舌(ベロ)の筋力低下が招く深刻な病気|あなたの“落ちベロ”度をチェック!【専門医が解説】
風邪をひきやすい、呼吸が浅くて苦しい、元気が出ない──こういった原因がわからない“なんとなく不調”、実は舌(ベロ)のせいかもしれません。というのも、舌の筋力が低下すると、心筋梗塞や糖尿病などの深刻な病気を招くことがあるんです。そこで今回は、舌の大切な役割や筋力チェック法を専門家にうかがいました。
口を閉じたとき、舌が上あごにべったりとくっついている状態が理想的
舌が上あごについていますか?
「舌は約150gと、りんご約1/2個分の重量がある筋肉のかたまりです。長さは20cmほどあり、重くて長いのに根元が下あごの骨(下顎骨(かがくこつ))と、のどのあたりにある舌骨(ぜつこつ)という小さな骨についているだけで、そこから先は支えがありません。ですから、舌の筋力が弱ると下がってくるのです」
と、漢方専門医の今井一彰さん。加齢で体の筋力が衰えるように、舌の筋力も弱る。すると、多くの障害が表れる。
「舌が垂れて下あごに乗った状態が続くと、二重あごになり頬と口角が下がって老け顔になります。さらに舌の重さで口が開き、口呼吸になります。これが不調の原因になるのです」(今井さん・以下同)
舌は普段、上図のように上あごについている。しかし、舌先が上の歯や下の歯の裏についていたり、どこにも触れずに宙ぶらりんだと、それは筋力が落ちた“落ちベロ”の状態。自分の舌はどうか、確認してみよう。
舌の筋力低下“落ちベロ”が招く口呼吸が不調の原因に
ではなぜ、口呼吸が不調の原因になるのか。
「人の体は本来、鼻呼吸するようにできています。鼻はいわば加湿器付き空気清浄機。線毛と粘液が冷気を温め、有害物質を遮断して、きれいな空気を体内に入れます。鼻呼吸をすると分泌される一酸化窒素には、血流を促す効果があるため、脳梗塞や心筋梗塞の予防にも役立ちます。
一方口呼吸には、鼻のようなろ過機能がないため、冷たく乾いた空気や有害物質が直接体内に取り込まれます。冷えと乾燥で免疫力が落ち、病原菌に感染しやすくなります。口腔内を乾燥させるので、糖尿病の原因ともされる歯周病を悪化させることにもなります」
舌の筋力の低下は、口呼吸を促すだけではないという。
「飲み込む力も低下させるので、誤嚥(ごえん)性肺炎を起こしやすくなります。食べにくくなるので、食が細くなり、消化吸収力も低下。体力や全身の筋力も落ちていきます。舌の力が弱い人は握力や脚力も弱いというデータもあります」
●口呼吸が招く不調
・冷えと乾燥で免疫力低下
・歯周病
●舌の筋力低下が招く不調
・誤嚥性肺炎
・体力や全身の筋力低下
・握力、脚力が弱くなる
まずは、2つのチェックを試してみて。【1】【2】のチェックのうち、どちらかでも該当していたら舌の筋力が衰えている証拠ですよ!