「だし巻き」「茶碗蒸し」「親子丼」が上手にできる!和食の名店料理長が伝授する調理法「コツは火加減」
だし巻き卵や茶わん蒸しなど卵料理は火加減が難しいと思っていませんか。そこで、六本木ヒルズにある和食の名店『六本木 kappou ukai』の統括料理長・大川陽生さんが家庭でも美味しくできる卵料理のレシピとポイントを教えてくれました。大川さんは「卵料理は火入れが命です!」と話す。「だし巻きは強火で一気に仕上げる。親子丼と茶碗蒸しは強火で表面をかためてから、弱火でじっくり加熱して柔らかさを残す。あくまでも目安ですが、ハードルが高めの卵料理も仕上がりの質感をイメージしながら調理すると、家庭でもおいしく作れるようになりますよ」(大川陽生さん・以下同)。仕上がりを意識した火加減でずっしりもとろりも自由自在!
※特記のもの以外、材料は2人分です。
※紹介したレシピは本企画のために家庭用に考案したものです。
教えてくれた人
六本木 kappou ukai 統括料理長・大川陽生さん
こだわりの卵は独自配合の飼料で育てた鶏から採れる、神奈川県産の『寿雀卵』を使用。濃厚な黄身と強いコシが評判で、直売所には行列ができることも。
だし巻き
強火で手早く巻くとずっしり凝縮された旨みに
「だし巻きの卵は、混ぜ過ぎないことがポイント。また、フライパンの同じ部分にばかり火があたると、焼きムラができて失敗の原因に。コンロの上で動かしながら、熱の当たり方を均一にしましょう。中に入れる具材はあらかじめ成形しておくと、スムーズに巻けますよ」
<作り方>
【1】ほうれん草適量はゆで、水けを絞る。かに風味かまぼこ2本と合わせ、棒状に成形しておく。
【2】水1/2カップ、顆粒だし(かつお)少量を混ぜ合わせる。
【3】ボウルに卵6個を軽く溶きほぐしたら、【2】、しょうゆ小さじ1を加えてざっと混ぜる。
【4】卵焼き器にサラダ油を強火で熱してなじませ、お玉1杯強分の【3】を流し入れる。
【5】【4】の表面に泡がふつふつと立ったら、箸で刺して空気を抜く。【1】をフライパンの奥において、手前に向かって巻いていく。
【6】再度油をひいたら【5】を奥に移動して、お玉1杯分の【3】を流し入れる。【5】を持ち上げ、下にも卵液を入れたら、手前に巻いていく。これを繰り返す。切って器に盛る。
<ポイント>
・アツアツに熱して油を薄くひく
卵焼き器から煙が出るまで熱し、油をひく。「弱火だと仕上がりが水っぽくなるので、必ず強火で」。
・ひと巻き目の卵は多めにして土台に
ひと巻き目はだし巻きの芯になる。卵の量を多めにして、太く頑丈な土台を作る。
・油→強火で手早くを繰り返す
具材を置き、へらなどで手前に手早く巻いていく。
卵を加える前に、その都度、薄く油をひくのを忘れずに。
茶碗蒸し
こす、蒸気を逃がすのひと手間で、驚くほどなめらかに
「手軽に作る方法もいろいろありますが、蒸し器で作ると食材の甘みが引き出されるし、火加減もしやすい。失敗の大きな原因は火の入れすぎ。箸をかませて蒸気を逃がす、余熱も利用するなどの工夫で“す”が入るのを防げます」
<作り方>
【1】鶏肉10gは5mm幅の棒状に、しいたけ3個、かまぼこ3切れ、もち適量は1cm角に切る。鶏肉はしょうゆで洗う。
【2】水1と1/4カップ、顆粒だし(かつお)、しょうゆ小さじ1、塩少量を混ぜ合わせる。
【3】ボウルに卵2個をよく溶きほぐす。卵をかき混ぜながら少しずつ【2】を加えたら、ざるでこす。
【4】器に【1】を盛り、【3】を注いだら、ふたもしくはアルミホイルを被せて蒸し器に入れ、強火で約3分蒸す。箸などをふたにかませ、蒸気を逃がしながらさらに弱火で約3分蒸す。火を止めてそのまま1分おく。三つ葉少量をのせる。
<ポイント>
・具材はだしにもなる
具材は1cm角に揃えて切る。鶏肉やしいたけなどだしになる食材のほか、大川さんのおすすめはもち。
・卵液をこす手間は必須!
硬いもの(卵)に柔らかいもの(だし汁)を加えて伸ばし、よく混ぜてざるでこす。「なめらかな食感にする、大事なポイントです」。
・具材の頭が見える位に注ぐ
「具材が見えると、蒸し上がりの見た目が華やかになりますよ」
・強火で一気にかため弱火で蒸す
強火で一気に蒸し上げ、蒸気を逃がしながら70~80℃でゆっくり火入れをし、最後は余熱で。プルッとなめらかな舌触り、とろけるように柔らかい仕上がりに。
親子丼
卵を2度に分けて入れることで絶妙な食感に
だし汁は少なめにすると、失敗しにくい。「油揚げを入れると、素材の風味とだしの旨みを吸ってさらにおいしくなります。具材と最初の卵は食感が残るくらいに煮て、2度目に加える卵は余熱で火を通す程度に」。
<作り方>
【1】鶏もも肉120gは薄切り、玉ねぎ1/4個は半分にして薄切り、うかいの揚げ(油揚げ)1/2枚は油抜きをして短冊切りにする。卵3個はよく溶きほぐす。
【2】だし汁(かつお)3/4カップ、みりん大さじ2、しょうゆ大さじ1と1/2、酒大さじ1、薄口しょうゆ・砂糖各小さじ1を混ぜ合わせる。
【3】鍋に【2】、玉ねぎ、油揚げを入れて火が通ったら鶏肉を加え、弱火で約5分煮る。
【4】【3】に卵の半量を円を描くようにして加え、強火にする。
【5】卵がかたまったら火を止め、残りの卵も円を描くようにして加えてふたをする。
そのまま1分おく。
【6】茶碗2杯分のご飯(200g)をそれぞれ器に盛り、【5】をのせる。
<ポイント>
・鶏肉は火の通りやすい薄切りに
鶏肉を大きく切ると加熱に時間がかかって硬くなってしまう。卵との食感のバランスも悪くなるので、旨み、食感を残すには薄切りが◎。
・最初に玉ねぎと油揚げを軽く煮る
最初に玉ねぎと油揚げを煮て旨みを引き出し、鶏肉にはさっと火を入れる。
・卵は2度に分けて加え食感の違いを楽しむ
1度目に入れた卵がかたまったところで、残りの卵を加えて火を止める。余熱で仕上げることで、しっかりした卵の味わいと、半熟のとろっと食感の両方が楽しめる。
Data
六本木 kappou ukai
住所:東京都港区六本木6-12-4 六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り 2F
撮影/玉井幹郎 取材・文/勅使河原桜
※女性セブン2024年2月22日号
https://josei7.com/
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