お正月のわくわく感を届けてくれる「高知・皿鉢(さわち)料理」ほかご当地おせちを解説【四国・中国編】
一年の計は元旦にあり。新年を祝い、その年の幸せを願って食卓を彩るのが「おせち料理」だ。縁起物や願いを込めた料理の数々は日本各地で地域の歴史や風土と結びつき郷土の味として親しまれている。中国・四国で愛される「おせち料理」を読者アンケートで徹底調査した。
教えてくれた人
大友育美さん/料理家。高知県出身。
お正月のわくわく感を届けてくれる「皿鉢料理」
「子供の頃、年末に仕出し料理店から皿鉢料理が届くとわくわくして、お正月がとても待ち遠しかったですね。大皿には、さばの姿寿司や煮貝、唐揚げなどのごちそうが盛りつけられ、一回り小さい二皿目には刺身の盛り合わせ。食卓に皿鉢が並ぶと、お正月がとても華やかで賑やかになるんですよ」(大友育美さん)
【高知県】皿鉢(さわち)料理
直径36~39cmの大皿に、刺身、揚げ物、煮物、練り物、さば寿司、ようかんなど何を盛ってもOK。一皿3人前程のボリュームで作られ、料理が減れば補充する。大勢で囲み、食べたいものを小皿に取り分けて食べるスタイル。「堅苦しいルールに縛られない土佐人ならではの発想です」(63才 女性)
【鳥取県】数の子の大根おろし和え
大根おろしで和えた数の子にしょうゆをかけて食べる。にしんは「春告魚」と書き新年に相応しい魚。さらに「二親」という漢字をあて、両親の健康長寿を祈願する。卵の多さから子宝を連想させるなどお正月食材の中でも縁起のよさはNo.1!
【島根県】赤貝の殻蒸し
「サルボウ貝」という貝を、島根県では赤貝と呼ぶ。水、酒、しょうゆ、砂糖などを入れ煮立ったところに赤貝を追加し、味が馴染んだら食べ頃。「残った貝はセロリと煮ても。赤貝の身で作るおこわも美味」(48才 女性)
【岡山県】まつり寿司
華やかな盛りつけで「岡山ばら寿司」「備前ばら寿司」とも呼ばれ、備前岡山地方で祭りや祝い事の際に作られる。春はさわら、秋にはまつたけ。ほかにも野菜や魚介類の形が整ったものは上に飾り、残りは酢飯の中に混ぜ込む。
【広島県】くわい
広島県福山市は、生産量日本一を誇るくわいの産地。芽が出ることから出世への願いが込められている。おせちでは煮物にすることが多いが「かきとくわいで炊き込みご飯にする」(43才 女性)、「唐揚げが好き」(31才 女性)など食べ方は豊富。
【山口県】はすのさんばい
岩国れんこん、にんじん、油揚げを三杯酢で和えた酢の物。特産品の岩国れんこんは一般的なものより穴が1つ多く、9つなのが特徴。名前の由来は「三杯酢」が語源というもの、田の神様を「さんばい」と呼んでいたからなど諸説ある。
【愛媛県】揚げ巻
魚のすり身を油揚げで巻いて蒸した南予地方の練り物。「愛媛といえばじゃこ天でおせちにもかまぼこ代わりに入れますが、揚げ巻はじゃこ天より高価なので特別感があります。スライスして刺身のように食べることが多いです」(56才 女性)
【徳島県】ボウゼの姿寿司
ボウゼは徳島の方言で全国的には「イボダイ」「ウボゼ」「シズ」と呼ばれる白身魚のこと。背を開いて骨、えら、目玉、血合いを取り除いたボウゼに塩を振り、酢漬けにする。詰める寿司飯にすだちやゆずを使えば、さわやかな風味が際立つ。
【香川県】黒豆の五目煮
黒豆とその豆の煮汁で、大根、にんじん、れんこん、鶏肉などを煮込む料理。「西日本地域でお正月によく食べられている五目煮の黒豆バージョンです。讃岐も関西に近いので、おせちなどの伝統的な食文化は似ているのかもしれません」(31才 女性)
※おせちに関する情報は、女性セブン読者1584人のアンケート調査結果(10月23日~11月5日に実施)、紀文食品『お正月に関するデータベース/全国の郷土のおせち料理』、農林水産省「うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味」(ともにサイト記事)を統合し、編集部で総合的に判断したものです。
※各県の一部地域でのみ確認できる料理、県境を越えて食される料理、また一部雑煮、冬期に食す郷土料理等も含まれています。
※各地の料理(または使われている食材)は、大手通販サイトや地方の特産品サイト等で取り寄せが可能なものもあります。
撮影/宮司信吾、田中宏幸 写真/PIXTA、農林水産省Webサイトから編集・加工
※女性セブン2024年1月4・11日号
https://josei7.com/
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