ブームのぬか漬け|簡単なぬか床の作り方、定番や変わり種の漬け方、健康効果など徹底解説
ぬか漬けが今、“ジャパニーズスーパーフード”としてアメリカで大流行。日本でも“美肌を作る”と再注目されており、イケメン俳優・新田真剣佑(22才)も「趣味はぬか漬け」と公言!
でもぬか漬けって、管理が面倒なイメージが…。「いいえ、実は簡単。冷蔵保存なら3日に1回混ぜればOKです」とは、発酵料理の達人・大友育美さん。自分好みの味に“育てられる”マイぬか漬け、一から作ってみませんか?
捨て漬けのひと手間でおいしさアップ!
「ぬかには、胃腸の働きを高めて消化を促進し、体内の余分な水分を排出してむくみを改善する効果があります。季節の野菜を漬けて食べれば、体の養生になりますよ」
そう教えてくれたのは、国際中医薬膳師の大友育美さんだ(以下同)。
おいしいぬか床を作るポイントは、野菜などを漬ける前に野菜くずを漬ける“捨て漬け”を行うことだという。このひと手間を加えることで、微生物の活動が活発になり、ぬかの発酵と熟成を促進させられる。
「捨て漬けを行う際は、ぬか床の上下をしっかり混ぜて、ぬかに酸素を取り入れましょう。ぬか床には、表面に酵母菌の一種・産膜酵母が、底に酪酸菌が繁殖します。上下をよく混ぜることで、これらの菌がかたよらず、全体にいきわたります」
ぬか漬けは室温保存をし、毎日混ぜるのがベターだが、冷蔵保存なら3日に1回混ぜるだけでいいという。
「ただし、長期間冷蔵保存すると、菌の働きが弱まり、風味が損なわれるので、時々室温に戻してあげて。また、長期の留守などで混ぜられない場合は、ぬか床を密閉保存袋に入れ、しっかり空気を抜いて冷凍すれば、1か月は保存可能です。再開する時は、冷蔵庫で自然解凍して使いましょう」
ぬか漬け初心者はまず、少量のぬか床で、きゅうりやにんじんといった基本の野菜から漬けてみて!
ぬか床の作り方
【材料】
生ぬか、または炒りぬか‥‥300g
水‥‥1と1/2カップ
塩‥‥30g
赤唐辛子‥‥1本
昆布‥‥5cm
しょうがの薄切り‥‥3枚
【1】水に塩を溶かす
鍋に水と塩を入れて火にかけ、煮立ったら火を止め、冷ます。
【2】材料をよく混ぜたら、ぬかのかたさをチェック
ボウルにぬかと、半分にちぎって種をとった赤唐辛子を入れる。【1】を半量入れて混ぜ、さらに、半量入れてよく混ぜ合わせる。手でひとつかみとり、ぎゅっと握ると水分が滴るくらいのやわらかさがベター。
【3】容器に移して平らにならす
【2】を容器に移し、昆布としょうがを入れて混ぜる。最後に空気を抜くように、上からしっかり押さえて平らにならす。
ぬか漬けの健康効果:便秘改善、食後高血糖予防に期待
「ぬかに含まれる植物性乳酸菌は、動物性乳酸菌に比べて酸に強いため、生きたまま腸内に届きやすい。もともと体内にいる乳酸菌も活性化し、腸内環境を整える効果があるんです」
と話すのは、小林メディカルクリニック東京院長の小林暁子さんだ。
漬け込む野菜自体にも食物繊維が豊富なため、ぬか漬けを食べるだけで乳酸菌と食物繊維を効率よく摂取できるという。
「自家製のぬか床なら、活性した状態の“イキのいい”乳酸菌を取り込めます。腸内環境が整えば、便秘の改善や予防にも有効。豊富な食物繊維により、食後の血糖値を急上昇させる“食後高血糖”の予防も期待できます」(小林さん)
ただし、塩分が気になる人は、食べすぎないようにすること。
「塩分過多にならないよう、少量を毎日食べ続けることが大事。にんじんなど歯ごたえのある野菜なら、よくかめるので唾液が出やすく、あごも鍛えられるのでおすすめです」(小林さん)
捨て漬けのやり方
【1】野菜くずを漬ける
ぬか床に、キャベツの外葉、大根の葉、野菜の皮やヘタといった“野菜くず”を入れ、3日間漬ける。その間、1日1回混ぜること。「混ぜることで、ぬか床に酸素が入り込みます。酸素を好む酵母の働きが活発になると、雑菌の繁殖が抑えられ、おいしいぬか床ができます」。
【2】3日経ったら野菜くずを替える
3日経ったら、野菜くずを取り出す。野菜くずに付着したぬかは、ぬか床へ戻して野菜は捨てる。新しい野菜くずをぬか床に漬けて、1を繰り返す。1、2の作業を3回行う。「乳酸菌の酸っぱい香りがしてきたら、ぬか床が熟成し、安定した証拠です」。
【3】本漬けへ!
漬けたい食材を入れよう。常温保存なら1日1回混ぜるのが基本だが、冷蔵保存なら3日に1回のお手入れでもOK。
「どんな容器で漬ける?」ぬか漬けの基本Q&A
Q:どんな容器で漬けたらいい?
A:においがつきにくく、もれない素材
陶器のかめ、ホーロー、ガラス瓶などの素材で、いずれもふたつきの容器がおすすめ。「密閉できる保存袋でもいいですが、安価な保存袋の中には、酸や塩分が付着したものもあるので、長期間漬けるには不向きです。混ぜることを考えると、ぬか床の1.5倍以上の高さがある容器がいいでしょう」。
Q:水っぽくなってきたらどうする?
A:ぬかと塩を合わせた「足しぬか」を追加しよう
ぬかが水っぽくなってきたら、“足しぬか”をする。「足しぬかとは、ぬかとぬかの重量の7%の塩を合わせたものです。ぬか床が少なくなってきた場合も、足しぬかをしてください」。
Q:酸っぱい、辛いなどの場合、味の調整はできる?
A:酸味にはゆで卵の殻を、辛味を抑えるには昆布を加える
酸っぱすぎたら塩を足したり、ゆで卵の殻を入れてよく混ぜるといい。「卵の殻のカルシウムが酸を中和します。生卵の殻を使う場合は、煮沸してから使いましょう。塩辛い場合は、足しぬかをして、昆布や干ししいたけなど、うまみ成分の強い食材を足すのがおすすめです」。
Q:ぬか漬けに不向きな食材は?
A:水分の多い野菜や苦味の強い長ねぎは不向き
水分の多いレタスなどの野菜は、形が崩れたり、変色するのでNG。また、苦味の強い長ねぎなどは、ぬか床に苦み成分が移ってしまうので、不向き。
Q:カビが生えたらどうする?
A:カビの色ごとに処置を
うっすら白い膜がはっている程度なら、それは産膜酵母。カビではないので混ぜ込んでOK。真っ白で悪臭がするものはカビなので表面だけ捨て、足しぬかをする。黒や緑のカビが生えたら全部捨てよう。
CHECK!側面についたぬかがカビの原因に!
容器の縁や側面についたぬかをそのままにしておくとカビの原因になるので、ペーパータオルなどでこまめにふき取ること。