<入れ歯>最新事情をコミックレポート!「50代で部分入れ歯を選ぶ人も多い」【歯科医師解説】
入れ歯のメリットは「安全で幅広い年齢層に適用できること」と言うのは、歯学博士の西山雄一郎さん。
「入れ歯は口の中の型を取り、それをもとに製作されます。それに入れ歯は、自分で取り外しができて手入れもしやすいので、いつも清潔に保てます。通常は外科手術は不要で、健康な歯を傷つけることは少ないんです。合わなくなった場合は何度でも修理可能で、作り直しもできるので、患者さんの体の変化に対応しやすく体への負担が少ないのも利点です」(西山さん・以下同)
保険適用のものと自費による自由診療のものがあり、それぞれ利点が異なる。
「入れ歯の料金は、『人工歯』で使う素材に加え、土台となる部分の『床』や、金属のフレーム(骨格部分の有無)、残った歯に引っ掛けて留めるための『バネ』によって変わってきます。保険適用内で作ると料金は安く抑えられますが、使える材料が限られます。その点、自由診療では土台にやわらかいシリコーンや丈夫な金属が使え、人工歯も自然で丈夫なセラミックが使えるなど、値段は上がりますが、選択肢の幅は広がります」
保険診療と自由診療の違い
保険診療と自由診療では、作業工程も違いが大きい。
「通常は『印象材』と呼ばれるやわらかい粘土のようなものを噛んで型を取りますが、噛む力と口の筋力が衰えた高齢者には負担となるので、その方法が問題になっていました。ですが最近は、固定電話の受話器くらいの大きさの3Dスキャナーが登場。これを使って口の中をスキャニングし、口の中の状態を記録。さらにコンピューターでデータ化した口の中の状態をもとに入れ歯を製作することができるようになったため、患者さんの負担も減らせるようになりました」
型を取ったら噛み合わせをチェックし、歯を並べていく。
「患者さん本人の要望以外にも、顔の形、表情に合わせて人工歯の大きさや形、色を決めていきます。特に顔の形は重要です。卵形の人なら卵形、四角い形の人なら四角形、逆三角形なら三角形と顔の形に合わせて選ぶと自然な表情と口元になります。自由診療だと、人工歯を細かく見て選べます」
取材・文/廉屋友美乃 イラストルポ/藤井昌子 撮影/浅野剛
※女性セブン2024年1月1日号
https://josei7.com/
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