コロナだけじゃない!覚えておくべき「感染症」のキホン「かかる人・かからない人の違いは?」ウイルス研究に従事する医師が解説
では感染症を発症する人としない人の違いは何なのか?それはズバリ、免疫力の差だという。
「免疫とは、体に入ってきた異物(病原体)を退治する力のことで、大きく分けて自然免疫と獲得免疫があります。
自然免疫は、感染症を引き起こす細菌やウイルスが体内に入ってくると真っ先に排除しようと働く免疫です。体の基礎的な体力がものをいうのはもちろんですが、生活習慣や運動、食事などによっても、個人差が出ると考えられています。
一方の獲得免疫は、一度入ってきた病原体を学習し、再び入ってきたときに、排除しようと働く免疫のこと。適応免疫ともいい、一度かかった病気にかかりにくくなったり、もう一度かかったりしたとしても治りが早くなるのは、この働きによるものです」
ワクチンは、獲得免疫の働きを利用しており、ワクチンを打って疑似的に感染した状態を作り、免疫力を育てる。
「年を重ねるほどインフルエンザにかかりにくくなるのですが、それは、学習した獲得免疫があるから。感染症にかかる人、かからない人は、自然免疫+獲得免疫の力の差であり、予防を怠ったからとは言い切れません」
年齢が高い方が獲得免疫はあるが、そもそも50代を過ぎると免疫力が少しずつ落ちていくので、感染リスクは高くなる。また免疫はストレスに弱く、メンタルが落ち込むと免疫力も落ち、感染症を発症しやすくなることもわかっている。
「現在の日本は、抗菌グッズにあふれ、免疫を学習する機会がどんどん減っています」
獲得免疫の力が弱りつつあるなら、基礎体力をつけ、食事と運動に気をつけて、規則正しい生活をするなど、自然免疫をつけることが、感染しても軽症で済むためのポイントになるという。
■殺菌・抗菌・除菌の違い
・殺菌…滅菌:すべて殺す 消毒:ある程度殺す
・抗菌…増殖を防ぐ(殺さない)
・除菌…取り除く
取材・文/鳥居優美 イラスト/こさかいずみ 写真/写真AC
※女性セブン2023年11月2日号
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