10人の専門家が選ぶ「腸」にいい最強の食品ランキング「1位は納豆」
日本人の2人に1人ががんになり、医療の進歩が「がんとともに生きる」ことを当たり前にしつつあるが、それは“治るがん” “共存できるがん”に限った話。女性のがん罹患者数で2位、死亡者数で1位の大腸がんは“女性の大敵”だ。大腸がんリスクを下げるための最強の食品を徹底取材。
腸内環境を整えて大腸がんを防ぐ
大腸がんの予防と毎日の食生活は、切っても切り離せない。それは、食事を消化し、便を作るという大腸の働きにある。成城松村クリニック院長の松村圭子さんが言う。
「大腸がん予防には腸内環境を整えることが不可欠です。食物繊維に加え、カルシウムもしっかり摂りましょう。カルシウムには、大腸の発がんを促進する物質と結合して排出される作用があります。それにより、大腸の粘膜に与える発がんの影響が軽減されるという研究があります」
整腸によって便秘が改善されることの重要性について続けるのは、管理栄養士で野菜ソムリエの中沢るみさんだ。
「大腸がんの原因のひとつに便秘があるといわれ、老廃物の滞留ががんリスクになると考えられます。その意味で、快便であることは大切で、整腸を心がけることががんリスク低下につながるでしょう。また、腸と免疫力の関連性は高く、腸内環境を整えることで免疫力が上がり、がんに限らずあらゆる病気に対する抵抗力が高まります」
食生活において、医学博士の福田千晶さんは肥満防止の重要性を説く。
「肥満の人はそうでない人に比べて大腸がんになるリスクが高くなります。過食は腸に過剰な負担をかけることにもなる。脂質を摂りすぎず、太らない食事を心がけてください」
それらのポイントに着目し、10人の医師と食の専門家が選んだ最強の食品は以下のランキングの通り。
→老化を防ぐ抗酸化食品ランキングを20人の専門家が判定「1位は鮭」
腸を整える最強の食品ランキング14位~1位
以下の10人の「専門医」と「食の専門家」におすすめの食品と習慣を挙げてもらい、1位を10点、2位を9点、3位を8点、4位を7点、5位を6点、6位を5点、7位を4点、8位を3点、9位を2点、10位を1点として集計。10点以上を掲載しました。
専門家のみなさん
石黒成治さん(消化器外科医)、石原新菜さん(イシハラクリニック副院長)、磯村優貴恵さん(管理栄養士・料理家)、金子あきこさん(管理栄養士)、谷本哲也さん(ナビタスクリニック川崎・内科医)、中沢るみさん(管理栄養士・野菜ソムリエ)、福田千晶さん(医学博士)、細川モモさん(予防医療・栄養コンサルタント)、松村圭子さん(成城松村クリニック院長)、真野わかさん(養腸家・セラピスト)
《順位(点数)/食品名/ポイント》
14位(10点)甘酒
「善玉菌のエサになるオリゴ糖が豊富。排便回数などが向上したという報告もある」(細川さん)、「糀甘酒に含まれる不溶性食物繊維は排便を促進。玄米糀ならなおよい」(真野さん)
14位(10点)にんにく
「食物繊維が豊富。腸内環境を改善するビフィズス菌のエサになり、悪玉菌の繁殖を防ぐ。独特の香りと風味の成分であるアリシンは免疫機能を向上させ、活性化させる」(石黒さん)
13位(12点)鮭
「カルシウムの吸収を助けるビタミンDや、抗酸化作用の強いアスタキサンチンも多く含まれ抗がん効果に期待」(松村さん)、「抗酸化作用のあるオメガ3脂肪酸が豊富」(谷本さん)
12位(13点)オリーブオイル
「良質な脂肪酸が腸内の滑りをよくし、腸の働きを刺激して排便を促す」(細川さん)、「オレイン酸などの一価不飽和脂肪酸には蠕動運動を促進させ便秘改善につながる」(真野さん)
11位(14点)玄米
「抗酸化力・免疫力を高め、さまざまな健康効果をもたらすファイトケミカルと食物繊維が豊富で腸内環境改善に役立ち、大腸がん予防に有効と期待される」(谷本さん)
9位(16点)さつまいも
「食物繊維やカルシウム、ビタミンCなどを豊富に含み、穀類と野菜のいいところをとったハイブリッド食材。難消化性でんぷんが善玉菌のエサとなり、ダイエットにも効果的」(真野さん)
9位(16点)りんご
「りんごに含まれるペクチンは腸内でジェル状になり腸壁を守り、便を軟らかくして排便を促す」(中沢さん)、「ポリフェノールが大腸がんリスクを低下させる」(谷本さん)
8位(18点)押し麦・もち麦・大麦
「大麦の摂取量が多い人は酪酸菌が多いという報告も」(細川さん)、「水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が豊富で、スムーズな排便を促し血糖値の上昇抑制にも役立つ」(金子さん)
6位(19点)みそ
「特に麦味噌は水溶性食物繊維であるβ-グルカンが含まれ、免疫調整やがん細胞を抑制する効果が期待できる」(真野さん)、「麹菌や乳酸菌が含まれ、善玉菌を増やす」(石原さん)
6位(19点)キウイ
「食物繊維のほか、ビタミンCやEも豊富で免疫力アップや悪玉コレステロール抑制効果も期待できる」(真野さん)、「抗酸化作用があり、腸内環境改善に効果的」(谷本さん)
5位(22点)わかめなど海藻
「マグネシウムも豊富に含まれており、毎日食べることが望ましい」(石黒さん)、「マグネシウムは水分を吸収して便を軟らかくし、蠕動運動を活性化する働きがある」(細川さん)
4位(33点)ごぼう
「水溶性食物繊維のイヌリンが豊富で、整腸作用だけでなく食後血糖値の上昇を抑制する効果もある」(松村さん)、「含まれる不溶性食物繊維は便のカサを増やす」(磯村さん)
3位(45点)ヨーグルト
「季節のフルーツと一緒に食べることで食物繊維も摂取できる」(磯村さん)、「男性では、カルシウムの摂取は大腸がん予防につながるという研究報告もある」(福田さん)
2位(47点)きのこ
「β-グルカンにより免疫系を活性化させる能力が向上する可能性があるとされている」(谷本さん)、「腸粘膜を改善する作用のあるビタミンDが含まれる」(細川さん)
1位(65点)納豆
「腸内環境を整える納豆菌(プロバイオティクス)と食物繊維(プレバイオティクス)の両方が含まれる最強のシンバイオティクス食品。納豆菌は善玉菌を増やす働きも」(細川モモさん)