介護食の宅配は「味・サービス・安心感」で選ぶ 宅配弁当の無料お試しサービスを管理栄養士が実食レポート
介護食の宅配サービスが進化している。食事の味や食べやすさの配慮はもちろん、安否確認などのサービスも展開しているところも。そこで、高齢者施設で栄養指導などを行っている管理栄養士が注目する、3社のお弁当を実食。“初回無料のお試しサービス”を注文して試食してみた実録ルポをお届けします!
教えてくれた人/管理栄養士・川鍋仁美さん
管理栄養士。2児の母。大学卒業後、総合病院に勤務。介護食・嚥下食などの献立作成や栄養相談など行ってきた経験を活かし、現在はデイサービスで高齢者の栄養サポートなどを行う。介護する人もされる人も笑顔になれる「介護食作り」を目指し、活動中。「管理栄養士が伝授!いちばんやさしい介護食ガイド」の運営・執筆も手がける。https://eiyousupport.com/
無料でお試しができる介護食の宅配サービスをお試し!
介護が必要な人や高齢の親の食事が気になる人にとって便利なのが、すぐに食べられる状態のお食事が配達される“配食サービス型”の宅配食。中でもおすすめなのが、“無料でお試し注文”ができるサービスです。
→介護食の宅配サービスの選び方|種類やメリット・デメリット「無料お試しから始めるのがおすすめ」【管理栄養士解説】
これまで管理栄養士の仕事柄、さまざまな介護食のお弁当を試してきました。そんな中で、味だけでなく利用者やご家族が嬉しいサービスも充実していて気になっていたのが、以下で紹介する3社です。実際にお試し注文してみたレポートをお届けしますので、参考にしてみてください。
宅配クック123「おいしいだけじゃない。配達時のサービスも充実!」
宅配クック123は、1999年から20年以上続く高齢者専門の宅配サービス事業を展開しています。
社名の「123」には向こう三軒(3)両隣(1、2)の良き隣人のような存在でありたい、「ご家族になれなくてもお隣さんになれる」という想いが込められているそうです。
この日の献立は、中華メニュー。栄養価は493キロカロリー、たんぱく質は16.9g、食塩相当量2.2g(ごはんを含む)。栄養士がバランス良く献立を考えている。
宅配クック123
お試し注文
65才以上で初めて注文の場合、普通食1食無料で試食できる。
お弁当の種類と特徴
・管理栄養士監修。
・普通食、幸たんぱく食、健康ボリューム食、カロリー・塩分調整食、たんぱく・塩分調整食、透析食、消化にやさしい食、やわらか食、ムースセット食、朝食、おせちなど、全11種。
・毎日の食事以外にも、栄養補助食品や機能性表示食品(黒酢やグルコサミン飲料など)も注文可。
・おかずのみ、ごはんとセットか選べる。
・アレルギー・禁食対応(主菜のみ)、おかずの刻み対応、ご飯の量の増減(80~250g)、ご飯のかたさ(やわらかめ・おかゆ)は追加料金なしで個別対応。
価格・支払い方法
価格:普通食(おかず+ごはん)/594円 やわらか食(おかず+おかゆ)/831円など。
1食600~840円ほどで、配達料は1食から無料。
支払い方法:毎月利用分をまとめて、口座振替(銀行またはゆうちょ銀行)・銀行振込。
店舗によっては現金払いの取り扱いがある場合もあるので要相談。
※価格はすべて税込み表記。
その他サービス
★配達員がお届けの際、1~2分の範囲内であれば簡単なサポートをしてくれる。
・お弁当を居室内や冷蔵庫へ納品。
・電子レンジでの温めや配膳。
・お薬の声かけや服用の確認。
・ポストの新聞や郵便物を居室内へ届けてくれる。
★配達時の見守り(安否確認)サービス
配達時に利用者の様子を確認し、異変がある場合は緊急連絡先に報告してくれる。
※安否確認が必要な場合は事前に相談・登録が必要。
宅配クック123「普通食・やわらか食・ムース食」を試食レポート
普通食(ひと口大カット)、やわらか食、ムース食の3種類をお試ししてみたかったので電話で相談したところ、なんと3食分を無料でお試し注文することができました。
この日の通常食のメニューは、豚肉ときくらげの中華旨煮、シウマイ、キャベツのコンソメ煮、大豆ちりめん、きゅうりのしょうが漬け。
やわらか食のメニューは、鶏肉と野菜のクリーム煮、レンコンのずんだ和え、南瓜の煮物、鮭と菜の花のみぞれあん、スイートポテト。
ムース食のメニューは、鮭の西京味噌だれ、キャベツの鶏そぼろがけ、いんげんのごま和え。
