川上麻衣子さんが実践した<生前整理>「昭和の家電、北欧の食器…母の思い出話を聞きながら片付けた」
年末年始は実家の片付けをするいい機会だ。高齢の親とモメることもなく、整理をスムーズに進めるにはどうしたらいいのか。親子で協力して生前整理を終わらせたという俳優の川上麻衣子さん。1960年代に購入した実家の集合住宅は昭和の家電や資料などで倉庫状態だったという。実際の写真とともに、片付けのポイントや進め方について教えてもらった。
プロフィール
俳優・タレント 川上麻衣子さん(57)
スウェーデンのストックホルム生まれ。14才のとき、『ドラマ人間模様「絆」』(NHK)でデビュー。テレビドラマ『3年B組金八先生』(TBS系)で注目される。スウェーデンの生活や文化に関する講演会も催す。
川上麻衣子さん「実家はモノで溢れ放置されていた」
両親ともにインテリアデザイナー。1960年代に東京・町田市に集合住宅を購入し、改築。その後、両親も川上さんも都心の別の賃貸物件に暮らすようになり、実家は資料などのモノで溢れたまま放置されることになり――。
親子で協力して生前整理を終わらせた女優・川上麻衣子さん。父は94才、母は85才だが、ふたりとも現役のインテリアデザイナーだ。
「私は17才で実家を出たのですが、両親も仕事の関係で都心の賃貸物件やスウェーデンに住むように。誰も住まなくなった実家には、私のモノや両親の資料、作品が置かれ、倉庫のようになっていました」(川上さん・以下同)
川上さんはかねてこの実家を何とかしたいと思っており、父親が90代半ばに差しかかったのを機に、両親に相談。実家を売却することに決めたという。2023年9月のことだった。
片付けは1か月「分担を決めた」
「“実家を売る”と決めたことで、生前整理が具体的に動き出しました。2軒の不動産業者に相談し、そのうちの1軒が“不要なモノはこちらで処分する”と言ってくれたので決めました」
引き渡しまで2か月あったが、家族それぞれに仕事があったため、片付けは1か月で終わらせた。
「母は食器、父はカメラや写真、私は家財道具や自分の荷物というふうに分担を決め、それぞれが、『手元に残すモノ』『売るモノ』『迷っているモノ』『友人などに引き取ってもらうモノ』『コンテナ(貸倉庫)に入れておくモノ』に分けました。分類したら付箋で色分けして、ひと目でわかるようにしました」
残すモノは全体の2割と決め、北欧家具や両親の作品は2畳ほどの貸し倉庫を3つ借りて、そこに収めた。売るモノは、アンティーク専門、書籍専門、なんでも買い取る業者の3社を呼んで査定してもらった。北欧のデザイナーによる1950年代の書籍やLeicaのカメラには高値が付いたという。
「使えなくなった昭和の家電も映画の小道具などに役立つと買い取ってもらえました」
親ともめずにモノを整理する方法とは?
モノを捨てたくない世代の親と、捨ててスッキリしたい世代の子供。生前整理はもめ事がつきものだといわれるが…。
「たとえば食器は、母が気に入って選んだモノであり、思い出もありますから、どれも処分したくないというのが本音だったと思います。
でも、“しまい込んでいたら意味がない。本当に必要なモノだけを残そう”と言うと納得してくれました。それに、モノにまつわる思い出話を聞きながら片付けられたので、“じゃあこれは取っておこうよ”と、お互いに納得のいく判断ができたと思います。両親が元気なうちに整理ができてよかった。もしこれを私ひとりでやるとなったらどれだけ大変だったか」
実家の整理は親が健在なうちに、かつ、子供も体が動ける50代までに終わらせることがおすすめだと、最後にアドバイスしてくれた。
川上麻衣子さんの「片付けPOINT」
●親子で分担を決める。
●「手元に残す」「売る」「友人にあげる」など、モノは行き先別に付箋で色分けする。
●残すモノは全体の2割にとどめると決めて徹底。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2024年1月4・11日号
https://josei7.com/
●実家の生前整理を業者に依頼した実例ビフォー・アフター 費用や段取りも公開