腟ケアで若返り!腰痛、冷え性改善など「ちつのトリセツ」の著者が語るそのパワー
あなたは、自分の「腟」の形や感触がすぐに思い浮かぶだろうか。人に話すことも、自分で触ることも“禁忌”とされる「陰部」だが、手入れをすればするほど、体の不調が改善され、人生が変わるほどの効果が。そうとわかったら、見て見ぬふりはもうやめませんか?
オイルマッサージで体調激変、頭痛、腰痛、冷え症、便秘ほか体のあらゆる不調も改善するとう「膣ケア」のすごさをベストセラー『ちつのトリセツ』著者が教えてくれた。
こんな人は要注意
□ 外陰部にかゆみがある
□ 外陰部がヒリヒリする
□ 腟が乾いていると感じる
□ おりものが減ってきた
□ おりもののにおいがきつい
□ アンモニア臭がする
□ 尿漏れや頻尿を起こす
□ 性交時に痛みがある
※1つでも当てはまれば腟ケアを始めましょう
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「27年ぶりに好きな人とセックスしたんです」
干からびた腟のケアについて、自身の体験を赤裸々につづったベストセラー『ちつのトリセツ 劣化はとまる』(指導・監修たつのゆりこ、径書房)の著者で、現在64才の原田純さんは笑顔でそう話す。
20年近くセックスレスだった夫とは3年前に離婚。最近、新たに交際を始めた彼は、10才以上年下だという。
肌に張りがあり、生き生きとしたオーラが眩しい原田さんは、実年齢よりずっと若く見える。これが腟ケアのパワーなのだろうか。
モテる、頭痛が改善、やせる…。腟ケアがもたらしたもの
昨年末、朝日新聞夕刊に女性器への関心を呼びかける原田さんのインタビューが掲載されると、10~70代の幅広い世代から300通以上のメールが寄せられ、大反響だったという。
約2年前に発売し、重版を繰り返している『ちつのトリセツ』への感想も毎日のように原田さんの元へ届いている。意外にも、若い人ではなく50代以上の中年~高齢者層が多い。
「ついこの間も、70代の女性から、『アダルトグッズを注文しました。人生に喜びが増えました』とお手紙をいただきました。性の快楽面だけではなく、健康と腟が密接にかかわっていることも発信してきたので、健康面についての悩みや喜びの声もたくさんいただきます」(原田さん・以下同)
原田さんが腟と向き合い始めたのは、ひどい生理痛に悩み続け、50代で閉経したあと。女性の体と向き合うための取材を行ったことがきっかけだった。専門家に話を聞くうち、生理痛以外のあらゆる体調不良が腟の不具合と密接な関係にあることがわかったほか、自身が骨盤臓器脱予備軍だったことにも気がついた。
骨盤臓器脱とは、膀胱や子宮などを支えている骨盤底筋が衰えて、腟の近くにある臓器が体の外に出てしまう女性特有の病気のことだ。成人した日本人女性の6~7割にリスクがあるとされ、痛みや不快感、排尿障害など、生活の質を著しく下げる原因となる。
オイルマッサージで症状を改善
症状がひどいと手術が必要になるが、原田さんは毎日のオイルマッサージや腟口を引き上げるトレーニングによる腟ケアで改善させた。
「最悪の場合、臓器が出てこないように腟口を閉じる手術をすることになるんですよ。私も最初は何も知らなくて驚くことばかりでした。日本の女性は、『腟』について本当に無知だし、無関心だと感じます。自分の体のことなのに、正しい洗い方すら知らないなんて変ですよね」
「腟」にこれほど無知な背景には、幼い頃から「触ってはいけない」「はしたない」と教えられて植えつけられた、「腟」へのタブー視の風潮が根強くある。しかし、放置してカチカチに干からびた腟は、自浄作用を失い、においや腟炎、性交痛をはじめとするトラブルの原因にもなる。
閉経した人こそ、自ら触って、ケアするべきだと原田さんは言う。
「私は書籍の制作を始めた約5年前から、ほぼ毎日、腟のオイルマッサージを行ってきました。マスターベーションも週に1回くらい。続けていくには楽しんだり、おもしろがったりすることも重要だと気づき、バイブレーターやローターなど、かなりの数のアダルトグッズを試しました。『よければ遊んでみて』と、友人夫婦にもプレゼントしています。私たち日本人の強靭なタブー意識を取り除くには、楽しく遊び感覚でやっていくのが、いちばん有効な方法だと考えているからです」
腟が潤いを取り戻すと同時に、原田さんの体の不調はみるみる改善していった。
「長年悩まされていた頭痛、腰痛、冷え症、便秘、いずれも改善しました。たまにあった尿漏れまでなくなりました。不調の原因が腟だなんて思いもしなかったのに」
さらに、原田さんを見る周囲の目も変わったという。
「『若返った』『64才には見えない』と言われます。実際、今の方がモテる。50代の頃は、もう性的なことはあきらめ、自分は仕事で生きていくと思っていましたが、ケアを続けていくうちに知らず知らずフェロモンが出ているのかも(笑い)」
オイルマッサージのやり方
【用意するもの】
オイル約20cc(スキン用セサミオイル、スキン用スイートアーモンドオイル、アーユルヴェーダオイルのいずれか)、バスタオル。
※オイルは酸化していないフレッシュなものを必ず使うこと。石油由来のグリセリンやミネラルオイル(ベビーオイル、ワセリン)はNG。事前にパッチテストを行い、アレルギー反応がないか確認しておくこと。
お風呂で体を温めたら、オイルをたっぷりつけた人さし指を静かに腟の中に入れる(全く入らないときは、入り口付近をマッサージして終了する)。
腟に指が第2関節くらいまで入るようになったら、時計の9時から12時を通って3時までの範囲をまんべんなく押す。3時→6時→9時の範囲は、指を親指に入れ替えて腟のお尻側を押すように行う。
27年ぶりのセックスで心も体も変わった
そして、27年ぶりにしたセックスは、発見の連続だったという。
「更年期を迎えて女性ホルモンが減ると、性交痛があるので潤滑剤がないとセックスできないといわれていますが、なんだ復活するじゃん、と(笑い)。挿入時の痛みはなかったし、きちんとオーガズムも感じました。驚いたのは、たった1回のセックスでお尻にバンッと張りが戻ったことです。心が満たされたおかげか、食欲も安定して、スーッとやせました」
ジュノ・ヴェスタクリニック八田の院長で産婦人科医の八田真理子さんも「セックスは究極のアンチエイジング」と断言する。
「更年期を過ぎると多くの女性に、腟の萎縮が始まりますが、無頓着な人と、ケアを心掛けている人では大きく違ってきます。腟に意識を向けることで、姿勢がよくなり、外見にも張りが出てきます。骨盤底筋を鍛えるためにもセックスやマスターベーションは効果的なので、性欲が衰退してしまう更年期以降も、もっと自分の性器に触れてもらいたいですね」(八田さん)
64才でロマンスを手に入れた原田さんは、老後や病気の話ばかりしていた同世代の友達と、学生のように“恋バナ”に花を咲かせている。
「『腟ケア』で健康になるというと、健康になることを目的にする人がいますが、健康はあくまで幸せに生きるための“手段”です。人生の目的は、いつまでも楽しく、明るく生きることですから」(原田さん)
潤いのある人生を手に入れるには、自らの「腟」を見つめ直すことが必要不可欠のようだ。
イラスト/小山ゆうこ
※女性セブン2019年3月7日号