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自分の骨壷をオーダーメイドする!窯めぐり、通販で購入する人も

 さまざまなメディアで取り上げられることが増えてきた“終活”。財産に関することや葬儀のことなどについて記すエンディングノートも多々市販されている。また、終活の一環として、自分自身の骨壷を陶芸教室で作ったり、夫婦で焼き物の産地を骨壷探しのために巡ったりする人も。一言で終活と言っても、様々な取り組み方があるようだ。

「しかし、そもそもなぜ終活をするのか。それを明確にしておかなければ、表面的な家族への伝言に終わってしまう可能性もあります」と語るのは、看護師としての経験を活かし、医療、経済、法律の側面から終活、在宅介護を支援する未来設計サポート「Medit」の代表を務めている藤澤一馬さんだ。

 藤澤さんに、終活の現状と本人、家族共にどのように向き合うべきかを教えてもらった。

 故人といつまでも一緒にいたいという思いから、分骨して小さな骨壷に入れてそばに置いている人は少なくない。今年3月に亡くなったロック歌手の内田裕也さんが、妻の樹木希林さんが亡くなった際に顎の骨を持ち帰ったことも話題となった。

 最近では、終活の一環で自分自身のお骨を入れる骨壷を予め用意する人もいる。

「焼き物の産地へ夫婦で旅行に行き、その足で骨壷を見に行く方もいます。夫婦間でのコミュニケーションに繋がる利点もありますね。夫婦で過ごす時間が当たり前になりすぎてしまい、昔を思い返すこともなくなってきます。終活が過去の出来事や子どもなどの家族、お二人の歩みを振り返るためのいいきっかけになってくれます」(藤澤さん 以下「」は藤澤さん)

身辺整理ではない。終活の本当の意味を考える

 終活を始めたきっかけや思いは人それぞれ。骨壷選びやアルバムの整理、最近ではデジタルデータの管理など終活として取り組む内容も千差万別だが、残される家族のため、という思いは多かれ少なかれ共通している。

 しかし、藤澤さんが提唱するのは“人生を輝き謳歌するための終活”だ。

「現代の終活は、最期を迎えるまでに自身の身辺整理や葬儀など、家族にとって負担となることを減らすための準備というニュアンスが強いと思います。私は看護師として医療現場で働いていることもあって、100人以上の方のお看取りに携わらせていただきました。人は誰しも亡くなるものですが、日々を亡くなる前提で生きてはいません。終活という言葉が浸透したおかげで、今まではタブーとされていた死について、主体的に考え、取り組めるようになりました。しかし、その結果“最期の準備”に焦点が当てられていることが多いようです。

 エンディングノートを書くだけ、葬儀やお墓、骨壷などを準備するだけになってしまっています。本来は自身の過去を振り返り、今の生活や家族とのことを考え、未来に向けた準備や活動をしていくことが必要だと考えています。延命に関する意思や葬儀の準備などご自身の意思を“残す”だけではなく“伝える”ことが大切です。家族と過ごし、話す時間を作り、“これからの人生を輝き謳歌するための準備”が終活だと考えています」

 終活を完成させるのは家族など身近な人だ。実行者である家族と一緒に取り組まない終活は独りよがりなものとなり、精神的な負担を残すことになってしまうと藤澤さんは警鐘を鳴らす。

 大切なのは家族とのコミュニケーションを日頃からとっておくこと。いくら気に入った骨壷を見つけて事前に購入していても、それを家族に伝えていなければ何の意味もなくなってしまう。

終活を家族と共有するためにスムーズな進め方

 終活について、残される家族とどのように話し合えばいいのだろうか。

「すでに終活に取り組まれている方は、まず比較的世の中に浸透しているエンディングノートや、葬儀や自宅の管理など相手が興味を持ちそうな話から始めてみてはいかがでしょうか。その際、もし家族が拒否感を示す時は、無理に話を進めない方がいいでしょう。少しずつ家族に終活について考えていることを分かってもらえるように、日頃から会話に出しておくのがお勧めです。

