10人の専門家が選ぶ「腸」にいい最強の食品ランキング「1位は納豆」

 2位に大きな差をつけて堂々の1位に輝いたのは納豆だ。イシハラクリニック副院長の石原新菜さんも1位に挙げた。

「腸内環境の正常化のために意識したいのが、腸内細菌。善玉菌を増やすだけでなく、その善玉菌のエサとなる食物繊維を充分に摂取する必要があります。その点、納豆は食物繊維が豊富でカルシウムも含まれ、カルシウムの吸収を促すビタミンDやビタミンKも多く栄養バランスが取れています」

 中沢さんは、納豆に含まれるマグネシウムに注目する。

「マグネシウムは腸の調子を整える効果があり、便秘を解消し腸内環境を整えます。納豆には、食物繊維やカルシウムはもちろん、マグネシウムも豊富に含まれています」

 松村さんは、納豆を筆頭に大豆全般を推している。

「数ある豆類の中でも、食物繊維が多いのが大豆です。植物性たんぱく質も多く含むので、がんリスクを高める動物性たんぱく質の摂りすぎを防ぐためにも、食生活に大豆を積極的に取り入れるのがおすすめです」

 腸内環境を整えることでは真っ先に名前が挙がる、“腸活の代名詞”ことヨーグルトは3位にランクイン。

「ヨーグルトに含まれる乳酸菌は腸内の善玉菌を増やしバランスを改善し、免疫力向上によるがん予防に役立つと考えられています」(ナビタスクリニック・谷本哲也さん)

 ヨーグルトは種類が多く、味や食感を選べるが、菌も選ぶことができる。自分に合った菌を選ぶことが、よりよい腸活につながるという。中沢さんがアドバイスする。

「1種類のヨーグルトを3週間ほど食べ続け、お腹の調子がよくなる、体が軽く感じるようになる、寝起きがいいなど体調のよさが感じられたら、そのヨーグルトに含まれる菌が合ってるということ。自分に合う菌が見つかると、体の調子がぐんとよくなります」

 2位のきのこ、4位のごぼう、5位の海藻は、食物繊維たっぷりの食材だ。カロリーの低さも魅力。

「低糖質・低カロリーで、塩分や脂肪分をほとんど含まないきのこは、腸内環境を整えて肥満を防止するのに役立ちます」(養腸家でセラピストの真野わかさん)

 消化器外科医の石黒成治さんは、きのこに含まれるある栄養素に注目している。

「きのこに含まれる水溶性食物繊維の一種であるβ-グルカンは、免疫機能を活性化する免疫調節剤として長年研究されてきました。しいたけから抽出された成分でつくられた抗がん剤にも実績があります」

 食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、どちらも健康に欠かせない。そのバランスに優れているのがごぼうだ。ごぼうにはさらなるメリットもある。

「ごぼうには、善玉菌のエサになるオリゴ糖が多く含まれています。発酵食品と一緒に食べると、ダブルの効果が得られます」(中沢さん)

 管理栄養士で料理家の磯村優貴恵さんはごぼうを含む根菜類全般を推奨する。

「根菜に含まれる不溶性食物繊維はスムーズな排便を助けます。また、ごぼうやれんこんなどは噛み応えがあり、咀嚼(そしゃく)は胃腸の消化・吸収を助ける。特に噛む回数が少なく早食いの人は、噛む習慣をつけるためにも根菜類を積極的に摂ってください」

 わかめに代表される海藻には、腸内細菌のエサになる水溶性食物繊維がたっぷり含まれる。

「アルギン酸やフコイダンなどの水溶性食物繊維を効果的に摂るには海藻です。カルシウムも多く含まれています」(石黒さん)

 めかぶやもずくなど、ねばねば系の海藻にはうれしいプラスワンの作用があると指摘するのは磯村さんだ。

「ねばねばした部分は水溶性食物繊維で、体内で水分を吸収して膨らみ、血糖値の急上昇を抑える働きもあります」

 果物からはキウイが6位、りんごが9位に入った。食物繊維やビタミンなど10種類の栄養素が詰まったキウイは水溶性食物繊維も豊富に含み、便を軟らかくしてスムーズな排便を促す。

 りんごに含まれるポリフェノールには「抗酸化作用があり、がんのリスクを低減させる」(谷本さん)ほか、石黒さんはりんご酢を推奨する。

「りんご酢には抗酸化作用があり、りんごに含まれる水溶性食物繊維であるペクチンは、腸の動きをよくして便通を整えます」

 主食からランクインしたのは麦類(8位)と玄米(11位)。どちらも白米や小麦と比べると食物繊維が豊富だ。

「体重減少や代謝増加につながるほか、玄米を発酵させた食品は腸内細菌を介して抗炎症・抗突然変異作用を発揮し、炎症発がんと悪性化を抑制します」(真野さん)

 玄米や麦だけでは食べにくいという人は、白米と混ぜて食べても効果がある。

「主食に少しプラスするだけで食物繊維摂取量が増え、腸の調子を整えてくれます」(中沢さん)

 最強食品ランキングで目に留まるのは、肉類がまったくランクインしていないこと。同時に、究極の習慣ランキング8位には加工肉・赤身肉を食べすぎないことが挙がった。

「ハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉、さらに、牛、豚、羊などの赤身の肉を摂りすぎると、大腸がんの発生リスクが高くなる可能性があります」(松村さん)

 肉食は、腸内環境悪化にもつながるという指摘もある。

「肉食は、メタン、インドール、スカトール、アンモニアといった“有毒なガス”を体内で発生させます」(石原さん)

 しかし、食事ではたんぱく質もしっかり摂取したいもの。管理栄養士の金子あきこさんが「主菜には、魚や大豆製品を多く取り入れて」とアドバイスするように、植物性たんぱく質や、脂肪分が低い食品で取り入れることを考えよう。

 食習慣ではもうひとつ、食物繊維の積極的な摂取(3位)が挙げられている。例えば、「主食では白米よりも雑穀、白いパンよりライ麦パンなど、“茶色い炭水化物”を選びましょう」(中沢さん)、「野菜を1日に350g以上、食事1回につき小鉢を2つつけるイメージです」(金子さん)、「全粒穀物やフルーツを食卓に」(谷本さん)といったように、すぐに実践できることはたくさんある。

※女性セブン2023年8月3日号
https://josei7.com/

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