健康

【金スマ】で話題「ひざ裏のばし」3ポーズを川村医師が直伝! その奇跡のメソッドとは

『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS)にも出演、寝たきり予備軍のおばあちゃんたちを、たった数か月でブリッジや開脚などができるように導くと、今話題なのが、かわむらクリニック院長の川村明さん。

 川村さんが考案した”ひざ裏のばし”ストレッチとはどんなものなのだろう。ヨガをベースにしたこのストレッチは、誰でも簡単にできるという。

「ひざ裏をのばすと、自律神経が整い、代謝や免疫力が上がるなどいいことずくめ」と語る川村さん。それはなぜなのか。理由と正しいやり方を教えていただきました。5年間で2000人以上もの高齢者を元気にしたという”奇跡のメソッド”とは?

 * * *

ひざ裏のばしはいいことずくめ

「ひざ裏が曲がっていると万病のもとになります」と川村さん(「」内、以下同)。

 というのも、ひざ裏の筋肉が衰えて曲がると、太ももの筋肉が縮み、骨盤が後ろに傾く。すると腹筋がゆるんで背中も曲がり、 腰の曲がったおばあさん姿勢になってしまうのだ。そして、この姿勢が心身の不調を引き起こす。

「背中が曲がって肩が丸まると、呼吸が浅くなり、血流が悪くなって代謝が落ち、免疫力が低下。自律神経も乱れてしまいます。さらに、脳への血流が低下するので、認知機能にも悪影響を及ぼします」

 しかし、背中が曲がるなら、背筋をのばせばよさそうだが、なぜひざ裏なのか?

大切なのは毎日続けること

「体をのばす筋肉の力を”伸展力”といいます。この伸展力を担うのは体の後ろ側の筋肉で、その起点となるのが”ひざ裏”なんです。だから、ひざ裏が曲がると、姿勢全体がゆがんでしまうんです」

 ひざ裏をのばせば、姿勢が整うだけでなく、体の中心の筋肉”体幹”にも力が入って鍛えられ、動ける体になる。川村さんがこのことに気づいたのは、55才から始めたヨガがきっかけだったという。

「それまでの私は、うつや大腸ポリープ、腰椎椎間板ヘルニアに悩まされていました。ところが、ひざ裏をのばす動きの多いヨガを始めると、半年で好転。腰痛や足のしびれがなくなるなど、奇跡が続々と起こったのです」

 ひざ裏のばしは3つのおすすめポーズがある。どれも1ポーズ1分ほど。

「大切なのは毎日続けること。面倒なら、1ポーズでもOK。カレンダーにチェックをし、3日、3週間、3か月と続いたごとに、自分にごほうびをあげるなどして、とにかく毎日やってください」

曲がった背中が伸びた!ブリッジができた!…喜びの声続々

 実際、末永八重子さん(84才)は、70代後半には背中が曲がり、”寝たきり予備軍”とまでいわれていたが、4年前にストレッチを始めたところ、脚がここまで上がるように。背筋もまっすぐになった。

 原田美代子さん(84才)も、ストレッチを始めたのは4年前。それまでは股関節に痛みがあり、床に座るのもひと苦労。しかし今では、ひざ裏や股関節、肩甲骨の柔軟性が増し、ブリッジまでできるように。

 三藤智子さん(75才)はこれから紹介する3つのストレッチを毎日続けたところ、ここまで開脚できるほどやわらかくなって冷え症も改善した。

 ひざ裏をのばすだけで、100才まで元気に生きられる体を作れるのだ。道具が不要なのも長続きしやすいポイント。気軽にトライしてほしい。

万病に効果アリ!? ひざ裏のばし3ポーズレッスン

【共通POINT】

【1】呼吸
このストレッチをする時の呼吸の基本は、「吸う時に、お腹を引っ込め、吐く時にお腹をゆるめる」こと。これにより、横隔膜が動き、お腹全体の筋肉が鍛えられる。また、吸うよりも吐くことを意識し、息はすべて吐き切ることが大切だ。

【2】入浴後に行う 
ひざ裏のばしストレッチを行うタイミングは、入浴後がベスト。体が温まってやわらかく、リラックスした状態で行った方が、筋肉がのびやすいからだ。”入浴後にひざ裏をのばす”という習慣をつけてしまおう。ただし、すべりやすい浴室内で行うのはNG。

【3】無理は禁物
ひざ裏は、しっかりのばすことが大切だが、無理をすると痛めてしまう可能性も。手本の通りにできなくてもいい。大切なのは”気持ちいい”と感じるまでのばし、それを毎日行うこと。続けていけば、少しずつ体がやわらかくなるので、焦らず毎日行うこと。

ポーズ1:壁ドンストレッチ

 ひざ裏全体をのばせる基本のストレッチ。両手で壁を押すため、肩、背中、お腹、体幹に力が入る。ぽっこりお腹が引っ込み、血流がよくなって内臓機能も活性化。「時間がない時や体がきつい時は、このストレッチ1つだけでいいので続けてみましょう」。脚の前後を入れ替え、左右各1回ずつ行おう。