お弁当容器は、返却不要の使い捨てタイプ。容器を洗って返却する必要がないのは便利です。高齢者でも持ちやすい・開けやすい・スプーンですくいやすい角度に設計されていて容器にもこだわりがあります。
普通食は、丁寧にひと口大に切ってあり、ある程度のかみ応えも残しながら全体的にやわらかく調理されています。
口の中でばらばらになりやすい炒め料理もあんかけでまとめてあり食べやすくなっています。
やわらか食は、水っぽくなりやすいものですが、そのようなことはなく味付けもしっかりしていました。
この日のメニュー(やわらか食)には、やわらかく調理された「れんこん」も入っていました。単にやわらかい食材を利用してしまうとメニューが偏りやすいですが、調理方法でいろいろな食材が食べられるのは嬉しいポイントです。
ムース食は、スマイルケア食(農林水産省が策定した新しい介護食品)に対応しています。
3種類のおかずが入っていて、西京みそ味・ごま風味・中華風味などそれぞれ味がしっかり異なっていてご飯も一緒に食べたくなる味付けになっていました。
ちなみに、注文した日は直接受け取りができなかったので、事前にお伝えしたところ、保冷バッグに入れて宅配ボックスに配達してくれました。こちらの都合によって配達の仕方も配慮してくれるんです。
まごころ弁当「栄養がたっぷり摂れる!高齢者のための工夫が満載」
まごころ弁当は、全国展開している高齢者専門の宅配弁当サービスです。
春夏秋冬それぞれの季節に合わせて旬の彩り豊かなメニューを用意。「お弁当を取って頂く理由は人それぞれですが、毎日直接お手渡しする時に『ありがとう』と言っていただけるように」という想いをもって運営されているそうです。
また、野菜は季節により8~9割が国産です。
この日の献立は和食メニュー。栄養価はご飯付きだと450~550キロカロリー。栄養士が高齢者に必要な栄養素を目安に献立を考えています。
まごころ弁当
https://www.magokoro-bento.com/
お試し注文
初めて注文のかたの場合、2食まで無料で試食できる。
お弁当の種類と特徴
・普通食、まごころ小町、糖質カロリー調整食、たんぱく質調整食、ムース食など、全5種。
・おかずのみ、ごはんとセットか選べる。
・普通食は特大・大盛などのサイズアップも可。
・アレルギー・禁食対応、おかずの刻み対応(ひと口大、きざみ、極きざみ、トロきざみ)、ご飯のかたさ(やわらかめ・おかゆ・ミキサーおかゆ)は追加料金なしで個別対応。
価格・支払い方法
価格:普通食(おかず+ごはん)/540円~ ムース食(おかず+おかゆ)/740円など。
1食500~930円ほどで、配達料は1食から無料。
支払い方法:口座振替(自動引落)、銀行振込み、月末まとめ払い、毎回現金払い。
※価格はすべて税込み表記。
その他サービス
★配達員がお届けの際、3分以内であれば簡単なサポートをしてくれる。
・お弁当を居室内や冷蔵庫へ納品。
・電子レンジでの温めや配膳。
・お薬の声かけや服用の確認。
・ポストの新聞や郵便物を居室内へ届けてくれる。
・不在だった場合や指定がある場合は指定された場所に保冷袋と保冷剤で置配可(ドアノブに掛ける・玄関脇に置く・物置に入れるなど)。
・お弁当を居室やベッドの脇などへ納品。
★配達時の見守り(安否確認)サービス
配達時に利用者の様子を確認し、異変がある場合は緊急連絡先に報告してくれる。
さらに『特許取得の安否確認アプリ』で、お届け先に貼られた二次元バーコードを配達員が読み込んで、その場でご家族に配達状況をメール報告をしてくれる。
※安否確認が必要な場合は事前に相談・登録が必要。
まごころ弁当「普通食」を試食レポート
普通食(ひと口大カット)を無料でお試し注文しました。
お弁当容器は、電子レンジ使用可能な回収型のタイプ。空いたお弁当箱は翌日に回収、もしくは次回のお弁当配達時に交換となる。弁当容器の洗浄は必須ではありませんが、軽く洗ってもらえると嬉しいという旨の説明を受けました。
この日の普通食のメニューは、豚肉と青菜の卵炒め、ツナのあっさり煮、和風カレー煮、付け合わせ。
どれも丁寧にひと口大に切ってあり、全体的にやわらかく調理されています。
お弁当と一緒に同封されていた資料には「品数を多く、1品の量は軽めに全体として幅広い栄養素をとれるように」考えているとの記載があります。実際に1品ずつのボリュームは少なめですが食材数が豊富な印象を受けます。
また高齢者によくある、食べ残しを取っておいて、次の日に食べるのを防止するため、1品が食べきるサイズにしてあるそう。
