50代から要注意「女性の痛風」原因と対策を専門医が指南「しょうが焼きと中華丼、プリン体が少ないのはどっち?」
食べ過ぎてしまった翌朝、急に足の親指のつけ根が腫れ、激痛が走った。なんてことはないだろうか? それはもしかしたら「痛風」かもしれない。実は今更年期以降の女性に増えている「痛風」。放っておくと心筋梗塞や脳梗塞など恐ろしい病気につながる早めの対処が必要だ。そこで「痛風」の原因と対策、さらに、コンビニ食で考える理想の献立を専門医に考案してもらったのでご紹介する。
教えてくれた人
大山博司さん/両国東口クリニック・理事長
専門は痛風、リウマチ。痛風専門外来で診療にあたるほか、ホームページでも痛風の相談を行っている。著書に『痛風ウソ?ホント!』(悠飛社)など。
痛風の原因は「尿酸値の上昇」
風が吹いても痛いということから「痛風」と呼ばれるこの病気。足の親指のつけ根や手足の関節などに激痛の発作が起こるのが特徴だ。一体なぜ発症するのだろうか。
「血液中の尿酸値が上昇し、基準値を超えると(※男女ともに7mg/dl以上だが、女性は6mg/dlでも要注意)、関節内に尿酸塩結晶ができます。この結晶を白血球が処理する際、痛みが生じます。尿酸値が高い状態が続くと腎機能が悪化して腎不全を起こしたり、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を合併。そうなると、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすことがあります」
とは、痛風外来を開設している両国東口クリニック理事長の大山博司さんだ。放っておくと恐ろしい病気を誘発するというわけだ。
そもそも尿酸とは、体内の細胞や食物中に含まれる細胞の材料「プリン体」が体内で使われ、肝臓で分解(代謝)されるとき、燃えかすとして産生されるもの。最終的に尿や汗で排出されるが、誰にでも常に一定量蓄積されている。
「尿酸は抗酸化物質なので、本来、体を害するものではありません。ただし、尿酸を排出する腎臓の機能が低下したり、暴飲暴食、肥満などにより尿酸の蓄積量が増えると、痛風などの病気を引き起こしてしまいます」(桑島内科医院副院長・桑島靖子さん)
尿酸値は低すぎても、動脈硬化やがんを誘発するため、正常値(4~6mg/dl)を保つことが重要なのだという。
(※)基準値はあくまで基準のため、超えても発症しない人もいれば、7mg/dl以下で発症する人も。気になる人は医師に相談を。
プリン体が排出されるまでの仕組み
・尿酸産生
2~3割 食品からプリン体を摂取
7~8割 体内でプリン体を作る
↓
・尿酸プール(常時約1200mg蓄積)
↓
・尿酸排出
約7割 尿から排出
約3割 汗や便から排出
女性は閉経以降さらに危険性が上がる
尿酸値が高くなる「高尿酸血症」や痛風は、特に夏に症状が悪化するという。
「猛暑で脱水状態になると血液が濃縮されて尿量が減り、尿酸が排出されにくくなるからです。水分補給のためにと甘味料が入ったスポーツドリンクを常飲するのもおすすめできません。甘味料の一種である果糖には尿酸値を上げやすくする作用があるからです」(大山さん・以下同)
前述した肥満も、尿酸のもとになるプリン体の摂取量が増えるという意味で発症の危険性が高まる。特に女性が気をつけないといけないのは閉経後だ。
「女性ホルモンのエストロゲンには腎臓で尿酸排出を促す作用があるため、女性は男性よりも尿酸値が上がりにくいとされてきました。ところが、閉経後は女性ホルモンの分泌量が減るため、尿酸排出機能が衰えます。それで、閉経後は痛風の危険性が高まるというわけです」
痛風予防で大切なのはプリン体や果糖を摂取しすぎないこと、肥満にならないこと。つまり食事法だ。その具体策を以下で紹介する。