和田秀樹さん、小林弘幸さんら名医10人が実践する夜の健康習慣「三行日記」「いいこと俳句」|大切なのは続けること
家事や仕事が忙しく、ベットに入ってもあれこれ考えすぎてなかなか眠りにつけない人も多い。生活のリズムが崩れてしまうと少なからず体にも不調を引き起こすため注意が必要だ。夜の習慣を見直すことで、無理なく健康的な状態を目指したい。患者の悩みに寄り添い、医療の第一線で活躍する医師たちは夜をどのように過ごしているのだろうか。名医10人が本当にやっている「夜のルーティン」からヒントを得て、毎日の生活に取り入れてみよう!
教えてくれた人
鎌田實さん/医師・作家、加藤庸子さん/藤田医科大学ばんたね病院脳神経外科教授、坪田聡さん/睡眠専門医、伊賀瀬道也さん/愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター長、高尾美穂さん/イーク表参道副院長・医学博士、小林弘幸さん/順天堂大学医学部教授、今井一彰さん/みらいクリニック院長、富永喜代さん/富永ペインクリニック院長、牧田善二さん/AGE牧田クリニック院長、和田秀樹さん/精神科医
夕食は早めの時間にすませてぐっすり眠れる準備を整えよう!
心身の健康のためには、年を重ねるほど質のよい睡眠が必要となるが、名医たちの夜の習慣もまたそれを目的に行われている。基本となるのは早寝による睡眠時間の確保と、そのための時間管理だ。
「夕食は17時半~18時半と早めの時間にすませます。翌朝まで長時間の空腹状態を作ることで脂肪を燃焼させ、太りにくい体になるのです。また、深部体温が下がったときに眠くなるので入浴は寝る1時間半前。入浴前に3分間だけスクワットなどの筋トレをして、入浴後には1分ほど腹式呼吸をして副交感神経を優位にさせます。この習慣で睡眠薬が不要になりました」(全国各地で住民の健康づくりに携わる鎌田實さん)
脳動脈瘤の破裂を防ぐ「クリッピング術」のスペシャリストとして世界で知られ、脳外科医として3000例以上の手術を行ってきた加藤庸子さんも、夕食は19時前までと決めている。
「お腹がパンパンだと眠れないし、消化にも悪いので19時以降は食べません。そもそも昔は腹八分といっていましたが、いまは腹六分が医者の間では常識。食べすぎてしまうと消化に時間がかかり臓器に負担がかかることになります」(加藤さん)
ほかにも、「炭水化物は摂らない」(睡眠専門医の坪田聡さん)、「炭水化物を控えめにする」(抗加齢医学研究を行う伊賀瀬道也さん)、「カフェインは控える」(医学博士・婦人科スポーツドクターの高尾美穂さん)など、夕食は体をしっかり休ませることを意識するのが肝要だ。
夜は今日の検証と明日の予習に時間を使う
一日を振り返り、心を整える習慣を持つ名医も少なくない。自律神経の専門家である小林弘幸さんが言う。
「毎晩、三行日記をつけています。一行目は今日いちばんダメだったことや嫌だったこと、二行目はよかったことやうれしかったこと、そして三行目に明日の目標を書きます。一日を検証して、明日の予行演習をすることで気持ちに余裕ができる。自律神経を整えるには、ゆっくり動いてしっかり呼吸することが大切。日記の効果は大きいのです」
予防医療のための体操をいくつも考案してきた今井一彰さんは寝る前に「いいこと俳句」を詠んでいる。
「その日一日のよかったことを思い出し、俳句に詠んでいます。いいイメージで一日を締めることはストレス軽減につながります」
性交痛外来で8000人以上の女性の性の悩みの相談を受けてきた知見から、心身をリラックスさせるため女性ならではのルーティンを持つのは痛み治療のエキスパートである富永喜代さんだ。
「セックストイでもあるウーマナイザーでセルフプレジャー(オナニー)を行うと、鎮痛、鎮静作用のあるβエンドルフィンが脳で分泌されます。同時にオキシトシンも分泌され、不安をやわらげて睡眠の質を高めてくれるのです」
ベッドの上でストレッチをする
体を適度に疲れさせて深い眠りを導くためには、夜の運動も欠かせない。
「筋トレと階段の上り下りをする」(老化物質「AGE」研究の第一人者である牧田善二さん)、「懸垂で筋力をつけ忍耐力を養う」(今井さん)というハードな運動から、「ベッドの上で仰向けやうつぶせになってストレッチをする」(高尾さん)、「寝る前に5~10分程度、体をほぐして筋肉をリラックスさせる」(坪田さん)とそれぞれが自分の体に合った運動を日課としている。
いずれの習慣も、大切なのは内容を突き詰めるよりも、続けること。精神科医の和田秀樹さんが言う。
「人間は習慣づいていないことだと、忘れたりいい加減にやったりする。健康法は毎日続けることに意味があるのです」
さて、あなたはどの名医を真似てみる?