなり心配。「置き忘れは誰にでもあること。人のせいにするのは、見つからない焦燥感、紛失した不安感から逃れ、自分の心を平静に保つために行う『辻褄合わせ』から来るもので、典型的な認知症の症状と考えられます」(奥村さん)。
Q8 人混みの中を歩くとき、あなたはどっち?
(A)流れにのって、スムーズに歩ける
(B)周囲の人によくぶつかるようになった
(B)の人は注意。「認知症になると、自分の体と外界との位置関係の間合いを測る『視空間認知』の働きが低下します。人混みの中を歩いているときに人との間合いが測れず、体や持ち物がぶつかってしまうのです。車の運転では車幅感覚がなくなり、接触事故を起こしやすくなるので注意を」(奥村さん)。
Q9 肉料理、しっかりと体力をつけ、しかもボケ予防にもなるのどっち?
(A)牛肉のステーキ
(B)羊肉のジンギスカン
(B)がおすすめ。「羊肉には、カルニチンが牛肉の約3倍、豚肉の約9倍含まれる。これは記憶力と思考力にかかわるアセチルコリンの合成に欠かせない成分です。ちなみに鶏肉は、脳の老化や認知症発症を防ぐ効果があるイミダゾールジペプチドが豊富なのでおすすめです」(神経内科医で米山医院院長の米山公啓さん)。
Q10 洋食店で注文するなら、どっちがいい?
(A)カレーライス
(B)オムライス
(A)のカレーライス。「カレーをよく食べるインド人の認知症リスクはアメリカ人の3分の1という研究報告があり、カレーの代表的なスパイスであるターメリックに含まれるクルクミンは、認知症予防に働くと考えられています」(脳神経外科医、おくむらメモリークリニック院長の奥村歩さん)。
Q11 甘いおやつ、食べるならどっち?
(A)チョコレート
(B)キャンディ
(A)。アルツハイマー型認知症患者の多くは、脳の海馬に含まれるたんぱく質・BDNFが減少している。チョコレートに含まれるカカオポリフェノールを摂ると、これが増えるという研究結果もあり、チョコレートには認知症予防も期待できる。
Q12 DHA、EPAが豊富ないわし。どっちの食べ方がベター?
(A)刺身
(B)塩焼き
(A)の刺身が〇。青魚の脂に含まれるDHA、EPAなどの不飽和脂肪酸には、脳を活性化し、認知症予防に効果があることが知られている。網で魚を焼くと脂が下に落ちてしまい、せっかくのよい成分も落としてしまうことになり、もったいない。
Q13 健康にいい野菜。より食べた方がいいのは?
(A)白菜などの淡色野菜
(B)ほうれん草などの緑黄色野菜
(B)を食べるべき。「アルツハイマー型認知症患者の血液は酸化障害が強く起こり、血中ビタミンCとβカロテンの量が低いという報告があります。認知症予防には抗酸化作用のあるビタミンC、βカロテンが豊富な緑黄色野菜を」(米山さん)。
※初出:女性セブン
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