血圧を下げる習慣はどっち?「スクワットVS腹筋」「毎日8000歩VS週2回プール」【専門家監修】
日本の高血圧患者の数は推定4300万人で、3人に1人が該当する“国民病”ともいえる。日々の生活のなかで「この行動は血圧に良くないのでは?」「どんな運動が高血圧に効果があるのか」と悩む場面が多いのではないだろうか。そこで、“血圧を下げる最強習慣対決”を紹介します。
ただ、“対決”を実践する際に注意点がある。『ズボラでもみるみる下がる 測るだけ血圧手帳』著者で、日本歯科大学内科客員教授の渡辺尚彦さんは「スクワットをして、散歩して、酢を飲んで…とあらゆる方法を一遍に行うと、どれが自分に合っているのかわからなくなる。体質や環境によってどの方法が効果的であるかは大きく異なるため、健康法を試すときは1つずつ行い、血圧を毎日、朝晩記録することが重要です」という。
自分に合った「最強習慣」を身につけよう。
教えてくれた人
徳田安春さん/群星(むりぶし)沖縄臨床研修センター 総合診療医、渡辺尚彦さん/日本歯科大学内科客員教授、上昌広さん/内科医、医療ガバナンス研究所理事長
スクワットVS腹筋
体を動かすことも血圧を下げるうえで欠かせないポイント。筋トレを行うことで手足の末梢血管の血流がよくなり、降圧効果が期待できる。スクワットと腹筋はどちらも室内でいつでも簡単に行える筋トレだが、徳田さんは「断然スクワット」だと話す。
「急激な運動は交感神経を刺激して血圧上昇を招く可能性があるので、腹筋は危険。その点、スクワットは適度な速度で行えば有酸素運動になり、血圧を下げる効果が期待できます」(徳田さん)
WIN:スクワット
「腹筋は運動としての強度が高く、交感神経を刺激して血圧の上昇を招く可能性がある。適度な速度のスクワットは有酸素運動として、血圧を下げる効果がある」(徳田さん)
20分ウオーキングVS5分の全力疾走
全力疾走も、「運動強度が高すぎて血管に負担がかかる」と渡辺さんは指摘する。
「ウオーキングは軽めの有酸素運動なので、血圧を下げるにはうってつけです」
WIN:20分ウオーキング
「運動強度の高い全力疾走は血圧を上げる。体に負担をかけないウオーキングの方が降圧効果が期待できる」(渡辺さん)
毎日8000歩歩くVS週に2回、1時間のプール
水泳も有酸素運動に分類され、体脂肪の燃焼や内臓脂肪の減少など、健康効果が高いとされる。しかし、医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんは、継続の重要性に着目する。
「たしかに1時間のプールの方がエネルギーを使うので、歩くよりも運動量が多い。しかしその分、続けるのが難しい。大切なのは毎日継続して行うこと。歩くだけなら、通勤ルートを変えて多めに歩くなど、ちょっとした工夫で続けることが可能です」
WIN:毎日8000歩歩く
階段を上がるVS階段を下りる
「血圧を下げるという意味においていえばどちらも同じ程度の効果なので、階段を下りる方が楽で続けやすい」(渡辺さん)
WIN:階段を下りる(楽で続けやすい)
朝のラジオ体操VS夜のラジオ体操
「運動する時間帯で血圧を下げる効果にほとんど差はないが、心疾患系のリスクが高いのは朝の運動」(渡辺さん)
WIN:夜のラジオ体操(朝の運動は心疾患系のリスクが高い)
熱い風呂にさっとVSぬるい風呂でゆっくり
生活習慣をちょっと変えるだけでも、血圧は劇的に変化する。まず改善できるのはお風呂の入り方。湯船につかると血管が拡張し、全身の血流がよくなって血圧が下がるといわれているが、入り方次第では逆効果になることも。
「熱いお湯は体に負担をかけるため、交感神経が刺激されて血圧を上げてしまう。さらに『コルチゾール』などのストレスホルモンが増加するリスクもあるので、ぬるめのお風呂が正解です」(徳田さん)
WIN:ぬるい風呂でゆっくり
夜に観るならバラエティー番組VSニュース番組
現在、ラグビー日本代表がW杯で健闘中。テレビでその活躍ぶりを見守りたいと思う人も多いだろうが、渡辺さんは「白熱しすぎにはご用心」と警鐘を鳴らす。
「スポーツ番組をのんびり観るならいいですが、逆転勝利で大喜びしたり、試合が白熱して力が入ると血圧が上がるので要注意」(渡辺さん)
では、バラエティー番組を観てリラックスした方がいいかといえば、そう簡単な話ではないと渡辺さんは続ける。
「“フフフ”というレベルの笑い方ならリラックス効果で血圧が下がりますが、大笑いすると交感神経が高まって逆に血圧が急上昇します。一般論としては、夜は感情の起伏を呼びにくいニュース番組を観るのが適していると思います」
WIN:ニュース番組
合谷(ごうこく)のマッサージVSふくらはぎ叩き
血圧を下げるストレッチやツボ押しも覚えておきたい。
高血圧の人は血液循環が悪く、下半身に血流が滞留しがち。そこで渡辺さんが推奨しているのがふくらはぎの両サイドをリズミカルに手で叩く「ふくらはぎパンパン法」だ。
一方、手の親指と人差し指の付け根にある「合谷のツボ」も効果てきめんだという。
「合谷のツボを押していると末梢血管が開いて血流がよくなり、3時間くらい血圧を下げる効果があります。ふくらはぎ叩きも10分で足のむくみが水分に換算して320ml減るほどの効果がありますが、血栓ができやすい人や静脈瘤がある人は、血栓が流れていく恐れがあるので推奨できません。誰でもいつでもできるという観点からすると、ツボ押しの方を推奨したい」(渡辺さん)
WIN:合谷のマッサージ
「合谷のマッサージは血圧を下げる時間が3時間と長く、肩こりや頭痛、顎関節症、冷え対策など得られる効果が多い」(渡辺さん)
起床直後のりんご酢VS寝るときは横向き
「りんご酢には降圧効果があるが、睡眠時無呼吸症候群での血圧上昇の方が危険であり、対策を優先して取る必要がある。横向きで寝ると睡眠時無呼吸症候群が改善される」(徳田さん)
WIN:寝るときは横向き
※女性セブン2023年10月12・19日号
https://josei7.com/
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