「ベジファースト」「よく噛む」「食後のながら運動」専門家15人が答えた血糖値を下げる“究極の習慣”
トータルフードプロデューサーの小倉朋子さんが続ける。
「いかに食べ物をゆっくりと消化させ、血糖値を急激に上げないようにするかが、グルコーススパイクを避けるポイントです。早食いすると糖が一度に吸収され、急激に血糖値が上がってしまうため、食事時間を充分に取り、よく噛んで食べること。そういった意味でも、歯応えのある野菜を最初に食べるのは非常に意味のあることです。噛むことで満腹中枢が刺激され、満腹感が増すため、食べる量を減らすことにもつながります」
実際、「よく噛む」ことの大切さには多くの識者が言及しており、2位についている。なかには「糖質の摂取量を減らすために、食事の回数を減らせばいい」と考える人もいるかもしれないが、それは大間違い。5位に「1日3食しっかりとる」が、7位に「朝食を抜かない」がそれぞれランクインしている。
「1食抜いて、食事と食事の間が長時間空くと、次に食べた後の血糖値の急上昇を招きやすくなります。最も望ましいのは、1日3食をめどに一定の時間に食事をとることです」(小倉さん)
“忙しい”“起きたばかりで食欲がわかない”などの理由で朝食を抜いてしまう人もいるが、医学博士の福田千晶さんはその問題点をこう指摘する。
「朝食をとらないと昼食後に急激な高血糖を招きやすいといわれています。おいしく朝ご飯を食べられるようにするために、夕食を軽めにすることを心がけ、空腹の状態で目が覚めるようにすることも大きなポイントです」
朝と昼を軽くした分、夕食はガッツリ―そんな食習慣は御法度なのだ。
「特に夜9時以降は糖質が体内に吸収されやすく、脂肪として蓄積されやすいことが明らかになっています。遅い時間に夕食をたっぷり食べる行為は、リスクしかないのです」(三島さん)
長く続けやすい歯磨きしながらの「その場足踏み」
夜遅くの食事は、食べてすぐに就寝することにもつながるが、専門家たちは真逆の行動を推奨しており、「食後すぐに動く」が2位にランクインした。
「食事をとった後に軽めの運動をすることで、食後の血糖値上昇を抑えることができます。そのときの運動は、ランニングや筋トレといった本格的なものでなくても大丈夫。『その場足踏み』や『かかとを上げ下げしながらの歯磨き』といった“ながら運動”の方が継続しやすいでしょう」(ダイエットカウンセラーの伊達友美さん)
伊達さん同様、「続けること」の大切さを指摘する声は多かった。
「週末だけガッツリ運動してもダイエット効果はほとんどありません。2日空けずに少しずつ積み重ねるように運動を取り入れることが血糖値を下げるコツ。買い物をするときに少し多く歩くとか、雨の日に家でエアロバイクをこぐのもいいですね」(片山さん)
食後に買い物に行って多めに歩けば、スリムな体に一歩近づくということ。しかも効果はそれだけではない。
「空腹時に買い物をすると、食欲に影響されて余分な食材や高カロリーの甘いものを買ってしまいがち。満腹のときに買い物に行けば糖尿病予防、肥満予防に加えて、節約にもつながります」(片山さん)
しっかり体を動かした後は、ぐっすり眠りたい。
「睡眠不足は大きなストレスを生みます。ストレスは血糖値を上昇させるといわれているため、睡眠時間を充分に取ることが血糖値を上げにくい体作りにつながる。また、睡眠不足が続くと空腹時の血糖値が上昇し、夜間や空腹時にも血糖値を下げる『基礎インスリン分泌』が低下するとされています」(小倉さん)
最強の食品と究極の習慣。徹底した守りと攻めで、血糖値を管理しよう。
→「血糖値スパイク」(食後高血糖)は糖尿病の“始まりのサイン”? 日本人の5人に1人がなる国民病を防ぐには【糖尿病専門医監修】
写真/PIXTA
※女性セブン2023年8月31日号
https://josei7.com/