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健康

深い眠りを促す7つの生活習慣「死亡率が最も低いのは7時間睡眠の人」【睡眠専門医監修】

  親子3代、90年以上睡眠の研究に携わる、スリープドクターこと遠藤拓郎さん曰く、中高年に必要な睡眠は7時間がベストだという。とはいえ、なかなか寝つけない、夜中に起きてしまうというような悩みを持つ人も多いだろう。そこで、スリープドクターの遠藤さんに深い眠りを促す生活習慣を教わったのでご紹介する。

→50才からの「睡眠」の悩みに医師が回答「なかなか眠れない、夜中に目が覚めるのはなぜ?」

中高年の睡眠時間は7時間がベスト

 医学博士であり、スリープクリニック調布院長の遠藤拓郎さんは、中高年にとっての理想の睡眠時間は「7時間」だと話します。

「根拠の1つが下のグラフです。これは全国の40~79才の男女を対象に、睡眠時間と10年後の死亡率の関連を調べたものですが、最も死亡率が低いのが7時間睡眠の人でした。そして、中高年の眠れる時間を考えると、“7時間”は眠りの質を保つのに最適な長さでしょう。ちなみに、睡眠時間が延びるほど死亡率は右肩上がりになる。寝すぎがよくないことも、これでわかりますよね」(遠藤さん・以下同)

★睡眠時間の長さと10年後の死亡率比較

 40~79才の男女のうち、死亡率が最も低いのは7時間睡眠の人。4時間未満、10時間以上など、睡眠が短すぎたり長すぎたりすると、死亡率は上昇する。

とにかく長く寝ればいいは危険

 日々の睡眠不足が蓄積する状態で、これが続くと心身に深刻なダメージを与えるとして話題の「睡眠負債」。睡眠時間が7時間を切ると、「睡眠負債」に陥るのだろうか?

「上記のグラフで、5~6時間睡眠の人の死亡率は7時間の人と比べてそれほど極端には変わりません。この範囲であれば、睡眠不足を深刻に捉えなくてもいいと思います。睡眠負債を否定するものではありませんが、内容を理解せず、『とにかく長く寝ればいい』と勝手な解釈をすると、かえって睡眠の質を下げることになると危惧しています。

もともと睡眠負債は米国で生まれた概念で、眠気によって多発したヒューマンエラーを防ぐための『もっと睡眠時間を延ばそう』というムーブメントが背景にあります。確かに、睡眠時間が4時間未満になると、死亡率が上昇します(グラフ)。このような“過労死”レベルの睡眠不足が危険なことは明らかですが、グラフを見ても、該当者は全体のわずか0.7%。ここだけを強調して『睡眠負債は危険だ』というのは極端だと思います」

長い昼寝やうたた寝は夜の睡眠の質が落ちる原因に…

 遠藤さんのクリニックでは、不眠を訴える患者に活動量計を装着し、1日の活動量と睡眠量を正確に測るという。

「たいていのかたは活動が少なく、長い昼寝をしたり、テレビを見ながらうたた寝をしていたりして、実は意外と睡眠量を確保しています。寝不足というより、眠りが分断されることで夜の睡眠の質が落ちていることが不眠の原因であることが多いですね」  

 7時間睡眠のために遠藤さんが提唱するのは、残りの17時間を起きていること。

「ただ起きているだけでなく、肉体的・精神的に多少の疲労を感じることが重要です。空いた時間は、なるべく外に出かけてヘトヘトになってください。また、趣味のもの作りや読書に没頭して脳を疲れさせるのも◎。こうしてフルに活動すれば、誰でも疲れてスヤスヤと眠れます」

眠れない人はまず起きる時間を決めて1週間続けてみる

「眠いのに床に入ると目がさえるという人は、原因として起きる時間と寝る時間が不規則な場合が考えられます。また、せっかく平日に規則正しく生活していても、休みの日に寝だめをすると、睡眠のリズムが乱れ、戻すのに時間がかかってしまいます。まずは寝る時間より、起きる時間を決めましょう」

 毎日同じリズムで生活している人は、眠くても眠くなくてもだいたい同じ時間に寝られ、同じ時間に起きられるそうだ。起きる時間を決め、がんばって1週間続けてみよう。

「寝る時間が短くなって眠い場合は、15分、最長で30分の仮眠を取ってもOKです。取る時間は午前中がベスト。なぜなら、午前中の仮眠は前夜の睡眠を補うものですが、午後の仮眠は、その夜の睡眠の前借りになるからです。

報道キャスターは、夜から朝の番組に変わっても、起きる時間に合わせて生活リズムを適応させます。そのように『起きなければ』という外圧が必要です。リタイアして自由時間が増えると就寝時間が乱れがちですから、ボランティアや仕事など、“起きる理由”を作ることです。どうしても寝坊したいときは、いつもの起床時刻の後1時間以内に起きてください

 こまぎれに目が覚める現象は改善できないのか。

「老化現象ですから改善できません。目が覚めても、その後すぐに眠れれば心配不要ですが、眠れない人は睡眠の質が相当落ちています」

睡眠薬は依存が進むと認知機能の低下につながる

 寝つきをよくするための睡眠薬は有用だろうか。

「実際、60代になると睡眠薬や睡眠導入剤の処方率がぐんと上がります。『眠れる時間』と『床にいる時間』の差を埋めるためだと思いますが、睡眠薬は浅い眠りへ導くように作られていますので、頼りすぎると眠りの質が悪化し、効きも悪くなるという悪循環に。依存が進むと認知機能の低下にもつながるので、使う頻度に気をつけるべきです」

遠藤さんが提唱する “深い眠り”を促す7つの生活習慣

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