春の滋賀で紫式部を深く知る「7日間籠もって源氏物語の構想を練った石山寺」ほか雅な桜スポット
紫式部の生涯を描いたNHK大河ドラマ『光る君へ』が話題だ。平安時代に誕生し、1000年の時を超えて読み継がれている『源氏物語』。その着想を得たとされるのが滋賀・大津市にある「石山寺」。どんな思いでこの地を訪れたのか――。桜の季節に訪れたい石山寺と周辺のグルメスポット、紫式部が青春を過ごした福井県の注目スポットも紹介します。
石山寺
『源氏物語』はこの地で生まれた
琵琶湖から流れる瀬田川を望む真言宗の大本山。747(天平19)年に聖武天皇のたっての思いで建立された。平安時代には貴族による参拝が盛んになり、紫式部も石山寺を訪れ、7日間籠もって過ごす中で『源氏物語』の構想を練り、琵琶湖の湖面に映った十五夜の月を眺めて、須磨の「今宵は十五夜なりけり」の一節を書き出したことが、『源氏物語』の起筆とされる。
第53世座主の鷲尾龍華(りゅうげ)さんが話す。
「平安の世は、女性は自由に外を出歩くことは叶わない時代でしたが、お寺に詣でることは許されており、清少納言や、『蜻蛉(かげろう)日記』を綴った藤原道綱の母なども訪れたといわれています。いつの世も、悩みや生きづらさを抱える中で仏門に拠り所を求めることは人生の歩みを整えるために必要です。
紫式部も苦しみや悲しみを持ち合わせて石山の地へたどり着いたのかもしれません。コロナ禍や自然災害など閉塞感や胸を痛めることが続く現世において、私自身も仏門に救われたひとりとしてお寺がもっと開かれた場所であってほしいと願っています。紫式部や源氏物語をきっかけに石山寺を知っていただけたら、ぜひ足を運んでみてください」。
住所:滋賀県大津市石山寺1-1-1
拝観時間:8~16時30分(入山は16時まで)
入山料:600円
ひと足のばして──。
石山テラス
キュートなスイーツが揃う
石山寺の門前にオープンしたばかりの複合施設。滋賀県近江八幡市にある牧場の牛乳を使用し、生クリームもたっぷり入ったなめらかなプリンを提供する「石山寺プリン本舗」、おいもスイーツ専門店「芋屋十三」、焼きたてのパンがいただける「ツキノベーカリー」、2階にある「ISHIYAMADERA cafe」のスイーツとコーヒーは参拝後の休憩にぴったり。
石山の名月にちなみ店内の照明も月をイメージ。固めのプリンの上にまんまるお月様のようなチーズ風味のアイスクリームがのった「固めプリン チーズアイスのせ」(650円)、ふわふわのパンケーキの上にいちごがのった「いちごのパンケーキ」(650円)は人気の一品。
住所:滋賀県大津市石山寺3丁目1-7
営業時間:11~17時
定休日:不定休
茶丈藤村
厳選素材を使った手作り和菓子
かつて石山寺に立ち寄った島崎藤村に由来した和菓子店は門前のすぐそばにあり、甘味処も併設。源泉した素材を使い、ひとつひとつを店内で手作りした和菓子と甘味はどれも素朴でやさしい味わい。
住所:滋賀県大津市石山寺1-3-22
営業時間:【平日】10~17時(ラストオーダー16時15分)【土日祝】9~18時(ラストオーダー17時)
定休日:火曜(祝日の場合は営業)
湖舟
“湖の幸”を味わって
門前の目の前にある茶屋は地産地消にこだわり、琵琶湖産しじみの赤だしや湖魚、うなぎ(季節による)、日本三大ブランドの近江牛などを使った食事が評判。看板メニューであるうなぎの蒲焼きや釜飯は、注文が入ってから調理する本格派。
住所:滋賀県大津市石山寺3丁目2-37 石山寺観光駐車場内
営業時間:【ランチ】11~15時(ラストオーダー14時30分)【ディナー※要予約】17~20時(ラストオーダー19時)
定休日:不定休
石山寺物産館 紫‒MURASAKI‒
『源氏物語』が誕生した場所として縁深い石山寺の境内で、1月29日より開催されている「光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館」と「源氏物語 恋するもののあはれ展」を同時開催中(~2025年1月31日、別途要入場料)。展示と同時に境内「拾翠園」でオープンした物産館では、紫式部に関連した商品や大津市の特産品が多数並ぶ。
桜の香りが雅な「大河ドラマ『光る君へ』紫式部 桜の香りのお線香」(1320円)、開運招福を祈願する「飾り絵馬」(1540円)、優美な世界が描かれた「源氏物語ポストカード」(5枚セット・700円)、パッケージもかわいい「飴缶(抹茶・京の露)」(各770円)など、紫式部の世界観に触れる品が並ぶ。
住所:大津市石山寺1-1-1 石山寺境内拾翠園
営業時間:9時~17時
三井寺
紫式部の父が出家し藤原道長も深く信仰
天台寺門宗の総本山で、7世紀に天智天皇ゆかりの寺として創建された。敷地は35万坪に及ぶほど広大で、三重塔や観音堂など文化遺産も数多く建ち並ぶ。藤原道長も深く信仰し、紫式部の父・藤原為時が70才を過ぎてから出家した場所として知られる。
住所:滋賀県大津市園城寺町246
拝観時間:8~17時(受付終了16時30分)
入山料:大人600円、中高生300円、小学生200円
CaFé KanOn
紅茶に合う「新しいおはぎ」
三井寺の高台にある観音堂に隣接し、琵琶湖が一望できるロケーション。一級建築士としてでもある代表の松井昌彦さんが大の紅茶好きであることから「紅茶に合うおはぎを」と開発されたおはぎは、滋賀県産の米を使用した控え目な甘さにチーズやチョコレートなどがマッチした新感覚の味わい。
住所:滋賀県大津市園城寺町246 園城寺三井寺観音堂売店
営業時間:10時30分~16時(冬期)、10時30分~16時30分(夏期)
定休日:火曜
紫ゆかりの館(紫式部と国府資料館)
紫式部が青春を過ごした地
官職を失った父・藤原為時が新たに得た越前守の職に付随し、紫式部が生涯でただ一度だけ京の都を離れて過ごした越前たけふの地に2021 年にオープンした資料館。伝統工芸品である越前和紙を使って紫式部や父の姿を再現した和紙人形や、紫式部が『源氏物語』を執筆するに至るまでのストーリーを絵巻物風に紹介する物語映像などが展示されている。
住所:福井県越前市東千福町21-12
開館時間:9~17時
定休日:月曜日(月曜日が祝日または振替休日のときはその翌平日)、年末年始(12月29日~1月3日)
入館料:無料
紫式部公園
平安時代を感じさせる雅な世界
「紫ゆかりの館」に隣接。全国でも珍しい池をめぐらせた寝殿造りの釣殿を持ち、紫式部の生きた世界を体験できる。園内には黄金に輝く十二単をまとった紫式部像も。
住所:福井県越前市東千福町20-369
営業時間:入園自由
入場料:無料
取材・文/井上明日香 撮影/玉井幹郎、杉原照夫(WEST)、黒石あみ(本誌)
※女性セブン2024年3月14日号
https://josei7.com/
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