私自身も高齢者に食事内容を聞く機会がありますが、「1食のお弁当を2回に分けて食べている」と話すかたがとても多いのですが、衛生面から考えておすすめはできません。
「食べきれる分量」に配慮されているのは宅配食を選ぶうえで、大切なポイントといえます。
LIFE DELI「国産の食材を豊富に使用。おいしさと安心感も提供」
LIFE DELI(ライフデリ)は、高齢者と糖尿病・腎臓病・透析治療中のかた、嚥下が困難なかた向けの宅配弁当サービス。
おいしさだけでなく、国内の契約農家の農作物を使用して8割以上は国産の安心できる食材を使用するこだわりもあります。
この日の普通食弁当は、和食メニュー。栄養価は540キロカロリー(ごはんを含む)、塩分1.9g。昆布とカツオでとったダシを使うことで塩分をできるだけ控え、栄養バランスに配慮されています。
LIFE DELI
お試し注文
初めて注文の場合、どのメニューでも1食無料で試食できる。
お弁当の種類と特徴
・普通食、カロリー調整食、透析食、腎臓食、やわらか食、ムース食など、全6種。
・おかずのみ、ごはんとセットか選べる。
・普通食は日替わり汁物をプラスすることもできる(+85円)。
・翌日の朝食分を、お弁当と一緒に真空パック状で届けることも可。
・アレルギー・禁食対応、おかゆへの変更、ごはんのグラム指定(減らす場合)は追加料金なしで個別対応(ごはんを増やす場合、きざみ食対応は別途料金が必要)。
価格・支払い方法
価格:普通食(おかず+ごはん)/563円~(※
配達料は1食から無料。
支払い方法:口座振替(自動引落)、銀行振込み、月末まとめて現金払い。
※価格はすべて税込み表記。
その他サービス
★配達員がお届けの際、簡単なサポートをしてくれる(事前相談が必要な場合もあり)。
・不在だった場合や指定がある場合は指定された場所に保冷袋と保冷剤で置配可(ドアノブに掛ける・玄関脇に置くなど)。
・お弁当を居室内へ納品。
★配達時の見守り(安否確認)サービス
配達時に利用者の様子を確認し、異変がある場合は緊急連絡先に報告してくれる。
※安否確認が必要な場合は事前に相談・登録が必要。
定期的(週1回以上)に利用する場合、配達のない日は自動電話による安否確認サービス「らいふコール」を無料でできる。
LIFE DELI「普通食・やわらか食」を試食レポート
普通食(ひと口大カット)、やわらか食の2種類をお試ししてみたかったので、電話で相談したところ、なんと2食分を無料でお試し注文することができました。
この日の通常食弁当のメニューは、鯖の味噌煮、菜の花、大根の甘酢漬け、オクラとコーンの炒め物、ひじき煮。
やわらか食のメニューは、ポテトコロッケ、チリコンカン、里芋煮、金時豆の甘煮、ブロッコリーの和え物。
お弁当容器は、電子レンジ使用可能な回収型のタイプ。空いたお弁当箱は翌日に回収、もしくは次回のお弁当配達時に交換となる。弁当容器の洗浄は義務ではありませんが、軽く洗ってもらえると助かるという旨の説明がありました。
普通食(ひと口大)は食材が丁寧に切ってあり、お魚は骨もなく食べやすい状態です。全体的にやわらかく調理されていますが、普通食はある程度食材の歯触りを感じられるかたさが残されています。
食材には菜の花やオクラなど季節を感じられる食材が使われているのもうれしいポイントです。
やわらか食は、ムース食を食べるほどではないけど噛む力が弱くなってきた方向けの食事。実際に食事の見た目は普通食とほとんど変わらないままで、味付けもしっかりしていました。
食事とは別にお届け表に担当者から「一言メッセージ」が添えられていました。その日のちょっとしたことが書かれているのですが、なんだか温かい気持ちになりました。
<介護食の宅配サービス>3社の試食を終えて【まとめ】
今回紹介した3社は、どれも1日1食でも、月に1回からでも配達してくれるとのこと。初回無料のお試しサービスは、食材の形状なども相談に乗ってくれるので、ぜひ試して欲しいと思います。
実際に試食してみて、味やサービスは3社どこもおすすめ。配達員さんのちょっとしたサービスや気配り、高齢者が食べきれる量への配慮、国産食材を厳選して使用するなど、さまざまな工夫や心のこもったサービスを提供されています。
毎日の介護食作りは大変なので、ぜひ上手に宅配食を利用してほしいと思います。無料のお試しを活用して、親御さんと一緒に試食して納得するものを選んでほしいです。
●介護食の宅配サービスの選び方|種類やメリット・デメリット「無料お試しから始めるのがおすすめ」【管理栄養士解説】