【1】壁の前に立つ

 壁の前に姿勢を正して立つ。背筋はまっすぐにする。 

かわむらクリニック院長の川村明さんが正しい姿勢で壁の前に立っている

【2】両手を壁につき、脚を前後に開く

 脚を前後に開き、後ろ脚のひざ裏をのばし、前脚のひざは曲げる。両手を肩の高さでのばして壁につけ、息を吸う。

両手を壁につき、脚を前後に開く

【3】壁を5回押す

 視線を正面にし、「1、2、3、4、5」と壁を押しながら息を少しずつ吐く。この時、お腹とお尻に力を入れ、背筋をのばして腰は壁側に入れるように。

壁を5回押す

【4】5秒キープ  

 両手をのばして壁を押し、かかとは強く床を踏みしめ、5秒かけて息を吐き切る。脚の前後を入れ替えて同様に。

壁を押し5秒キープ

 両手をのばして壁を押し、かかとは強く床を踏みしめ、5秒かけて息を吐き切る。脚の前後を入れ替えて同様に。

●POINT

・かかとは床につけて!
後ろ脚のひざは曲げず、かかとは床から離さない。

かかとを床につける

・手は肩幅に開き、指先はパー
両手の高さは、肩と同じ位置にし、肩幅に開く。

手は肩幅に開き、指先はパー

●NG

・腰を反らせてはダメ!
大切なのは壁を押すことより、ひざをのばすこと。背中を丸めたり、腰を反らせないこと。

腰を反らせてはダメ!

ポーズ2:壁ピタドローイン

 かかと、腰、背中の3点が一直線になるような正しい姿勢のまま、壁に体をつけると、ひざ裏がしっかりのびる。体幹の筋肉も鍛えられダイエット効果も。

【1】壁に、かかと→腰→背中の3点をつけて立つ

 壁を背にし、かかと・腰・背中の3点と、手のひらをつけて立ったら息を吐く。

壁に、かかと→腰→背中の3点をつけて立つ

 

●POINT

・背中と壁の間を空けない
壁と腰のすき間が大きいほど、骨盤が傾いている。すき間を作らないように下腹部に力を入れる。

背中と壁の間を空けない

・”丹田”を意識して!
へその下の”丹田”を意識して壁に押しつけると、体幹が鍛えられる。

”丹田”を意識して!

・つま先を90度開きひざをくっつける
両ひざの内側に力を入れながらひざをくっつけると、ひざ裏がしっかりのび、ももの内側の筋肉も鍛えられる。

●NG

・あごを上げて後頭部をつけてはダメ!
3点を無理に壁につけようと姿勢を崩してはダメ。かかとがつかないなら半歩前に。きつい時は後頭部は離してもOK。

あごを上げて後頭部をつけてはダメ!

【2】手のひらをひっくり返し、息を吸って5秒キープ

 息を吸いながら手のひらを返し、手の甲を壁につける。肩を開くよう意識してお腹をへこませたまま5秒キープ。1~2を1日1回行う。

手のひらをひっくり返し、息を吸って5秒キープ

ポーズ3:ワン・ツー・スリー体操

 骨盤を支える筋肉を鍛え、下半身を強化するため、ひざ裏のばしに役立つ。体をたたくことでアドレナリンが出て脳が活性化。認知症予防にも。

【1】脚を大きく開く

 両脚を左右に開いて立ち、つま先は45度外側に向ける。ゆっくりと大きく息を吸い込む。

脚を大きく開く

●POINT

・尾てい骨を意識する
尾てい骨をまっすぐ上下させるつもりで行うと体が傾きにくい。始める前に尾てい骨の場所を意識しよう。

尾てい骨を意識する

【2】ゆっくりと腰を下げる

  息を吐きながら、ゆっくりと腰を下げていく。腰とお腹に力を入れ、頭と背筋はまっすぐに、視線は正面。

ゆっくりと腰を下げる

●POINT

・ひざが痛い人は浅くてもOK
ひざに負担がかかるので、痛い人は気持ちいい所までにして。無理は禁物。

ひざが痛い人は浅くてもOK

・深く腰を落とす
腰を落とすほど、体幹が鍛えられるので、できる人はなるべく腰を下げ、つま先を外に開こう。

深く腰を落とす

【3】「ワン・ツー・スリー」の声に合わせ、太ももを3回たたく

 息を吐き切ったら止め、「ワン・ツー・スリー」と言いながら、太ももを3回たたく。

「ワン・ツー・スリー」の声に合わせ、太ももを3回たたく

【4】ゆっくり立ち上がり、「ワン・ツー・スリー」の声に合わせ、お尻を3回たたく

 立ち上がりながら息を吸い、「ワン・ツー・スリー」と言いながら、お尻を3回たたく。1~4を3回繰り返す。

ゆっくり立ち上がり、「ワン・ツー・スリー」の声に合わせ、お尻を3回たたく

●POINT

・リズミカルにお尻をたたいて!
お尻や太ももの筋肉(大腿四頭筋)を刺激すると闘争心を高めるホルモンが出てけがをしにくくなる。

リズミカルにお尻をたたいて!

教えてくれたのはこの人

かわむらクリニック 川村 明さん(63才/ 医学博士、東洋医学会専門医、障がい者スポーツドクター、J-YOGA公認インストラクター。主な著書に『5秒ひざ裏のばしですべて解決』(主婦の友社)。12月に『のばすだけで、体がよみがえる ひざ裏のばし ボール&タオル』(主婦の友社)を発売予定。

撮影/高橋進

※女性セブン2018年11月8日号

●膝の痛みが楽になる! 70歳でもできる開脚までの 4週間プログラム

●肩甲骨・腰回り・股関節… 毎日3分で体を柔らかくするストレッチ

●要介護・寝たきりにならない! 膝の痛みラクラク解消体操

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