野菜炒めを極める!シャキシャキに仕上げるコツを名店に学ぶ「味の決め手、献湯(ヒントン)とは?」
手軽に作れて野菜たっぷり、ご飯もすすむおかずの王様「野菜炒め」。超定番だけに、多少水っぽくなったり火が入りすぎたりしても「ま、いいか」とあきらめていませんか?とびきりおいしく作る極意を、ミシュラン掲載の中華レストラン『Series』の料理長が教えてくれました。家庭用のコンロでも、中華鍋を振らなくても、お店顔負けの野菜炒めが作れますよ!
教えてくれた人
Series料理長 金子優貴さん
オープンから8か月というスピードでミシュランに登場して以来、星を獲得し続ける。広東料理をベースに、アジア各国の食材や調理法を取り入れた少量多皿のコースが話題に。
※材料は記載があるもの以外、2人分です。
※電子レンジは600Wを使用しています。
※水溶き片栗粉は、水:片栗粉=1:1のものを使用しています。
※紹介したレシピは家庭用にアレンジしたもので、店舗で提供される料理とは異なります。
野菜炒めをシャキシャキに仕上げる秘訣
オープン以来4年連続でミシュランの星を獲得する話題の中華レストラン『Series』の料理長・金子優貴さんは、火の通り方が異なる食材を炒め分けることが、野菜炒めをおいしく作る最大の秘訣だという。
「特に店より火力が弱く、小さなフライパンで作る家庭では、食材を一気に炒めるのは至難のわざ。加熱に時間がかかる根菜類と生でも食べられるキャベツなどは分けて炒めることで、それぞれベストな食感に仕上がります。
味つけには、広東料理ならではの万能塩だれ・献湯(ヒントン)を使用。献湯は保存がきくうえ、幅広い料理に使えるので作り置きしておくといいですよ」(金子さん・以下同)。
今回紹介するレシピは、秘伝のたれを使いつつ、家庭で作れるように考案。おなじみのメニューが、本格中華料理仕様に。豚肉は肩ロースなどに代えると脂が抑えられ、あっさりと仕上がる。
献湯(ヒントン)の作り方(作りやすい分量)
フライパンに水3/4カップ、白しょうゆ(なければ白だし)大さじ2、旨み調味料大さじ1/2強、塩小さじ2を熱し、煮立たせる。ボウルに移して冷ます。冷蔵庫で1か月ほど保存可能。
肉野菜炒め<材料と作り方>
レンチン+2段階炒めですべての野菜がシャキシャキに
<材料>
玉ねぎ…1/4個
にんじん…1/4本
豚バラ薄切り肉…80g
キャベツ…1/8個
もやし…1/2袋
献湯…大さじ2
サラダ油…大さじ1/2
水溶き片栗粉…大さじ1/2
ごま油…適量
<作り方>
【1】玉ねぎは1枚ずつほぐして細切り、にんじんは細切り、豚バラ肉は5cm長さに切る。キャベツは食べやすい大きさにちぎる。
【2】もやしはレンジで1分半~2分加熱する。
【3】フライパンにサラダ油を中火で熱したら、豚バラ肉を色が変わるまで炒め、玉ねぎを加えてさらに炒める。玉ねぎがしんなりとしたら、にんじんを加えてサッと炒め、ざるにあげる。
【4】【3】のフライパンにキャベツを入れて炒める。少ししんなりとしたら、【2】を加えてサッと炒め、ざるにあげる。
【5】【4】のフライパンの汚れを拭き取り、献湯を入れて加熱し、煮立ったら【3】と【4】を戻し、材料を絡ませるように炒める。水溶き片栗粉を加え、全体をザッと混ぜたらごま油を回し入れ、全体に絡めるように炒める。
肉野菜炒め<調理ポイント解説>
1. 味の決め手は“献湯”
金子さんが「魔法の万能調味料」という献湯は、お店で使用しているものと同様のレシピを公開。「白しょうゆを使うことで、より本格的な風味になります。煮立たせると味に一体感が生まれ、冷蔵庫での長期保存が可能に」。
2. 下ごしらえで火の入り方を均一に
水っぽくなりやすいもやしは耐熱皿に広げてラップをかけ、電子レンジで加熱しておく。
玉ねぎは、ほぐしてから細く切っておくと早く、均一に炒められる。
3. 野菜は炒め分けでシャキシャキに
火の通りにくい豚肉、根菜を炒めたら一度ざるにあげる。
サッと炒めた野菜も一度ざるにあげる。「家庭では中火~強火で、フライパンはコンロに置いたまま炒めればOK」。
4. 味をつけたら短時間で炒め合わせる
献湯を煮立てたらすべての具材を加え、手早く炒めながら味を馴染ませる。「炒め合わせる時間が長いと、野菜から水が出てべちゃっとなるので、できるだけ手早く」。
5. 片栗粉で水の流出を止める
少量の水溶き片栗粉は、とろみをつけるためではなく、野菜から水分が出るのを止めるコーティング材として加える。「全体に回るよう混ぜたら、すぐに火からおろします」。