眠りのプロが実践する「快眠ルーティーン」江戸時代の呼吸法、熟睡催眠術の呪文を公開!
催眠術師の川崎智弘さんが言う。
「結論から言えば、催眠術で自分自身を安眠させることは可能です。催眠術は“眠らせるための技術”ではありませんが、術にかけるためには心身をリラックスさせることが不可欠なので、眠りにつきやすい状態になる。体がリラックスすることで結果的に寝つきがよくなったという人は少なくありません」
催眠術は「かけられるもの」ではなく「かかるもの」だと、催眠術師の平岩さんは言う。
「催眠術には“かかるコツ”があります。それは“いま、この瞬間”に集中し、“かかる”と信頼すること。“痛いの痛いの、飛んでいけ”も、一種の催眠術といえます」
心理的なガードをゆるめて、無意識に語りかけることで心身に暗示をかけるのだ。
睡眠に悩んでいる人は「自分は眠れない」という“負の催眠”にかかっていることが多いという。つまり「今夜はよく眠れる」と、自分に術をかければいいということ。
催眠術ショーなどで揺れる五円玉を見つめさせたりするのは、ただのパフォーマンスではない。一定の視覚的刺激を繰り返すことで余計な考えをなくさせ、術師の言葉に集中させる効果があるのだ。
眠るための催眠術にも「同じことを繰り返す」のが有効。
「“だんだん○○になる” “○○するたびに○○になっていく”といった、同じ内容を繰り返すような誘導文が有効です。布団に入って家族などに読んでもらうのも、自分で録音したものを聴くのも効果があるでしょう」(川崎さん・以下同)
この誘導文を聴くのを毎日のルーティンにすると、より効果が高まるという。その行動をするだけで無意識のうちに“私は眠るんだ”と判断するためだ。
「1秒たりとも眠れないほどの重度の不眠症の人はごくわずかのはず。“自分への負の催眠”を解くことから始めてみてはいかがでしょうか」
今夜からできる「熟睡催眠」の“呪文”
横になって、目を閉じてください。あなた(私)は水の中にいるとイメージしてください。
暗くて、温かくて、心地のいい水です。そのまま、ゆっくり呼吸してください。息を吸うと、水の中で少し体が浮かび上がります。
息を吐くと、体は少しずつ沈んでいきます。
息を吐くたびに、力が抜けていきます。まず、右足の力が抜けます。次に、左足。息を吐くと、今度は右手の力が抜けます。左手の力が抜けます。ゆっくりと息を吐くと、体は少しずつ水の中に沈んでいきます。
息を吸うと、少し体が浮かび上がります。吐くと、お腹の力も、胸の力も抜けていきます。
ゆっくりと呼吸を続けてください。だんだん全身の力が抜けていきます。あなた(私)はこのまま、ゆっくりと呼吸をして、体の力が抜けていきます。このまま、朝までぐっすり眠ることができます。
※催眠術師への取材をもとに本誌作成
教えてくれた人
宮崎総一郎さん/中部大学・生命健康科学研究所特任教授、西川ユカコさん/昭和西川代表取締役副社長。睡眠研究家、坪田聡さん/雨晴クリニック院長、三橋美穂さん/快眠セラピスト・睡眠環境プランナー、宮下宗三さん/成鍼堂治療院院長・『江戸の快眠法』などの著者、川崎智弘さん/催眠術師
イラスト/勝山英幸 写真/PIXTA、写真AC
※女性セブン2023年8月3日号
https://josei7.com/
●夏の睡眠調査「80%以上が悩みや不満あり」熱帯夜にぐっすり眠るテクを専門家が指南