ボケない脳を作る行動・習慣ランキング 10人の専門家が選んだトップ3「料理、運動、旅行」理由を解説
脳を活性化させる食品を積極的に摂ることは大事だが、その際、食べ方を工夫することも脳の老化を止める大事なファクターになる。学術博士(元人間総合科学大学教授)の熊谷修さんが推奨するのは「究極の習慣」ランキングで6位に入った「食事の多様性を意識する」こと。
「栄養素だけで考えると同じようなメニューになり、偏ってしまいます。1日3食それぞれの主菜と副菜やメニューの選び方を意識するだけでも、脳はフル回転します」
具体的には食品群を肉類や卵、油脂類の洋食系、魚介類や大豆製品、緑黄色野菜の和食系、果物やいも類、海藻の副菜系、牛乳(乳製品)の10グループに分け、その10食品群を毎日食べるように意識することがポイントになる。毎日食べる食品群を増やすと、老化に伴う知的活動の低下を防げることが実証されている。
脳にいい食品を食べるだけでなく、「料理」することも脳の老化防止につながるとして2位にランクイン。
「新しいメニューや段取りを考える『計画力』、複数の作業を並行して行う『注意分割機能』は、『脳の司令塔』と呼ばれる前頭前野の働きを活性化させるといわれています。冷蔵庫にどんな食材があるかや料理にまつわる経験を回想する『エピソード記憶』、作ったことのない料理を作ったり食べたりすることも脳への刺激になる」(望月さん)
多様性のあるメニューを考案し、料理することと一緒に取り組むべきは「究極の習慣」部門1位の「運動」だ。
「散歩や軽い体操などの運動習慣は脳の血流を増やし活性化につながります。また運動は副交感神経を刺激し、安らぎをもたらします。加齢による食欲の減退は低栄養を引き起こし脳の老化を加速させるので、運動による食欲増進は脳の栄養状態の改善にもつながります」(熊谷さん)
佐々木さんが推奨するのは、テニスやゲートボールなど、団体で行うスポーツだ。
「体を動かすだけでなく、段取りやスケジュール調整を含めたコミュニケーションの機会が増える。脳を若々しく保つうえで非常に役立ちます」
「旅行」が脳を若返らせる理由を解説
4位にも「会話をする」が入ったように、コミュニケーションは脳の老化防止に欠かせない大事なポイントだ。脳神経内科医の内野勝行さんが説明する。
「人は対面で会話をすると、本能として相手に好かれようとする傾向にあります。そのことが脳への刺激になるので、認知症予防にとてもいい。特に異性と話すのは最高です」
シニアになって自由な時間が増えたら、「積極的に旅に出てほしい」と専門家たちは口をそろえた。
「特に重要なのは旅先で景色を眺めること。以前行ったことのある旅行先なら、記憶を思い出す側頭葉が刺激され、脳にとって最高の報酬になります」(内野さん)
奥村さんが続ける。
「旅に出ることは自分を見つめ直す機会になる。その時間が神経細胞のつながりを強化し、脳の活性化を促します」
料理や会話、運動まで「究極の習慣」に取り組む際、最も重要なファクターは「思考を柔軟にすること」だと和田さんは言う。
「好奇心を持って、何事も取り組んでみてほしい。大切なのはひとつの情報で決めつけたり、物事を否定する方向で考えたりするのではなく、いろいろな可能性を想像してみること。例えばインターネットで評判が悪いラーメン屋だったとしても、実際に食べてみたら自分の好みかもしれない。毎日が実験だと思って生きれば、脳は若返ります」
脳の老化を食い止める習慣を日々に取り入れよう。
※女性セブン2023年11月9日号
https://josei7.com/
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