 家族が切り出した話に乗ってくる時は、そのまま話を進めますが、延命などの意思決定に関することは後にしましょう。最期の医療・介護の選択は、命の選択に直結するため、拒否感を示す方が多くいます。例えばテレビで紹介されていた終活の内容や、エンディングノートを書いてみたことなど、気軽に応じやすいことから話してみると、家族と思いが共有できると思います」

 現在の終活は“身辺整理”のイメージが強いのかもしれないが、「人生の最期をどのように迎えたいか」を考えることで、そこに至るまでの人生をどう作り上げていくのかということと同じだと藤澤さんは語る。

骨壷を自分で選んでみる

 終活と気負わず、まずは、自分好みの骨壷を選んでみるといのうはいかがだろうか。

 現在、インターネットでも様々な種類の骨壺が販売されている。棺桶を生前に選んでおく人もいるというが、事前購入するには、やはり置き場の問題がある。案外、骨壷は、が気軽に買いやすいのかもしれない。色や材質、デザインなど、好みのものを探すのも楽しそうだ。カバー付きで数千円代のものから、数万円の本漆と金の蒔絵を使ったオーダーメイド品や7万円ほどする江戸切子まで、値段もピンキリだ。

「相談者の中には、家族の負担を減らすためにも、終活の一環で旅行を兼ねて骨壷を見に行かれる方もいました。骨壷や棺、お墓などは鑑賞するものではないのですが、『せっかくなら好きなものを』ということで選ばれる方もいらっしゃるようです。骨壷は葬儀社に一任し、伝統に従ったものを使用することが多いですが、最近はインターネットで買うことやオーダーメイドで事前に購入することが可能になり、選択肢が増えました」

デザイン性の高い骨壷を販売する会社3選

 骨壷を紹介している企業のHPを編集部がピックアップ、3つをご紹介する。

●香蘭社

 創業300年超の歴史を誇る、有田焼きの老舗。宮内庁御用達の商品も扱う。骨壷は「御壷」として直営店などで販売。HPではその一部が紹介されている。自社のオンラインショップでは手元供養用の小さな骨壷を購入することが可能。
→香蘭社ホームページ

→香蘭社オンラインショップ

●大倉陶園

 1919年創業の老舗陶磁器メーカー「大倉陶園」。オーダーメードで自分好みの陶磁器商品が注文できる。HPでは、黒柳徹子さんがオーダーメイドしたという骨壷が紹介されている。そこには、「優しいピンクとハンドペイントの桜で、特別に誂えた骨壺です。人生の最後に自分好みのものを残したいと語った黒柳様。デザイナーと綿密に相談し、色やモチーフを決定しました。同じデザインで、分骨用としてオーダーしていただいた一回り小さいものは、中に小物などを入れてインテリアとしてもお使いいただいているようです」とある。
→大倉陶園ホームページ

●株式会社アサノ

 納骨壷・神仏具の製造及び卸売の会社。「「終活ねっとという自社のサイトで、終活のサポートを行っている。骨壺の選び方など基本的な知識も紹介、華道家の假屋崎省吾さんとコラボした骨壷もプロデュースしている。「奥の牡丹(おくのぼたん)」「八重の鬱金(やえのうこん)」「群雀蘭(ぐんじゃくらん)」の3つはいずれも花がモチーフとなっていてまるで芸術品。明治に創業され、純国産にこだわった骨壺を作っているアサノでは、他にも陶芸家の手による骨壷などの販売も。
→株式会社アサノホームページ

→終活ねっと

教えてくれた人

藤澤一馬さん

看護師として100人以上の看取りに携わり、医療的側面以外からの支援をするため訪問看護師へ転職。看取りになる前段階からの準備である「終活」の必要性を感じ、AFP、行政書士国家試験に合格。医療、経済、法律の側面から終活、在宅介護を支援する未来設計サポートMeditの代表を務めている。

Meditホームページ:https://medit.work/

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